CES2022で話題のメタバースとは何なのか、どんな出店があったのか?
前回の投稿(https://note.com/cube_company/n/n8b5d4e362b93)でCES2022のご紹介をしましたが、ここで触れた「メタバース」について、そもそもメタバースとは何なのか?今現在何が起きているのか?そして今回のCES2022ではどんな出店があったのか?までを一気にご紹介していきます。
メタバースとは何なのか?
メタバースは超越を意味する“meta”と宇宙を意味する“universe”を合わせた造語であり、私たちが普段生活している世界を超えたところにある世界、といった意味の言葉です。また、単語自体1992年のSF小説作品「SNOW CRASH」が由来とされ、この作品で登場するゴーグルとイヤフォンを装着してアクセスするバーチャル空間がメタバースと呼ばれていたことに由来しているとされています。
昨今では、竜とそばかすの姫の「U」やサマーウォーズの「OZ」、ソードアート・オンラインの「SAO」などはメタバースのイメージそのものと言えるでしょう。
ただし、現在のところ明確な定義というものは無く、投資家”マシュー・ボール”氏の掲げた以下の7つの条件が、定義になりつつあるような状態です。
1.永続性
メタバース内では時間が無限に流れており、一時停止やリセット、終了というものがありません。現実世界とメタバースはどちらで活動しても、もう一方の世界は絶えず進行していきます。
2.ライブで同時多発
これも現実世界と同じことですが、メタバース内では多くの人が同じ空間をリアルタイムで共有しています。部屋を用意して知人同士が集まることもできれば、全くの他人がそばを通り過ぎていくこともあります
3.上限が無い
メタバース内で行動するためには自身の分身となるアバターを設定します。このとき、これまでのSNSやゲームではパーツやカラーなど幅が設定され、その世界観に合致したアバターを作っていくものでしたが、メタバースではこの上限がありません。自由に、何にでもなることができます。
4.機能する経済
メタバース内では通貨が用意されています。現実世界と同様にモノやサービスの提供により収入が得られ、またそれらを消費することができるようになっています。
5.現実世界との垣根が無い
現実世界とメタバースは完全に分断はされてはおらず、繋がりあうことができ、両方にまたがるサービスの提供などもあります。通貨が現実世界とリンクすることもできれば、市役所などの公共施設などがメタバース内に進出すれば、メタバース内で婚姻届けを出したりすることもできます。
6.プラットフォームの垣根が無い
メタバースと現実世界の間には垣根がありませんが、これは複数のメタバース間においても同様です。一方のメタバースで得た経験や金銭を、もう一方のメタバースに持ち込むことができます。
7.無制限のコンテンツと体験
個人や企業が自由にコンテンツ(商品価値のある映像、音声、文章、ゲームなど)を作成し配信できます。プラットフォーム側が提供するサービス以外に参加者が自由に想像することができるため、そこで得られる体験は無制限のものとなります。
ちなみに、上記で金銭やコンテンツ利用について触れましたが、システム内のデータではあるものの、コピペをして増やすことは出来ないようになっています。詳細は省きますが、NFTというブロックチェーン技術により唯一性を与えられているためで、これが適用されていない金銭は金銭として扱われないためです。
今現在何が起きているのか?
現在のメタバースでは、ゲームなどを行えるほかに、エンタメや経済、金融などの活動が行われています。
◆エンタメとメタバース
著名なアーティストがメタバースの中でイベントやコンサートを開催するなどしています。「フォートナイト」というゲームの中で米津玄師や星野源などがコンサートイベントを開いたほか、海外勢ではアリアナ・グランデやトラヴィス・スコットなども開催しています。
◆経済とメタバース
経済やビジネスで言えば、VR世界でのオンライン会議サービスがまず挙げられます。お互いの身振り手振りや口に動きまでもが見えることで、仮想空間であることを忘れるほどという声もあります。また、Microsoft社はMRの実現により、より現実世界に近いものを生み出そうという動きを見せてもいます。
その他日本企業でもメタバース事業への投資が行われており、旅行会社のJTBは「あつまれどうぶつの森」にJTB島を展開し、ユーザーに旅行体験を提供したほか、GREE社はアバターを用いたライブ配信の提供などを行うメタバース事業を構えるなどしています
◆金融とメタバース
GameとFinanceを融合した概念として、GameFiというものが生まれており、NFTゲームとも呼ばれています。
これは、ゲーム内通貨を、仮想通貨を経由することで現実世界の通貨とも換金可能になっているもので、メタバース内での稼ぎを現実世界での稼ぎとすることができるものです。現在のところでは作成したアイテムや、ゲーム内での土地などが売買の対象になっています。
CES2022ではどんな出店があったのか?
CES2022では、様々な企業がメタバース関連の出店を行いました。以下にその一部を掲載します。
◆Panasonic
VR対応のヘッドセットとなる「MeganeX」や、専用のシャツに装着して着用することで首元が熱くなったり冷たくなったりして臨場感を高める「Pebble Feel」、ボイスチャット使用時に音漏れを防ぐマスク型の「mutalk」の3商品を、子会社のShiftall(シフトール)とともに発表。
◆Qualcomm
Microsoft社との提携を発表するとともに、ARメガネなどに利用できるチップ開発を協力して行っていくことを発表しました。
◆キヤノン
VR向けのソフトウェア「Kokomo」を発表。対応するカメラやスマートフォン、VRヘッドセットを通じて、自分の姿をした3Dモデルをアバターとして利用して、リアルな環境での通話を行うことができるとしています。
◆HYNDAI
自動車メーカのHYNDAIはメタバースに関するものとして、「メタモビリティ(Metamobility)」という考えを提案しました。
この提案の中では、これまでのメタバースは、その活動をバーチャル世界の中で終始することがほとんどでしたが、バーチャルとリアルの融合を目指しており、メタバースのなかで活動をしながらも、同時にロボットを操作することで実施のモノに触れ、その触覚を得られるものとしています。
まとめ
メタバースそのものについてはもう30年以上前から想像されていたもので、これまでにも近しいものはリリースされ、そして衰退してきました。そして今回、Facebook社が社名をmetaに変えたことや昨今のコロナ禍なども手伝って注目を浴びるメタバースは、技術の進歩によってこれまでのそれよりも大きく、その可能性を拡げています。
また、HYUNDAIのように、新しい視点からメタバースを捉え、利用することで全く新しい未来像が浮かび上がってくるかもしれません。