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“七伏市奇譚”設定資料集



“七伏市奇譚”設定資料集

・七伏市とは
神奈川県の南部、横須賀市の近辺にある海沿いの架空都市。人口は5万人ほど。西は湾になっており、多数の小さな島がある。その他の三方は山や森に囲われている。過去には城下町で、地形も相まって非常に強固な城塞都市であった。街の主要部が運河で囲まれているのもその際の名残である。現在では多くの橋でつながれており、交通に不便することは少ない。

・気候と災害
冬暖かく夏涼しい海洋性の温暖な気候であり、過ごしやすい街である。一方で、地震や大雨が多発する地域でもあり、土砂災害や津波対策、河川の氾濫などは切っても切り離せないものであった。そのため、各種災害対策のノウハウがしっかりと蓄積されている。

・交通と街並み
街には私鉄が通っており、数回の乗り換えによって1時間半ほどで東京駅に到着する。横浜駅には1時間以内で到着できることもあり、郊外として人気が出てきている。市内にはバスが通っており、15分に1回ほどのペースでバス停にバスがやって来る。中心部は自動車がなくても不便しないほどに発展しており、大型スーパー、ショッピングモールなどの商業施設が一通りそろっている。一方で、運河の外側の区画はあまり栄えておらず、買い物などは商店街が主になっている。

・七伏の歴史
七伏の土地は1570年頃から城下町として栄えてきた。土地を治めていたのは「七伏氏(ななふしし)」と呼ばれる武士族であった。恵まれた地形から、当時は非常に強固な都市であり、名のある大名からの侵攻も退けた。長きにわたって「七伏町(ななふしちょう)」という名で通っていたが、ここ20年ほどで周辺の町と合併し、「七伏市(ななふせし)」に改名されている。そのため、昔から七伏に住んでいる人は、この地域のことを「ななふし」というふうに呼んでいる。また、学校などの歴史ある施設は昔の読みを維持している場合もある。

・七伏市の7柱
七伏市には過去、さまざまな時代に七柱のクトゥルフ神話の神格が影響を及ぼしていた。神格たちはその姿を見せることこそ(おそらく)ないが、その力の一部や痕跡はいまだに七伏市に残っている。市民はそれらの神話的存在のことをほとんど知らない。知っていたとしても、伝承やおとぎ話程度の理解度しかないだろう。ここでは特に地域で信仰されていたと思われる三柱を取り上げている。その他の四柱は、もはや信仰している者すらいない存在なのかもしれない。もちろん、七柱以外にも様々な神話的存在が七伏市に存在する可能性が高い。

シュブ=ニグラス
 痕跡の可能性:郊外、森林地帯
 豊穣をつかさどる大地母神にして、世に狂乱と破滅をもたらす災厄の女神。一方で、彼女の
 生み出した木々は街を土砂災害から守るという側面も生み出しているかもしれない。

ゾス=オムモグ
 痕跡の可能性:海
 大神クトゥルフの息子にして、深海に潜む悪意ある海神。七伏市近海の海底洞窟には、
 ルルイエのゾス=オムモグの寝床につながる《門》がある可能性が高い。

バイアティス
 痕跡の可能性:七伏城跡
 かつて七伏城を住処として、城の鉄壁の防衛に尽くした怪物。この怪物に似た個体は、20世紀 に入ってからも西洋の古城などで確認されている。現在この怪物がどこにいるのかは不明。

・七伏市の人口
2024年現在の人口は5万人強だが、再開発や行政努力によって人口が流入してきており、人口増加率は近年3%を超えて、街全体に活気があふれている。出生率も悪くないため、今後の発展に期待できる地域といえるだろう。郊外の山林などにも土地が余っており、七伏市の将来性を見越した海外企業がそれらの土地を買っている。また、一部では大規模な工場などを作る計画もあるようだ。そうなれば七伏市の人口はますます増加するだろう。七伏駅の周囲にはマンションが立ち並び、最近移住してきた若い世代が多く住んでいる。一方で、駅から離れた海側の地域には古くからの住居が立ち並んでおり、平均年齢も高くなっている。一方で、過去には突然人口がごっそり減った時期もあったようだ。その理由は不明である。

