#WDPDTW読書会 1983 Week 42:アポロニア、ジェシー
Duane Tudahlさんの本を1週間分ずつ読む#WDPDTW読書会で聞いたことのメモと感想です。2023/10/21配信分。
読書範囲:Introducing Apollonia Kotero、Mid-October 1983
https://www.youtube.com/live/l_ZFDWLq4wY?feature=shared
Week 42の読書会はあっさり1時間で終わりました。D&P スーパーデラックス発売が間近で、みなさんそわそわしていたのかもしれません。
読書会で話題にされたのはアポロニアが中心でしたが、今回の読書範囲に少しだけ登場したジェシー・ジョンソンのこともまとめて書きます。
アポロニア
ヴァニティの代役募集のコピーが面白いです。
なかなか代役が見つからなかったが、最後の最後に、ヴァニティとは正反対のアポロニアがやってきた、とマグノーリ監督が語っています(マグノーリ監督の話は、いつも少しだけドラマチックさが盛られているように感じます。会話なのに映画的な情景描写になる感じです)。ゴージャスでダークなヴァニティ、ゴージャスで明るいアポロニア。これで映画の方向性が大きく変わります。
アポロニアは、新しい現場に積極的にとけこもとうし、プリンスも前向きな様子です。
ジェシー・ジョンソン
写真の前列右から3番目にジェシーがいます。ヴァニティもモンテ・モアもまだいるので、ちょうど1982年から1983年4月頃までの時期でしょう。
すっと、Tudahl さんの本を読んでいて、ジェシーのことが気になっていました。Week 42 の読書範囲にもジェシーが登場しました。1983年1月に遡り、ここまでに出てきたジェシー関連の気になる記載を抜き出します。[]でくくっているのは、本書中の記載箇所です。
プリンスとジェシーの出会い(1981年3月8日)
[SATURDAY, JANUARY 10, 1983]
ジェシーがプリンスと初めて会った1981年3月8日のことをジェシーが語っています。
プリンスは途中で床に転がって爆笑していますし、ギターのメンバーを探しているというのに、ギターを弾かせません。ジェシーはイリノイ州のロック・アイランドという小さな町からミネアポリスにやってきて、モーリスからプリンスに紹介されました。
Jungle Love のベーシックトラッキング(1983年3月26日)
[SATURDAY, MARCH 26, 1983]
1983年3月26日に Jungle Love のトラッキングが行われましたが、この日、プリンスはひどく機嫌が悪かったことが書かれています。(ジミーとテリーがライブをすっぽかしたのが3月24日だったので、その2日後となります)
ジェシーは、トラッキングのあと、プリンスのマッドキャットを使ってリズムギターのオーバーダビングして、ソロは自分のピンクの G&L でオーバーダビングしたと思われるとのこと。
さらにその後、ジェシーは別のスタジオへシャラマーの「Dead Giveaway」のギターの録音をしに行きました。
The Bird のベーシックトラッキング(1983年4月12日頃)
[TUESDAY, APRIL 12, 1983 (ESTIMATE)]
ジェシーの作った4トラックバージョンの The Bird のフック部分を気に入ったプリンスが、この日、カイオワ・トレイル・ホーム・スタジオでトラッキングをしました。
このときスタジオにいた、プリンス、モーリス、ジェシーの様子について、ジェシーがFacebookに書きました。この日のことも含め、ジェシーのことは、長谷川友さんの記事に詳しく書かれています。
録音したものの、モーリスのボーカルに勢いがなく、プリンスはセリフやアメリカ国家を追加して工夫したが、うまくいかなかった、と Tudahl さんは書いています。
ジミー、テリー、モンテの脱退
[MONDAY, APRIL 18, 1983]
ジミーとテリーがライブをすっぽかしたのは S.O.S Band のプロデュースをしていたからだとプリンスにバレてしまい、プリンス、ジェシー、モーリス、ジミー、テリーの5人がサンセット・サウンド・スタジオの小さな部屋で話し合いをしました。ジミーとテリーが解雇され、その後、モンテ・モアも脱退しました。
プリンスは、二人が The Time のミネアポリス・サウンドを不当に外へ持ち出したと感じていたようです。二人がプロデュースしていない別の曲のことまで責めていたようです。ジミーとテリーはそんなつもりではなかったでしょうに。
ジェリービーンへの声かけ
[JUNE 1983]
