カナダのオレンジシャツデー〜真実と和解の日〜
家族でカナダのバンクーバーに2年間の滞在を決め、昨年の9月に来てからちょうど1年が経ちました。
今日、9月30日は、オレンジシャツデー(Orange Shirt Day)。
カナダは、多様な文化を尊重し、世界中からの移民を受け入れる国ではありますが、その歴史は植民地支配や長期にわたる先住民への非人道的な扱いに根ざしています。
カナダの先住民
カナダの先住民(First Nation)は約4万〜1万年前にシベリアから来たインディアン(モンゴロイド)とされています。
先住民の一部、特にIniut人は、今のモンゴルの北の地域にトナカイと共に生きる遊牧民のツァータン(Tsaatan)、ロシアのヤクート(Yakuts)族などのウラル系民族に近い。
いわゆるエスキモー(Eskimo) と言われる民族グループです。
17世紀初めに、今のカナダ東部のケベック州(Quebec)をはじめとして、フランスが植民地を広げ、その後イギリスも植民地を拡大します。
そして、イギリスとフランスの間に植民地をめぐる戦争が続き、1759年にケベックでの衝突にフランスが敗れ、ケベックがイギリス領に統合され、1763年にフランスがカナダの植民地を放棄したことで、イギリス領になります。
その後、自治領政府、カナダ建国の歴史を辿りますが、建国前の1800年代から1990年代という長い間、カナダ政府とカトリック教会によるカナダの先住民に対する文化的ジェノサイドが行われたといいます。
これまで15万以上の先住民の子供がレジデンシャル・スクールに強制的に入れられ、民族の文化と言語が禁止され、日常的に精神的・身体的な虐待を受け、4000人以上の子供が命を落とし、親の元に戻ってくることはなかったという辛い歴史を経験しています。
真実と和解の日とオレンジシャツデー
2008年にカナダ政府が初めて先住民に対する歴史的な出来事に対して謝罪し、政府の委員会による調査が行われ、多くの犠牲者に対して補償も行われたと伝えられています。
さらに、2021年に、ブリティッシュコロンビア州で1890年から1970年まで運営されていたレジデンシャル・スクールの敷地で215人の子供の遺骨が発見されたことを受けて、カナダ政府は「真実と和解の日」を正式な祝日として制定しています。
レジデンシャル・スクールを経験した女性Phylis Webstadが、6歳の時、おばあちゃんからもらった大好きなオレンジTシャツをレジデンシャル・スクールの初日に着て行きましたが、そのシャツは取り上げられ、それ以降は戻してもらえなかったと、話したエピソードが、オレンジシャツデーの由来になったそうです。
そのオレンジシャツがシンボルとされ、「Every child matters - 全ての子供は平等に尊重されるべき」という考えの元、オレンジシャツデーが設置され、人権問題や差別問題について考え、この歴史的な出来事を次の世代に伝える日となりました。
オレンジシャツデーについて学ぶ学校のイベント
昨日、子供の小学校では、みんなオレンジシャツを来て登校していました。
さらに、先住民の伝統的な絵画に触れ、それを参考にして自分たちのオレンジTシャツの絵を描くなど、小学校では子供たちにこの歴史を伝えるための様々な活動が行われています。
子供たちは、学校の図書館からオレンジシャツデーに関する本を借りてきて、自分なりに学んでいます。
オレンジシャツデーを通じて得た理解は、子供たちにとって、カナダの歴史や差別に対する考えなど、新しい気づきを与えるきっかけになれば、と思います。
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