“コロナだから仕方がない”じゃない。“できる方法を探るんだ”(KAKEHASHIスタディカフェ#4
第4回KAKEHASHIスタディカフェ「ソーシャルファームから学ぶ共生社会へのヒント〜コロナ禍での実践〜」
初オンラインイベント運営でした。
なんとか盛況に終えることができました。
ご参加いただいた皆さん
講師を務めていただいた金子さん
参加者 兼 障害当事者としてアドバイスをいただいた日比さん、杉山さん、西郷さん
本当にありがとうございました🙏
皆さんのご協力なくして成功はありませんでした。
①KAKEHASHIスタディカフェとは
②コロナ禍での開催を決意した一言
③イメージ共有と情報保障
④第1部「障害を持つ人と働くときに必要な環境と配慮」
①KAKEHASHIスタディカフェとは
スタディは勉強。
カフェは交流。
「KAKEHASHI」は地域との、事業所間の、多職種との、参加者間との間に「架け橋」がかかる
そんな空間にしたいという願いを込めて「KAKEHASHIスタディカフェ」と名付けました(長いし言いづらいけど)
障害を軸に共生社会、合理的配慮に関するテーマ設定をして講師を招き学ぶ。
酒・菓子を片手に交流する
そんな時間です。
回を重ねるごとに輪が拡がり、関係が強固になっていく、小さくも強いコミュニティの実現を目指しています。
「いつか話したあの人がいる」
「初めてだけどすぐ溶け込めた」
「人と話すの苦手だけどここなら平気」
みたいな、お隣さんお互い様の精神が宿る温かい空間にしたいなと思って運営をしています。
そんなKAKEHASHIスタディカフェですが、今年度は一度は中止となってしまったんです。
②コロナ禍での開催を決意した一言
コロナ禍で世界中に"ある免罪符"が配られました。
“コロナだから仕方がない”
何度耳にしたでしょうか。
何度頭をよぎったでしょうか。
家庭でも職場でも何度も何度も何度も何度も。
本当に何度も。
本当に仕方がないことは確かにあることは事実として
「恐れ」、「面倒」、または「リスク」のため行動に移すハードルを感じることを、“コロナだから仕方がない”で何度流してきたでしょうか。
このKAKEHASHIスタディカフェ、去年度は3回の開催をしました。
今年度は実施予定をたてながらも新型コロナウイルス感染を避けるためずっと延期に延期を重ねてきました。
直接顔を合わせて交流をすることで参加者間に架け橋をかけることに意義があると考えていました
入所施設で働いている自分にとってリスクをとることは周囲に迷惑をかけることです。
それは参加者も同じ。
そして開催地のリエゾン笠間では利用者さん職員からコロナ陽性者がでました。
これが決定打でした
“コロナだから仕方がない”
うん、これは流石に仕方がない。
と
講師の金子さんに今年度開催を諦め中止する旨を電話でお伝えしました。
“コロナだから仕方ないよね”
という予定調和を期待していた自分が確かにいました。
が
金子さんは確固たる意思を持った口調で自分に言いました
「それじゃいつまで経ってもできない。できない理由じゃなくてできる方法を探るべきじゃないかな」
③イメージ共有と情報保障
オンラインでの開催を決めました
“コロナだから仕方がない”
↓
“コロナ禍で出来る方法を探る”
この考えにシフトできたのは自分にとって大きなことでした
交流に意義を感じている自分にとってオンライン開催での勉強会でネックになるのは・・・
発信者とオーディエンスが分かれてしまう
声が重なるため多所同時のコミュニケーションが無くなる
顔しか見えない(佇まいや相手への何気ない素振り、視線や雰囲気で人となりが少し伝わると思うんです)
飲み屋にいけない(切実)
出来る方法は何だろうか
オンライン開催が初めてのため今回は少人数に
温かな空間を保証するため、セミクローズドに参加者を募集(①個人Facebook、②過去KAKEHASHI参加者LINEグループ、Do#Active (職場研修担当)LINEグループでのみアナウンス)
参加希望期日を1週間前に設定し参加者に合わせて進行方法・内容を微調整する
参加者許可の上で当日参加者のLINEグループを作成し、事前に自己紹介でのコミュニケーション
ブレイクアウトルーム機能を使って少人数での議論、コミュニケーションの時間を確保
繋がりが生まれやすそうなグルーピング、ファシリテーターの設定
ファシリテーターに各参加者の性格や職種を伝え、グループごとに進行留意点を共有
ディスカッションに正解を求めない(テーマをツールにコミュニケーションを取ってもらうイメージ)
オフラインの雰囲気には程遠いけれど、近づくようにできることを一つずつ
そして、今回聴覚障害がある日比さんが参加してくれました。
オンラインにハードルを感じている理由の一つ
「オンラインに疎くて“情報保障”ができないかもしれない」
…
"やっぱ無理かな"
いや
“出来る方法は何か”
です。
日比さんからUDトーク(音声認識字幕アプリ)とZOOMの連携方法をご教示いただく
金子さんと試行錯誤
手話通訳の小林さんにアポ
日比さんに事前情報、研修背景が伝わるよう連絡(話しの流れや背景、参加者の基本情報があるだけで口元の動きや誤認識している字幕で大方理解できるというすごい方なのです)
それでも不安は一向に消えません
スライド資料が表示している時に手話通訳が見えないのでは?
