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リアル・ミュージック・バイ・リアル・ミュージシャン

20年前に発表された『ミュージコロジー』の頃にプリンスが唱えていた「Real Music by Real Musicians」という言葉は、もはやプリンスファンには説明不要な、強力に光輝く言葉となっています。

以前、#WDPDTW読書会を観て、この言葉について少し考えさせられました。

ライブの音が一番好きなデ・アンジェラさんの「リアル・ミュージック・バイ・リアル・ミュージシャンは最高!」という意見に全く異論ありません。100%賛成です。でも、リアル・ミュージック・バイ・リアル・ミュージシャンの言葉の威力はかなり強力です。そのためにコンピュータで作った音の良さが見過ごされてしまっては困る、という気持ちだったのかどうか分かりませんが、マイケル・ディーンさんが、そうじゃない音楽の意義を語ってくれたおかげで、バイアスなく音楽を聴ける気がしてきました。

リアル・ミュージック・バイ・リアル・ミュージシャンの良さは、説明不要と思います。

そうではない、コンピュータによる音もプリンスを聴いていれば自然と耳にするわけで、もちろん良いと思うのですが、しっかり味わって聴けているのか自信はなく、もっとしっかり知りたいと思います。

コンピュータで作った音について、noteですてきな記事を読みました。「電子楽器とダンスミュージック」が好きな方からみたプリンス評はとても高評価でした。読みごたえあります。

コンピュータによる音楽というと、オズワルドさんのミックスは、今年もたくさん届けていただきましたが、私は、ついていくのに息切れします。でも、初めて聴いたときよりはすんなり入ってくる気がしています。うへー、と驚くところもあります。そのうちプリパで浴びてみたいものです。

デ・アンジェラさんのシンポジウム、TripleThreat40でのDan CharnasさんによるLM-1についての発表の動画がとてもおもしろかったです。おすすめです。


アコースティックな楽器の演奏には練習が欠かせなくて、1日休むとバンドメンバーが気付き、2、3日休むとプロの同業者が気付き、1週間休むとオーディエンスが気付く、というようなことをアトランタ・ブリスが話していたような気がします。もう記憶があいまいで、○日休んだら○○の言葉は少しでっち上げているので正確ではありませんが、練習が音に正直に出るのは確かなのでしょう。

では、コンピュータで作る音に練習は必要ないのかというと、練習しなくても音は出るのかもしれませんが、いい音楽を作るには練習が必要なのではないかと想像しています。プリンスは簡単にどんな音も作っているようなイメージがありますが、楽器演奏とは違うところで難しさはあるのではないかと想像します。

プリンスへの入り口は、本当にたくさんあって、リアル・ミュージック・バイ・リアル・ミュージシャンでも電子楽器でもDTMでもなんでもいいのかなと思いました。

#WDPDTW読書会で、ファンクというのはアンサンブル音楽で、バンドメンバーとしての演奏がすばらしいというコメントを聞きました。複数の人が同時に息をあわせて演奏してできる音楽の素晴らしさってあると思います。でも、プリンスの一人多重録音は、それをシーケンシャルに一人でやってしまっています。そして、一人なのにアンサンブルみたいなところが失われていないと感じます。『フォー・ユー』や『愛のペガサス』を聴くと、その一人アンサンブルが感じられて大好きです。でもよく考えると変態的な方法です。結局、プリンスは意味不明なのだと思いました。

それから、リアル・ミュージック・バイ・リアル・ミュージシャンとプリンスが言っていた背景には何があったのかも知りたいと思いました。

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