・行政サービス
七伏市では特に子育てに力を入れている。市独自の助成金もさることながら、七伏駅まで子どもを連れて来ることで各保育園に送迎してくれる「駅前送迎保育ステーション」は、横浜市へ出勤する若い世代に人気である。また、この10年で保育所も増えており、待機児童は10年連続で0人であることも移住しやすいポイントの1つだ。古くからの商店街と連携した地域密着型のイベント、商店街の人々からの見守り活動などもあり、特に七伏駅の周辺は子育て世帯にとって安心できるエリアになっている。最近では更なる人口増加を目指して、海外企業やブランドマンション、ホテルの誘致に力を入れている。現在、七伏市役所で最も肝いりの案件は鉄道新路線の誘致である。市周辺の利便性を上げることで更なる観光客を呼び込もうというのだ。これには近隣の市の協力も得られており、市としては2035年の開業を目標にしている。一見無謀にも思える案だが、なぜか前向きに話が進んでいるようだ。

・商店などの一般の営業時間
市役所、市税事務所、図書館といった公共施設は9時から18時まで開かれている。商店街は概ね10時ごろから営業を始め、19時になるといくつかの商店が営業を終える。21時ごろにはほとんどの商店のシャッターが下りているだろう。デパートなどはより厳密で、10時になると門が開き、20時になると完全に閉じられてしまう。土日祝日は商店街が活発になり、イベントの日には路上パフォーマーがやって来ることもある。デパートの上階には催事場があり、子供向けのヒーローショーなどが開催されることも多い。

・賃貸アパート
学生や20代の若者を中心に、七伏市の賃貸は非常に手を出しやすいものだ。駅からの距離にもよるが、築30年で2DKのアパートなら5~6万円台で借りることができる。より手狭な学生向け1Kなどであれば、3万円台のものも存在する。ただし、そのような家は周囲の広大な自然からの刺客(虫)にさいなまれることになるだろう。 七伏市で最も安いアパートは、南地区の海辺の方にある「出里荘(いずさとそう)」という物件だ。ここはなんと月5,000円で借りることができるが、うわさによると入居者のほとんどは1か月以内に出て行ってしまうようだ。

・賃貸マンション
20年ほど前、七伏町が統合して七伏市となった際、地域活性化のためにマンション建設ブームとなった。そのような物件は利便性の高い七伏駅前に集中している。築20年の1LDKで家賃は8万円からと、学生などには少し苦しい金額帯になってくる。3LDKなどのファミリー向けのマンションはおおよそ14万円からだ。七伏駅徒歩2分の「ザ・タワー七伏」は、市内で唯一のタワーマンションである。ここの上層階の賃料は七伏市で最も高い32万円となっている。一方で、少し駅から離れてみると3LDKで11万円台など、かなり求めやすい価格帯になる。これも七伏市に人口が流入する理由の1つだ。

・戸建て住宅
駅から離れてもよいのであれば、新築一戸建ては3,000万円以下で購入できる。駅の周囲は商業地域や第一種・第二種中高層住居専用地域となっているため、戸建て建築はない。中地区から北地区にかけての一部には高級住宅街もあり、そこの価格は青天井である。

・分譲マンション
駅の近くに多く建てられた分譲マンション群は、ファミリー向けが3,000万円台で購入できる。一方で「ザ・タワー七伏」の上層階は1億円を超える値付けがされており、七伏市民の憧れになっている。

・公営団地
南地区にある古い公営団地「南ななふし」では、月4万円ほどでファミリー向けの住宅が供給されている。ただし、倍率が高いためここに居住できるかどうかは〈幸運〉に成功するかどうかで決定することになる。これは3か月ごとに再チャレンジすることができる。

・職を探す
非正規雇用であれば、七伏市で職を探すのは簡単である。駅前の商業施設はいつでも人手不足だ。短期のバイトであれば、イベントスタッフなどの仕事もあるだろう。海側では漁業も盛んである。アルバイトの給与は神奈川県の最低賃金に準ずるケースがほとんどである。正規雇用の場合、市内で選べる職種は多くない。事務系の仕事は少なく、多くはマンション建築にかかる作業員や、製造業、漁業の募集だ。給与はそこまで割りがいいわけではないが、物価は首都圏の中ではかなり安い方であるため生活が苦しいということはないだろう。時折「森で立っているだけ」「海を見守っているだけ」で日給10万円というアルバイトの広告も出ているが、本当に給与が支払われているかはわからない。

