トシのcBots自動売買取引
トシは32歳のサラリーマンで、大学で経済学を学んだ後、金融業界に飛び込んだ。現在は中堅の証券会社で働いているが、もっとスキルを伸ばしたいと日々考えていた。特に興味があったのは、トレーディングとプログラミングの融合、「アルゴリズム取引」だった。そんなある日、友人のケンがトシに「cTrader」というトレーディングプラットフォームを紹介してくれた。
「トシ、cTraderって知ってるか? cAlgoっていう機能を使えば、自分でトレードロボット(cBots)を作れるんだぜ。やってみるといいよ。」
ケンの話に触発されたトシは、早速cTraderのダウンロードを開始した。
cTraderとの出会い
cTraderをインストールしたトシは、まずプラットフォームの基本機能を探ることにした。cTraderは直感的なインターフェースで、操作が簡単だった。デモ口座を開設し、仮想資金でトレードを試してみた。
「これ、思ったより簡単じゃないか?」とトシは感じた。取引画面は見やすく、チャートのカスタマイズも簡単にできた。しかし、トシの真の目標はcBotsの開発だった。そこで、次のステップとしてcAlgoの学習を始めた。
cAlgoの学習
cAlgoはcTraderに組み込まれたアルゴリズム取引のための環境で、cBotsやインディケーターを開発するためのツールだ。トシは公式ドキュメントとオンラインチュートリアルを読み始めた。cAlgoではC#というプログラミング言語が使われる。トシは大学時代に少しプログラミング経験があったが、C#は初めてだったため、基本から学び直すことにした。
C#の基礎
トシはまず、C#の基本文法を学び始めた。変数の宣言、条件分岐、ループ処理など、プログラミングの基礎をしっかりと理解することが重要だった。彼はオンラインコースや参考書を活用し、少しずつスキルを磨いていった。
ある日、トシはケンと再び会う機会があり、自分の進捗を報告した。「ケン、C#の基本はだいぶ理解できたよ。次は実際にcBotを作ってみようと思ってる。」
「それはいいね!まずは簡単な戦略から始めてみるといいよ。例えば、移動平均線を使ったシンプルな戦略とか。」
初めてのcBot開発
トシはケンのアドバイスを受け、移動平均線(MA)を使ったシンプルなトレーディング戦略を実装することにした。MAクロスオーバー戦略は、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上回ったときに買い、下回ったときに売るというものだ。
cBotの基本構成
cBotの開発にあたって、まずは基本的な構成を理解することが重要だった。cAlgoの公式ドキュメントには、cBotの基本的なテンプレートが提供されている。トシはそれを参考にしながら、自分のcBotを作り始めた。
using cAlgo.API;
using cAlgo.API.Indicators;
namespace cAlgo.Robots
{
[Robot(TimeZone = TimeZones.UTC, AccessRights = AccessRights.None)]
public class MovingAverageCrossOverBot : Robot
{
private MovingAverage _shortMa;
private MovingAverage _longMa;
[Parameter("Short MA Period", DefaultValue = 9)]
public int ShortMaPeriod { get; set; }
[Parameter("Long MA Period", DefaultValue = 21)]
public int LongMaPeriod { get; set; }
protected override void OnStart()
{
_shortMa = Indicators.MovingAverage(MarketSeries.Close, ShortMaPeriod, MovingAverageType.Exponential);
_longMa = Indicators.MovingAverage(MarketSeries.Close, LongMaPeriod, MovingAverageType.Exponential);
}
protected override void OnTick()
{
if (_shortMa.Result.LastValue > _longMa.Result.LastValue)
{
ExecuteMarketOrder(TradeType.Buy, SymbolName, 1000);
}
else if (_shortMa.Result.LastValue < _longMa.Result.LastValue)
{
