音楽分野の経済についてちょっとだけ考えてみた
音楽分野の経済について考えてみたいと思う。ここではクラシック音楽を念頭に置いているが、他の音楽とあまり大差ないかと思う。
美術分野では、作品が残るケースが多く、所有可能で、市場で価値も上下し、なにより一度、作品を制作すると、そのまま売買されることが通常である(もちろん、アートプロジェクトや参加型の場合は話が別ではあるので、割愛します、すみません)。音楽分野と演劇分野ではそういうわけにはいかない。商品の所有が困難で、公演の度に1箇所に観客が集まって、一度、作品を上演してもそれは商品として市場でやりとりされることはない。CDやDVDなども発売されるが、それでも「ライヴ性」に価値があるといっても過言ではない。となれば、公演を実施できなければ、音楽家の収入源が減少するのは自明のことである。
また、劇場で演奏会が実施可能となっても、観客席も減らさざるをえない。いくらかオーケストラがCOVID-19のパンデミック後に演奏会を実施したようだが、客席も物理的距離を十分にとった上でのものだった。実際に確認したわけではないのだが、仮に1,000席の劇場で、社会的距離(隣前後を2メートル)を保つために席数を250席にしたとしよう。収容定員は1,000席だが、集客率70%を損益分岐点とする。価格を一律、30ユーロとする。そうすると21Kユーロが損益分岐点だ。250席に限定して集客率が100%だとしても、7.5Kユーロしか売り上げが出ない。その差は13.5Kユーロ。実際にはもう少し細かいチケットの価格設定になるので、こうはならないが、かなり頭を悩ませることとなると思う。オーケストラではなく、コンサートホールの場合、例えば、ソリストものをいくつか細切れに用意してなんとか持ち堪えようとするのは不可能ではないだろう。バーやライブの場合、着席が求められる。
こうは言ったものの、アーチストは金銭は二の次にして、とにかく面白いものに飛びつくことが多いと思う。それこそがアーチストだ。資本主義なんかにかぶれるとアーチストの名が廃れるくらいの勢いでいいと思う。金工のいるかの某作家にもぜひ音楽の事情を鑑みて、アートという大きなくくりの代表として、もう少し働いてもらいたい。(最後はグダグダ)
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