エンジニアに1週間ワーケーション(旅しながら仕事)をしてもらってわかったこと。
コロナで外出ができなくなる前の3月前半の話。毎月の定例会議で若手エンジニアから下記の悩みがあがりました。
エンジニア K君「最近、イライラするんです。」
エンジニア M君「最近、朝起きれないんです。」
「あぁそうですか。」
そう言ってしまえばそれまでのことで世界は溢れている。しかし「これまで明らかにされていなかった感情や事象」にこそ、新しい価値の萌芽があるはずです。
「そうそう。イライラすること、あるよねぇ。」「朝起きれないこと、あるよねぇ。」と過去の経験やグーグル検索を駆使して価値の芽を探してみました。
その中で「スウェーデンには毎週金曜の夜にみんな窓からウォー!と叫ぶ風習のある街がある」という新事実も発見しました。
しかし、どれもピンときません。これはマズい。また「あぁそうですか」で終わってしまいます。
そこで、毎年海外1人旅をするアートディレクター高井さんが「もうさ、俺と一緒に旅に出ればいいよ」と半分投げやりに言い放ちました。
「旅と仕事と新しい関係性」
「ワーケーション(Workation)」という概念があります。
「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、「リゾート地や地方等の普段の職場とは異なる場所で働きながら休暇取得等を行う仕組み」です。「個人が主体的に選択する、日常的な仕事(ワーク)に、非日常的な休暇(バケーション)の感覚を埋め込んだ柔軟な働き方」であり、「新たな働き方」(ワークスタイル)として注目されています。(拡大するワーケーションの可能性と課題(JTB研究所))
環境を変えて働くことで、何か変わるかもしれない。良い変化があるなら継続的にやってもいいし、何もなくてもそれはそれで新しい発見ではないか。そう思い立ち「1週間行ったことのない場所へ旅行して仕事をしてみる」ということに決まり、K君は仙台へ。M君は四国へ旅立ちました。
その実験結果をここに記載します。
仕事しないですごい楽しんでた。
(楽しんでいる様子だが、手元にPCはない。)
(VTuberと写真が撮れるホロリーというアプリらしい)
結論から言うとそういうことです。もちろんこれにはいくつかの要因があります。まずそもそも準備不足でした。ポケットwifiを持たずに鈍行列車で長時間移動し、作業ができないという事案も発生しました。突発でやることの弊害がでました。
では「やらない方が良かったか?」というと全くそうではありません。実は大きな変化がありました。
K君の「イライラ」は収まった。
「イライラする」と言っていたK君はイライラが少し収まったようです。まぁこれは仕事内容の変化もありますが。もともと「趣味がプログラミング」「仕事もプログラミング」というK君は、集中力が高くずっと作業し続けてしまうので、無理やりにでも外へ出る事は今回は少し良い方向に向かったようです。
M君の「生活リズム」は良くなった。
「朝起きれない」というM君は生活リズムが大変に良くなりました。朝は9時には会社にくるようになりました。まぁこれも親戚のおばさまからの叱咤激励がありますが。そして、また旅に出たいと思うようになったそうです。バイクの免許とろうかな、なんて話も出てきました。
人生に「旅に出る」という選択肢が増えた。
ということで今回のワーケーションテストは「業務生産性」という意味ではそこまで効果は見えませんでした。しかし、人は目の前の業務生産性を上げる為だけに働く訳ではないですしね。
人生に「旅に出る」という選択肢が増えたこと。それが素晴らしい事だと感じました。