ウニの発生
実際のウニを用いて放卵・放精を演示した後、受精膜のできる様子を顕微鏡で観察する。
授業中に2細胞期までは進まないので、事前に受精させた試料を準備しておくと良い。
1.目的
ウニを用いて実際に人工授精を行い、受精膜ができる様子を観察する。
2.材料・器具
バフンウニ、顕微鏡一式、ホールスライドガラス、スポイト、4%塩化カリウム水溶液
海水(人工海水でも可)
3.ウニの入手・保管・雄と雌の見分け方など
ウニは季節によって異なる。
夏はムラサキウニ、冬はバフンウニ。
海水で濡れた新聞紙に包んで、室温(15℃〜25℃)で保管する。
海水に入れると、環境の変化が刺激となり、放精・放卵することがある。
バフンウニは管足の色から雄と雌を見分けることができるが、かなり難しい。
雄:白、雌:黄色っぽい
4.放精・放卵
(1)コニカルビーカーに海水を満たし、ウニの口を上にしておく。
ウニに刺激を与えると精子と卵子を放出する。
乗せただけで出ることもある。
(2)口をとり外し、KCl水溶液を入れる。濃度は4%とか0.1mol/Lとか0.5mol/Lとか諸説ある。4%でも0.1mol/Lでも放出した。
(3)卵がコニカルビーカー内に沈んだら、上澄みを捨て、新しい海水を加える。
また沈んだら、上澄みを捨てて、新しい海水を加える。
2回繰り返して、KCl水溶液を洗う。
冷蔵庫で保管すると、翌日もなんとか受精する。
(4)精子は、海水で希釈すると、1時間程度で受精能力がなくなる。
よって、海水を使わずにシャーレや時計皿等に放出させると、冷蔵庫で3日位受精能力を維持できる。(ドライスパム)
5.観察
そのままだと濃いので、適当に薄める。
<希釈例>
卵:濃い卵1mL+海水3mL
精子:濃い精子1mL+海水9mL
予備実験をして希釈度合いを確認する。
(1)ホールスライドガラスに卵と精子をそれぞれ1、2滴滴下し、観察する。
精子は小さいので、600倍で観察する。
絞りを絞るとよい。
(2)卵にピントを合わせた状態に、精子を加えて受精膜のあがる様子を観察する。
(3)事前に受精させてある試料を観察する。
授業時間内に、分裂の様子を観察することは難しいので、事前に受精させておいた試料を準備しておくとよい。
6.片付け
海水を使用しているので、顕微鏡が錆びる可能性があるため、清掃用のコットンなどを準備しておき、レンズやステージなどを必ず拭く。
発生の目安
バフンウニの発生の目安は、以下の通り。
実際には、室温がもう少し低かったので、ややゆっくり進行した。
10:00 受精
15:00 16細胞期・桑実胚期
翌日午前中 胞胚期・胞胚期ふ化
翌日午後 原腸胚期
翌々日午前中 プリズム幼生期
3日後 プルテウス幼生期
のような感じ。
また、ふ化後はエサが必要になる。
与えなくてもプルテウス4腕期まで進行することもあるが、結構難しい。
来年は、エサを入手して、稚ウニを目指したい。
この内容は、私が行った実験をまとめたものです。
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