犯罪を防ぐ住まい
日本は世界の中で突出して治安の良い国でした。外国では、家の窓に泥棒の侵入を防ぐための檻が設置されたり、玄関ドアに三重四重の錠が設置されていることも少なくありません。
ところが、最近では日本でも凶悪な犯罪が増えています。ネットの闇バイト募集に応じた若者が後先を考えずに、正体の知れぬ指示役に言われるまま重罪を犯すようになり、日本の治安は曲がり角を迎えているようです。
強盗や泥棒といった犯罪の被害に遭わないためにはどうすればいいのか。
住まいの守りを固めるしかありません。たとえばテレビカメラのついたインターホン。相手の姿を確認してからドアを開けるかどうか判断することができます。
宅配ボックスも、知らない人のためにドアを開ける回数を減らすという意味では有効です。賃貸住宅ではすでに、こうした設備を備えていることが入居者募集のセールスポイントとなっています。まだ完備していない集合住宅では、改修の際に追加で設置することをおすすめします。
防犯設備の導入にはコストがかかります。賃貸住宅経営の観点から言えば、コストアップは収益低下の原因となりますが、凶悪犯罪の報道が増えれば、部屋選びの基準にする傾向が強まるでしょう。
弊社では、新規入居前の鍵や錠の交換を行っています。無断で製作した合いかぎを悪用した犯罪が実際に発生しており、入居者様に安心していただくには不可欠だと考えています。
鍵に関して言えば、鍵そのものだけでなく、鍵に刻印されたナンバーも犯罪に悪用される可能性があります。外出の際には、鍵をかばんやポケットの中に常に入れておくことが必要です。
いろいろな防犯のための装置が登場していますが、住まいの使い方、つまりソフト面の対策も重要です。長い間、治安が良好だったため、日本では2階以上の集合住宅で、ベランダの鍵をかけていない方がいますが、手すりなどを使って2階以上のフロアに上っていき、ベランダから侵入する窃盗犯がいます。
近所の人に察知されにくい高層階にある留守宅を狙う窃盗犯もいます。犯罪防止のためには1階はもちろん、2階以上でもベランダの窓に鍵をかける必要があります。
他にも、「女性一人暮らしと知られないよう、カーテンは赤やピンク色などを避ける」「表札は姓だけにする」「洗濯物は屋内に干す」などの工夫が犯罪防止に役立つとされています。
集合住宅で犯罪が起きると、全体に悪影響が広がる可能性もあります。未然防止のため、入居者様への働きかけが必要になるかもしれません。