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小さなまちの賃貸住宅
こんにちは。(株)キュービック不動産広報です。
人口が数千人~2万人程度の小さなまちでも賃貸住宅が並ぶ様子を見かけることが増えました。今回は旭川市外の賃貸住宅に注目して社長に聞いてみました。
(北海道経済2025年3月号掲載)
弊社では自社の管理業務ブランド「満室革命」で、道内各地の賃貸物件の管理を、オーナーさまから受託しています。物件の所在地で分類すれば旭川が最も多いのですが、実は市外の物件も2割程度を占めています。
例を挙げれば滝川市の1LDK(築7年)、深川市の1LDK(5年)、鷹栖町の1LDK(23年)、留萌市の2LDK(7年)・・・。他にも沼田町、砂川市、名寄市内、上富良野町など、多くの物件が管理リストに掲載されています。
こうした小規模な市や町の物件は、当社が創業したころから存在していましたが、近年、その状況が変化しています。東京や札幌などに住む方が、投資目的で地方に土地を購入し、賃貸住宅を建てて収益を得る傾向が強まっているということです。
投資家は一般的に数字に敏感であり、旭川市でも札幌市でもない場所を選ぶからには、それなりの理由があります。
より大規模な都市ではすでに多くの賃貸住宅が存在し、投資額に対する利益の比率、つまり利回りが低下する傾向にありますが、周辺地域では相対的に高水準をキープしています。
支出と収入に分けて考えるなら、まず支出のかなりの部分を占める土地の購入費用は、土地が安いためにかなり節約できます。建築コストは、旭川から作業員が時間をかけて移動しなければならず、また資材運搬コストもかかるため、若干高くなります。全体でみれば、旭川市内で同じ物件を建てるよりも投資額は少なくなります。
一方、収入は旭川市内の同様の条件の物件よりも若干高く設定されているケースが大半です。そもそも需要に比べて供給が少ないため、「売り手市場」となっています。
小さな市や町に賃貸住宅への需要がどれほどあるのかと疑問に思う方がいるかもしれませんが、実は、しっかりとしたニーズがあります。
代々農家を営んでいる方、自営業者の方は基本的に持ち家です。その一方で、こうした地域でも高齢化で医療、福祉事業が地域経済に占める比率が高まっています。
医師、看護師、介護士など専門技術を備えたスタッフやその家族が、賃貸住宅を求めています。なお、行政機関や団体の職員も、有力な賃貸住宅ユーザーです。総じてこれらの人たちは収入が安定しており、賃貸住宅の高収益を支えています。
なお、小さな市や町の物件が「必ず儲かる」というわけではありません。地域により需給バランスや少子高齢化のペースは微妙に異なっており、賃貸住宅の収益率にも違いがあります。どの地域で賃貸住宅を経営するか、情報を収集した上で慎重に選択する必要があります。