ブレイクアウトルームに移ったら字幕表示ができないかもしれない?
人数が増えすぎたら手話通訳者が小さくなって見づらくなるのでは?
これも全部無知からくる不安でした
スライド資料が出ていても横に参加者の顔はでました
日比さんのグループは字幕が出るメインルームでディスカッションをしてもらいました
手話通訳者のみをピン止めする機能があるようです
知らないということでどれだけのことを諦めてきたのかを思い知りました。
とにかく行動すること
とにかく調べること
とにかく聞くこと
そして、お隣さんお互い様を自分から。
自分から人を頼ることが大事ですね。
日比さん金子さんありがとうございます🙏
④第1部「障害を持つ人と働くときに必要な環境と配慮」
参加者19名に「ソーシャルファームから学ぶ共生社会のヒント」というテーマで第1部の講義が金子さんよりありました。
ソーシャルファームとは
社会に対して障害を持つ人にとって狭き門の「一般就労」でなく、福祉サービスに乗っかる「福祉的就労」でもない「第三の道」としてイタリアから始まった就労の形
ソーシャル(社会的な)ファーム(企業)
事業からの収入を主たる財源として運営しながら、就労に困難があると認められる者を相当数雇用し、その職場において、就労に困難があると認められる者が配慮を受けながら他の従業員と共に働いている企業のことを指します。
金子ファームの詳細はこちらから↓
http://uniagrisupo.deca.jp/archives/460
http://morinooto.jp/2020/11/16/kanekoeiji/
金子さんが営む金子ファームでは中度〜重度の知的障害を持つ方が働かれております
ただ働くのではなく活躍できる仕掛けがありました
一例を紹介します(個人の見解込み)
金子ファームでは仕事の行程の細分化が徹底されていました
↓
当事者が担う仕事が多く生まれる
↓
時間の効率にも繋がる
加えてゼロアグリというAIを導入することにより、金子さん自身の時間と体が空く
↓
金子さんが当事者に仕事を伝える時間が分断されない
↓
丁寧なOJTを実現でき、当事者の安心につながる
また、新たな活躍の場を展開する時間を捻出することもできます
そして印象に残ったのは、収穫した野菜を当事者が出荷することを取引先に事前説明をすることで
↓
もし嫌がるようなところとは取引をしない
↓
こうゆう考えの人が増えたら淘汰されていく
というスタンス
また、金子農園では大学生を受け入れて働いていました
↓
障害を持つ方と一緒に働く経験が生まれる
↓
得意不得意や人柄を知り
↓
障害理解につながる
自分が見学したのは短い時間でしたが、たくさんの仕掛けを発見することができました。
そんな金子農園の取り組みをお伝えしていただいた後に本題
「障害を持つ人と一緒に働く時に必要な環境と配慮」について3グループに分かれディスカッションをしていただきました。
KAKEHASHIチームは聴覚障害について
スタディチームは車椅子使用者について
カフェチームは視覚障害者について
字幕表示を確保するためKAKEHASHIチームはメインルームに残っていただきました(ブレイクアウトルームでは字幕が表示されなかったため)
KAKEHASHI(聴覚障害)
・当事者は顔と目と口を見て話をしている
・それでも分かる人と分からない人がいる
・だから表情をちゃんと作る
・タブレットなどのツールを使ってコミュニケーションを図る
・ボディランゲージで一生懸命伝える
スタディ(車椅子)
・ハード面とソフト面の配慮と環境設定が必要
・ハード面では自動ドアとかエレベーターなど数えきれない
・ハードに関しては重度の方に合わせれば軽度の方もカバーができる
・ただしコミュニケーションを取った上でできることは本人にやってもらう
・密にコミュニケーションをとってできることできないことを整理する
カフェ(視覚障害)
・話す前に名前を言う
・これそれあれはどれ?
・情報の8割が視覚から得ている
・音の情報が重要なため雑多な音が入らない場所での仕事環境が必要では
・1対1で対話することで安心感がある
これはそれぞれのルームを回った時に耳に入ったことで、それぞれのグループは様々な意見をだしてくださっていました(それぞれの部屋をレコーディングしたかった…できます?)
この時強く感じたことは
配慮や環境設定は一緒に働くために同僚が施すものでも
当事者が強く求めるものでもなく
このような話し合いやコミュニケーションの過程を経て
“この人のためなら”
というお隣さんお互い様の意識が生まれることが一番大切なんじゃないかなということでした
当事者の視点をそれぞれのルームで伝えていただくことで学びの場にもなったのでは
こうしてKAKEHASHIスタディカフェの第1部を終えました。
それでは引き続きお願いします🤲
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