ExecuteMarketOrder(TradeType.Sell, SymbolName, 1000);
}
}
}
}
このコードは、短期および長期の移動平均線を計算し、その交差を基に買いまたは売りの注文を出す簡単なcBotである。トシはこのコードをもとに、実際にcTrader上でcBotを動かしてみた。
cBotのテストと改善
cBotを動かしてみたトシは、最初は期待したような結果が出ないことに気づいた。バックテストを行った結果、トレードが頻繁に発生し、手数料やスプレッドの影響で損失が出てしまうことが多かった。
「このままじゃダメだな」とトシは思った。そこで、次にcBotを改善するためのステップを踏むことにした。
トレードフィルターの追加
まずは、トレードの頻度を減らすためのフィルターを追加することにした。例えば、ボラティリティが高いときのみトレードを行う、またはトレードの間隔を一定期間開けるなどの工夫を行った。
protected override void OnTick()
{
if (Trade.IsExecuting)
return;
if (_shortMa.Result.LastValue > _longMa.Result.LastValue)
{
ExecuteMarketOrder(TradeType.Buy, SymbolName, 1000);
}
else if (_shortMa.Result.LastValue < _longMa.Result.LastValue)
{
ExecuteMarketOrder(TradeType.Sell, SymbolName, 1000);
}
}
このコードでは、トレードが実行中の場合には新しい注文を出さないようにしている。これにより、頻繁なトレードを防ぎ、パフォーマンスの向上を図った。
リスク管理の強化
次に、リスク管理の観点からも改善を行った。トシは、ストップロスやテイクプロフィットを設定することで、損失を最小限に抑えることを考えた。
protected override void OnTick()
{
if (Trade.IsExecuting)
return;
if (_shortMa.Result.LastValue > _longMa.Result.LastValue)
{
ExecuteMarketOrder(TradeType.Buy, SymbolName, 1000, "MyLabel", 10, 20);
}
else if (_shortMa.Result.LastValue < _longMa.Result.LastValue)
{
ExecuteMarketOrder(TradeType.Sell, SymbolName, 1000, "MyLabel", 10, 20);
}
}
このコードでは、買い注文と売り注文にそれぞれストップロス(10ポイント)とテイクプロフィット(20ポイント)を設定している。これにより、大きな損失を防ぎ、安定したパフォーマンスを目指した。
結果の分析と学び
トシは改良を加えたcBotを再度バックテストし、その結果を分析した。改善後のcBotは以前よりも安定した成績を残すようになったが、まだ完璧とは言えなかった。そこで、さらなる改善の余地を探るために、他のトレーディング戦略やインディケーターについても学び始めた。
コミュニティの活用
トシはcTraderのコミュニティフォーラムやSNSを活用し、他のトレーダーやプログラマーと情報交換を行った。そこでは、さまざまなcBotのサンプルコードや実践的なアドバイスが共有されており、トシにとって非常に有益な情報源となった。
継続的な学習
アルゴリズム取引の世界は常に進化しており、新しい手法やツールが次々と登場する。トシは日々の学習を欠かさず、最新の情報をキャッチアップすることを心がけた。プログラミングスキルの向上だけでなく、マーケットの動向や経済指標の分析にも注力し、総合的なトレーディングスキルを磨いていった。
結論
トシのcTraderとcAlgoの学習の旅は、まだ始まったばかりだった。しかし、彼は着実にスキルを向上させ、実践的な経験を積むことで、自信を深めていった。cBotsの開発とテストを繰り返す中で、トシは次第に自分のトレーディングスタイルを確立していった。
「この世界には、まだまだ学ぶべきことがたくさんある」とトシは感じた。彼の目標は、cBotsを使って安定した利益を上げることだけでなく、トレーディングのプロフェッショナルとして成長することだった。
これからもトシの挑戦は続く。彼は新たなアイデアや手法を模索し、さらなる高みを目指して努力を続けるだろう。cTraderとcAlgoを駆使したトレーディングの旅は、まだまだ終わりを迎えることはない。
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