・犯罪、犯罪者、邪悪なる者
七伏市での犯罪については、七伏駅近辺の繁華街で発生することがほとんどだ。重大な犯罪などは少なく、窃盗などの軽犯罪が大半を占めている。一方で、時に説明のつかないような出来事が発生することもある。それらは七柱に関連したカルト組織が巻き起こすものであったり、超自然的な力による神隠しであったりとさまざまである。七伏市の警察は駅周辺を重点的に見まわるものの、郊外などになると監視の目がおよばないことがままある。そういった場所には邪悪な者たちの隠れ家がある可能性もある。これは犯罪と直接関係はないかもしれないが、七伏市では少し行方不明者が多い傾向がある。周囲を囲む山は低山とはいえ、1人で入ると迷いやすいので注意が必要だ。また、海難事故で発見されないケースもあるのだろう。それにしても行方不明者が多いのには何か理由があるのだろうか……?

・食生活と名産品
七伏市は合併による再開発に伴って、スーパーマーケットなどの店が次々と出店している。どの店舗も地域での主権を取るために価格競争に励んでおり、そのおかげで食品価格は都内と比較するとかなり控えめだ。南地区の方には激安すぎるスーパー「メガオーガニック」では、8個入りの卵がいつでも40円という価格で売られており名物になっている。一方で、安すぎて不気味だという声もある。七伏市の西側には漁港があるため、毎朝新鮮な魚介類が市場に並べられる。七伏商店街ではそれらの海鮮をふんだんに使用した「七伏丼」を推しているようだ。そのほかにも、カニなどをそのまま強烈にプレスして作る「ななふせんべえ」の開発に力を入れているが、グロテスクな見た目から賛否が分かれている。山の幸も豊富であり、市では特産豚「七伏ポーク」のブランディングに力を入れている。また、サルナシ(ミニキウイ)の栽培が盛んであり、ジュースやジャム、ゼリーなどの加工食品が生産されている。もちろん、神奈川県由来の菓子類なども豊富に取り揃えられており、七伏市に観光に来た人たちがお土産に困るということはないだろう。

・七伏市の施設

<北地区(運河の北側)>

1. 寺院「北見寺」

街の北部にある寺院。七伏市に古くから伝わる呪具が封じ込められているといううわさがある。

2. 鎮守の森「北の森」
この土地が開拓される前の姿をとどめている神社の所有地。

3. ななふし天文台
町はずれの小高い丘の上にポツンと建っている公開天文台。

4. 神社「西風神社」
街の北東にある山がご神体の小さな神社。たまに街の古い行事が執り行われる。

5. 駅「北七伏駅」
電車は一時間に平均5本。

6. 公園「ななふし公園」
運河の近くにある、大きな広場のある公園。ここではいろいろなイベントが開催される。

7. 巨木「見下ろし杉」
この土地に人が住み始めたころから、ずっと住人たちを見守ってきたそうな。

8. 博物館「猿梨博物館(さるなしはくぶつかん)」
自然科学展示室、人文科学展示室の2つの常設展示室にて展示を行っている。2か月に一度のペースで特別展示がある。

9. 首無し地蔵(俗称:射殺し地蔵)
田んぼに近い田舎道にポツンと建っているお地蔵さま。その名のとおり首から上がなくなっているが、ずいぶん昔から今の姿だったらしい。実はこの地蔵はイゴーロナクの偶像であり、悪意あるものの声に応えて《神格との接触/イゴーロナク》を発動させる。

<中地区(運河に囲われている場所)>

10. 小学校「市立七伏小学校(しりつななふししょうがっこう)」
さして規模の大きくない小学校。歴史自体はそこそこ長く、今年で創立50周年を迎える。

11. 公園「七伏近隣公園(ななふしきんりんこうえん)」
いわゆる「近隣公園」に区分されており、面積は2ヘクタール程度となっている。地域のお祭り・イベントなどの際には、屋台が多数出店され大きなにぎわいを見せることもある。

