通貨発行益を考える
#COMEMO 通貨発行益に関する旧来の定式理解された論がある。
深尾光洋「通貨発行益とは何か」https://www.evernote.com/…/1f0991ab-1ca9-4c9d-9887-598d2be7…
【深尾】「日銀は保有 資産の運用益から経費を差し引いて利益を金融資産を民間から買い入れ、その代金として銀行券を民間に引 き渡す形で供給する。これが買いオペである。」
これはその通り。
【深尾】「日銀が銀行券を発行して購入した国債などの金融資産からの金利受け取りが、日銀の通貨発行益になる。通貨発行に必要な 銀行券の印刷費、人件費などの経費を無視 して単純化していえば、次の式のようにな る。
(通貨発行益)=(金利)×(日銀保有国債) (1)」
保有債は、その満期までは、政府一般会計国債費からの発行時約束の利払い(年率)を受け取る。
それは、売りオペにおける金利受け取りと合わせて、それから印刷局からの購入原価、買いオペにおける支払い金利並びに諸経費を差し引いて損益計算された利益剰余金が国庫納付されているが、それは通貨発行益の一部「運用利益金」であって、旧来日銀並びに財務省の理論立てでは「発行益」(1)とされている。
【深尾】「日銀による利益の 計上方法として、毎年発行する銀行券の残高の増加を使うことも考えられる。
(通貨発行益)=(期末の銀行券発行高) -(期首の銀行券発行高) (2)」
【深尾】 「この2つの通貨発行益の計算方法に は、密接な関係がある。(1)式では、その決算期中の国債からの金利受け取りだけを利益と考え、まだ確定していないとみている将来の時点で日銀が国債を市中に売却する売りオペを実行して、その代金として銀行券を回収すると、金利収入がなくなってしまう。」
「売りオペ」では、日銀はその時点の市場の金利を「支払うのではなく、受け取る側」であるはずで、「金利収入」になる。深尾氏は勘違いしている。
【深尾】「しかし、日銀が「購入した国債を絶対に 売らず、満期になっても新しい国債に乗り 換えて運用する」と決断したらどうだろう か。絶対に売らない国債の将来の金利収入 は確定しているので、国債の購入時点で、 将来の金利収入の現在価値を通貨発行益と して認識することができるはずである。」
「売らない国債」は、満期までの利払いは保障されているが、「将来の金利収入」が「確定」されているのではなく、「証券」でなくなることで、そのままだと、「借方:保有債▼/貸方:通貨(発行銀行券勘定)▼」として還収されてしまう。それを避けるために、日銀は「借方:現先勘定」
でキープして政府会計へ納付する用意をする。
【深尾】「永 久に保有する1億円の国債からの金利収入 」
「永久保有債」というのは、政府向けの「無利子発行」意外にはなく、どの長期債であっても満期が来る。
【深尾】「永久保有を、国債金利で割り引いた現在価値は金利を r として」として「次の式で計算できる」として、「確定した将来の金利収入を、 国債の購入時点で現在価値として認識すれ ば、買い入れた国債の金額に等しくなる。そうだとすれば、(2)式による通貨発行益の認識も一概に間違っているとはいえな い。「買いオペで発行した銀行券を、将来売りオペで回収することはしない」と日銀が決断すれば、銀行券残高の増分を通貨発 行益として認識してよいことになる。
等式(金利収入の現在価値)→上掲深尾稿の等式
フィクションであるが、このように、確定した将来の金利収入を、 国債の購入時点で現在価値として認識すれ ば、買い入れた国債の金額に等しくなる貸方「通貨発行勘定」(日銀当座の超過準備金分の加算)を「通貨発行益」の本体であるという認識は皮肉にも正解である。当期発行益が、(当期通貨発行益)=(期末の銀行券発行高) -(期首の銀行券発行高) (2)は当然。
(以下、後から作業)
【深尾】「日銀が発行した銀行券の回収」で、「インフレを抑制するためには、 日銀は売りオペを実行して銀行券を回収し、金利を引き上げる必要がある。」そうし てみると、日銀が買い入れた国債を、未来 永劫(えいごう)にわたって保有し続ける ことができると考えるのは間違いで、将来 の売却が必要になる。」
「未来永劫に保有」するような「永久債」はなく、喩え保有したとしても、政策委員会の議で「償還」を決めて、財源回しの国庫納付できる。
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