
『ジェシー・ジョンソンズ・レヴュー』40周年__Funkatopia④
Funkatopiaのホスト、Mr. クリストファーさんは、プリンスとの関わりのあった人がゲストに来ると、キャンセルされたNetflixのプリンス・ドキュメンタリーでインタビューを受けたかどうかの事実確認として、質問をしています。ジェシーもこの質問に答えました。
質問されて、まずジェシーが話したのは、ヴァニティのドキュメンタリーへの楽曲使用許可の依頼があり、何も問題を感じなかったので快諾したことでした。おそらく事務手続きだけで済んでいようです。
プリンスのドキュメンタリーの話はお引き取り願った。
僕は「君たちはモーリスと話をしたらいいんじゃないか」と言った。
すると、もう話したと言うんだ。
ああ、もうこれには関わりたくないと思ったね。
https://www.youtube.com/live/wwFsuQLNtgE?t=9162s
このあたりまでが、Mr.クリストファーさんが情報を整理するために必要な回答だったと思います。ジェシーはしっかり協力してくれました。
このあとジェシーは20分以上、人の秘密や欠点を売り物にすること、ゴシップの情報はねじ曲げられ捏造されること、人には誰だって欠点があるのに、ほんの少しの欠点でその人の成功をすべて消し去ること、そんな社会は悲しすぎることなどについて熱く語りました。簡単に要約してもジェシーの熱いハートが伝わらないので、ここは動画を見てほしいです。
その中でもう一度だけ、モーリスの言葉をドキュメンタリー関係者が使えないと言ったこと、その理由はプリンスの良いことしか喋ってないから、という件が出てきました。でも、ジェシーが語った時間のほとんどは、社会全体について喋っていたと思います。
ただ怒りをぶちまけているだけではなく、何がよくないのか噛み砕いて語って、最後にはとってもいいことも言ったりしてました。ここで書き起こしても「自分は誰にだって優しくしたい。優しさなんて誰もがタダで簡単に利用できる資源なのに、ぜんぜん使われていない(意訳)」みたいな常識的なことで、とうてい響かないと思います。直接インタビューを聴いてジェシーの言葉に刺されまくってほしいです。
今回のインタビューを聴いて、ジェシーという人間に惚れました。
短文のSNSはたくさんの情報を素早く集められるのが魅力的で、それはそれで便利だと思いますが、ジェシーみたいなハートに響く言葉を聞くことができません。短い言葉だけを見ても、背景まで知っていることならまだいいですが、詳しくない内容だと真意が理解できているのかどうか不安になることが多いです。
勝手な深読みですが、ジェシーは自分の言葉が切り取られて少しはSNSに流れることも予想してたかもしれません。その切り取られそうな部分は、全体から見ると、全然パンチのない切れ端だと思いました。切り取られてもいいように、ジェシーは最初から煙にまくつもりだったかもしれません。もちろん、私の勝手な推測です。でも、プリンスの悪口を期待されるような取材を受けたり、自分の言葉が、まったく逆の意味や突拍子もない形になって記事にされたりしてきた経験のことを話していたので、ふとそう思いました。
最初はトリビア的なところもおもしろいと思ったインタビューですが、全部聴いて伝わってきたのは、(前からそんな気がしていたんだけれど)ジェシーはとってもいいやつだということでした。