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DAOを日本法のLLPでつくる場合の課題

お久しぶりです。

最近本業の勉強で忙しくサボっていたのですがそろそろやらなければと思い筆をとった次第です。


今回はDAO有限事業責任組合(LLP)で組成した場合の難点を書いていこうかなと思います。


なお、DAOは有限責任事業組合でなくてはできないというものではなく、その他のNPO法人合同会社(LLC)等の組織でも検討の余地はあります。

しかし、現行の日本法の下では、「組織運営の方法」の点で一番DAOに近いのは有限責任事業組合であると私は考えています。
(異論は認めますので、異論がある方はぜひコメントなりDMをください)


そこで今回は、一番DAOに近いと思われる有限責任事業組合で課題を検討したいと思います。

組合員の氏名及び住所の記載(4条3項4号)

法は、組合契約書において、組合員の氏名又は名称及び住所を必要的記載事項としています。

DAOの構成員のトークン保持者はそもそも匿名であるから、上記条項となじまないのです。

共同事業要件(13条1項)

法は、組合員に対し、「業務」の執行を権利と規定するとともに義務と規定しています。

法12条1項で業務執行の決定について規定していることからすると法13条の「業務」に「業務執行の決定」は含まれないと解釈される可能性があります。

そのため、意思決定にだけ参加したいガバナンストークン保持者は意思決定以外に「業務」を執行することを義務付けられる可能性があるのです。

組合員の加入(24条)

法は、新たな組合員の加入について、既存の組合員全員の同意を求めています。

もっとも、DAOは組合員の同意なくとも一定量のガバナンストークンを保有していた場合に参加できるものです。

まとめ

このように、有限責任事業組合はオンライン上で組織されるものについて想定して法制度化されたわけではないため、DAOを有限責任事業組合に当てはめようとすると無理が生じます。


DAOをLegal Wrapするためには新たな法律が必要なのかもしれません。

もっとも、Wyoming州のように既存のLLCの延長線上にDAOを位置づけて立法したように、日本でも有限責任事業組合の延長線上でDAOを位置づけることは可能です。


新たな法律を一から作るのではなく、有限責任事業組合のDAOに足りない要素を修正する形で、法律もアップデートできたら世界に追いつけるのではないかと感じます。


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