12. 図書館「市立ななふし図書館」
充実した蔵書のある図書館。郷土史を調べるのなら、ここに来るのがベスト。郷土資料館も併設されており、街に古くから伝わる歴史的資料、発掘品などが展示、保管されている。

13. 警察署「七伏警察署」
4階建ての警察署。見回りに力を入れており、地域住民との関係も比較的良好である。

14. 駅「七伏駅」
電車は一時間に平均10本。

15. 役所「七伏市役所」
伝統的なたたずまいの庁舎は今年で築70年にもなる。防災に力を入れており、有事の際にはしっかりと対応できるだろう。

16. 病院「東西総合病院」
住人のあらゆる症状に対処してくれる、ありがたい病院。カウンセラーも在職。かなり大きな病院であるため、市外からも急患を受け付けることがある。病床使用率も常に高い状態だ。

17. 新しい住人の家「都賀仁伍」
しばらく売り家だったが、最近、新しい住人がやってきた。ただ近所の評判は良くない。

18.黄昏(たそがれ)の人形館
海辺に建つ西洋館。現在は人形館となっており、人形の展示・製造・販売などが行われている。店主は長い間、歳を取っていないといううわさもある。

19.七伏城跡(ななふしじょうあと)
1600年代から七伏氏が治めた、難攻不落の名をほしいままにした城の跡。観光資源として城の再建を望む声も上がっているが、一部の団体から強い反発を受けている。

<南地区>

20. 工事現場「ファミレス建築予定地」
田んぼをつぶして更地になった場所。「ファミレス建築予定地」と書かれているが、工事が進んでいる様子はない。夜中に時折何者かの声が聞こえるらしい。

21. リサイクルショップ「いろは」
元は骨董品店だった。先代の主人は目利きで知られている。意外なものが見つかる店。

22. カフェ「ウィップアーウィル」
世界を旅した写真好きのマスターが経営する静かな純喫茶。コーヒーをいれる腕は一流。

23. リサイクル工場
ずいぶん前に廃墟となったリサイクル工場。以前から反社会的組織とのつながりが指摘されていたようだ。

24. 町工場「赤羽製作所」
従業員10人程度の金属加工をしている町工場。いつも工作機械の動作音で騒がしい。金属製の容器を作っているようだが、用途などは不明である。

25. 食品スーパー「メガオーガニック」
8個入りの卵がいつでも40円という恐ろしいスーパー。店長が南の森で何かにエサをあげていたという姿が目撃されているとかいないとか。

26. 公営団地「南ななふし」
40年ほど前からある団地。以前までは空き部屋が目立っていたが、再開発に伴い人が戻って来た。家賃がかなり安く、ファミリー層に人気がある。いやに荒れた、立入禁止の部屋がいくつかあるそうだ。

27. 駅「南七伏駅」
七伏市内で最も古い駅。電車は一時間に平均3本。


<郊外>

28. 七伏ケープタワー
最近オープンした七伏市の西の岬に建つ展望塔。高さは118m。七伏市のランドマークとなることを期待されている。

29. 弾琴島(だんきんじま)
過去に遊郭で栄えた島。現在は半ば無人島となっており、地元の漁師が時折船で訪れるくらいになっている。最も近くに掛かっている「帯切橋」の周辺には、弾琴島の遊女の霊が出るとうわさされている。

30. 裏山
かつての支城(石垣)や古墳の跡がある。戦前は過疎地の集落があったものの、今は無人である。ここには神話存在によって生じた時空の裂け目があり、付近は携帯電話の電波が届かない。裂け目はだんだん広がっている。ここから、異界からの怪物やアーティファクトが現実世界に迷い込んでくるかもしれない。また、ドリームランドにつながっている可能性も非常に高い。

“七伏市奇譚”の設定を公式サイトにて無料公開しており、この設定を用いたシナリオはどなたでも執筆いただけます。

執筆いただいたシナリオを申請いただくと審査を経て、七伏市マップ上に掲載いたしますが現在は申請と更新を停止中となります。
今までに申請いただいた二次創作シナリオは下記より一覧にてご覧いただけます。

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