どんどん The Time とプリンスの関係は悪くなり、ジェリービーンは一度、感情的になり姿を消しますが、金銭的な理由もあり、プリンスのところに戻ってきます。ジェシーに「なあ、この仕事をやろうぜ(C'mon let's do this thing.)」と言われたとジェリービーンは語っています。
新メンバーが加わったのに、モーリスは全くやる気をなくし、ただいるだけという状況の中、ジェリービーンやジェロームと一緒にとりまとめ役をしていたのがジェシーでした。
あまり詳しく書かれていませんが、ジェリービーンがジェシーの別の一面に触れることも話しています。プリンスに認められたいというジェシーの嫉妬心かもしれません。
プリンスから中古のサウンドクラフト・ボードを譲り受ける(1984年)
[LATE JULY 1983 (SEVERAL DAYS AFTER RECORDING "DARLING NIKKI"]
カイオワ・トレイル・ホーム・スタジオのコンソールを入れ替えたものの、プリンスが気に入らなかったので、また元に戻したりする工事が1983年7月に行われていました。その後、1984年にあらためてコンソールの入れ替えが行われて、使わなくなった Soundcraft のコンソールを、ジェシーが23,000ドルで買うことになります。
ファースト・アヴェニューでのライブ(1983年10月4日)
[TUESDAY, OCTOBER 4, 1983]
The Bird と Jungle Love を演奏しました。冷え切った状態のバンドメンバーの様子をスーザン・ロジャースが語っています。
スーザン・ロジャースにアドバイスする
[MID-OCTOBER 1983]
プリンスがロサンゼルスのサンセット・サウンド・スタジオにこもっている間に、ミネアポリスでは、まだ新米のスーザン・ロジャースがプリンスと仕事ができるよう準備をしていました。
感想
ジェシーはショッキングピンクを着こなすイケメン役という第一印象でしたが、これまで Tudahl さんの本を読んだ限りは、地道な努力家で、計画的で堅実な印象です。裏方の仕事もまじめにやっていますし、プリンスが曲を作るときにスタジオに呼ばれることもあります。プリンスの音楽が好きだけれども、このまま The Time として活動する未来も見えず、こつこつと独立のための準備をしていたのかと思います。ジェシーは、プリンス、そしてプリンスの音楽にとっても大切な人だったはずです。それなのに、プリンスの態度はひどいもので、今後もひどい仕打ちが続くと思います。プリンスのひどい行いはジェシーに対してだけではなく、この本を読んでると、そういうエピソードがちらほら(ちょくちょく)出てきます。ジェシーは、少なくとも本書で引用されている部分では、直接的な悪口は言っていませんが、過去のひどい仕打ちを淡々と語っています。
後に、プリンスが The Time のメンバーについて語った内容が、本書で引用されています。このとき、ジェシーの名前が一番最初なのは、何か意味があったのかどうか。プリンスがジェシーにたくさん感謝を伝えられているといいのですが、そんなわけはないか……。お互いのこと(音楽)は好きだったんじゃないかと感じるのですが、音楽を作る現場で仲良しでいられるかどうかは別の問題なのかもしれません。
Tudahl さんの本でも、まだまだ登場するジェシーに大注目しています。ソロやプロデュース曲も The Time の曲も聴いていきたいです。
twitterで、ジェシーLoveの@my_jungle_loveさんから、ジェシーのギターのことなどを教えてもらって、一気にジェシーに惹かれ始めてます。@my_jungle_loveさんのアカウント名、少し前なら The Time ファンの方と理解した思いますが、もう、ばっちり、ジェシー!とわかるようになりました。
読書会の動画(1983 Week 42)
https://www.youtube.com/live/l_ZFDWLq4wY?feature=shared
読書会プレイリスト(1983 Week 42)
https://youtube.com/playlist?list=PL6YE_-qkWwSmENn2J5DY2Jo0kctQTq9Ip&feature=shared
読書会のサイト
https://www.polishedsolid.com/what-did-prince-do-this-week/
https://bookclub.polishedsolid.com/
Duane Tudahlさんのサイト
https://www.duanetudahl.com/welcome
https://www.duanetudahl.com/prince-book