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神話存在データ:ブラックサンタ
メリークリスマス!
クリスマスは多くの笑顔であふれる日。
しかし、そんな日にも不可解な出来事は起こります。
「あれは…サンタクロース?」
謎めいた事件の裏にはクトゥルフ神話の存在が……?
新しい神話存在「ブラックサンタ」を紹介いたします。
※ブラックサンタのデータはどなたでもご使用いただけます
「深夜、雪の降り積もる静寂を破る音がした。ミハイルは目を覚ましたが、家族は眠り続けている。窓辺に忍び寄ると、かすかな影がとおり過ぎるのが見えた。それは一見するとサンタクロースに似ていたが、赤いはずの衣装は黒ずみ、肩にかけた大きな袋は薄汚れたシミがついていた。次の日の朝、隣家の子供がいなくなったという。脳裏に焼き付いた光景のせいでミハイルは何も言えなかった。いつの間にか枕元に置かれた小さな黒い人形が目に入ると、悪寒が全身を駆け巡った。ブラックサンタが近づいた証だ。次は自分かもしれない」
ブラックサンタ
別名:クネヒト・ループレヒト、子供さらい
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ブラックサンタは食屍鬼の一個体で、その異様なありさまは一見するとサンタクロースの伝承を歪んだ形で再現したかのように見える。身につけている布はおおむねサンタクロースの伝統的な衣装と同じだが、色は黒く、長年一度脱いでいないかのように不潔でぼろぼろだ。肩には麻でできた大きな袋を背負っており、中にはさらった子供のほか、動物のべちゃべちゃした内臓や持ち主に悪夢と恐怖をもたらすちょっとしたアーティファクトが詰まっている。
ブラックサンタが潜んでいる場所は雪深い寒村にある霊廟(ルビ:れいびょう)など、人の目の届かないところだ。今のところ夏の間に目撃されたことはなく、主にクリスマスのホリデーシーズンに活発に活動すると知られている。
夜間、煙突や窓など人目に付かない場所から家屋に侵入したブラックサンタは子供をさらい、背負った麻袋に詰める。子供たちの抵抗が不自然に少ないこと、また生きている人間を対象とすることは特筆すべき点である。また、さらった子供の代わりに小動物の内臓や食屍鬼の呪われた信仰にまつわるアーティファクトを置くこともユニークな特徴である。実際にさらわれかけた子供の証言を参考にすると、ほかの食屍鬼と比べ多少筋力が弱いものの、身のこなしは軽やかで音もなく部屋に侵入してきたと考えられる。
さらわれた子供が無事でいるかどうかは、助けに行く者がブラックサンタを迅速に捕まえられたかによる。すべてのクリスマスチキンが年を越す前になくなるように、クリスマスにさらわれた子供たちも放っておけば新年の日を見ることはない。
ドイツの古い伝承では、クネヒト・ループレヒトというサンタクロースの同伴者が知られている。彼に関する言い伝えには時の流れの中でさまざまなバリエーションが付け足されたが、根幹となる特徴は「悪い子に対して喜ばしくないプレゼントやお仕置きを行なう」といった点だ。この特異な食屍鬼は子供をさらい、代わりに好ましくない置き土産を残す点から、いつしかブラックサンタとあだ名されるようになった。
ブラックサンタと呼ばれる食屍鬼には一定の行動パターンがあるものの、目的や動機については不明な点が多い。たまたま人間の間で語り継がれる伝承と類似しているだけで、行動の奥底にはわれわれには計り知れない異端の思想があるのかもしれない。
同様に、ブラックサンタという一風変わった個体が出現した理由も定かではない。一説によれば「自分が子供だった頃に虐げられたため、いじめっ子を罰するためにさらう」「生まれついての食屍鬼がサンタクロースの伝承に間違った形で憧れている」などと言われているが、はっきりしたことはわかっていない。
能力値
STR 70
CON 65
SIZ 60
DEX 85
INT 65
POW 65
耐久力:12
ダメージ・ボーナス:+1D4
ビルド:1
マジック・ポイント:13
移動:9
戦闘
1ラウンドの攻撃回数:3(噛みつき、かぎ爪、キック)
ブラックサンタは素手での攻撃や噛みつきなど通常の食屍鬼ができる行動を取れる。
袋に詰める(mnvr):対象をつかまえ、背負っている麻袋に詰めようとする。犠牲者が逃げ出すには対抗STRもしくはDEXロールに勝利しなければならない。対象は主に子供だが、自分の障害になるなら大人をつかまえる可能性もある。
噛みつきと押さえ込み(mnvr):食屍鬼(“新クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルムvol.1 クリーチャー編”)と同じ。
近接戦闘 40%(20/8)、ダメージ 1D6+DB
袋に詰める(mnvr)60%(30/12)、つかまえ、袋に入れようとする(上記参照)
噛みつきと押さえ込み(mnvr)40%(20/8)、ダメージ 1D4(毎ラウンド)
回避 40%(20/8)
技能
隠密 85%、聞き耳 70%、跳躍 75%、登攀 85%、目星 50%、言語(英語*)60%
※食屍鬼が人間の言語を覚えているか、知っている可能性が50%ある(食屍鬼と遭遇した土地によって言語はさまざまだろう)。
装甲:火器は2分の1のダメージしか与えない。
呪文:ブラックサンタが1D10種類の呪文を知っている可能性が15%ある。
正気度喪失:ブラックサンタと遭遇して失う正気度ポイントは0/1D6。
シナリオとのかかわり方
■ 探索者はクリスマスの祝祭において子供たちが消えた事件を調査することとなる。事態の背後にはブラックサンタの暗躍があった。クリスマスシーズンが終わる前に子供たちを救出できなければ、今年もまた犠牲者が出てしまうだろう。
■ 探索者は友人の主催するクリスマスパーティーに招かれるが、翌朝血にまみれた布や小動物の内臓といった奇妙な贈り物が見つかる。聖なる夜以来、家の中で異様な出来事が頻発するようになる。
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illust:黒瀬仁