資産除去債務に係る繰延税金資産・負債の計上(回収可能性の検討含む)、一般的な実務上の整理について
今回は、資産除去債務に係る税効果会計の中でも、スケジューリングの実務・繰延税金負債の計上について解説いたします。
当記事は、経理ご担当者の方の中でも、上位のポジションにある方、及び新米会計士等専門家を対象としているため、そもそも資産除去債務とは?税効果とは?なんてことについては解説致しません。
さて、資産除去債務はご存知の通り、
有形固定資産(建附とか) 100 / 資産除去債務 100
という具合に最初に仕訳を切ります。
ちなみに、公認会計士試験レベルでも通常はここまでで、これに係る税効果については深く聞かれません。
実務上は、資産と負債で税務との乖離が生じますので、税効果が当然に発生します。具体的には、上記の仕訳に追加で、
繰延税金資産 30 / 繰延税金負債 30
いう処理が必要となります(法定実効税率を30%とする)。考え方的には、資産負債それぞれに税効果がかかり、一度法調をいれたほうが分かりやすいですが、相殺され、結果上記のDTADTLという仕訳となります。
※注 DTA = Deferred Tax Assets(繰延税金資産)、DTL = Deferred Tax Liability(繰延税金負債)
こちらDTAとDTLの解消タイミング及び仕訳ですが、先ず、DTLは、反対側である有形固定資産の計上から発生しています。なので、有形固定資産の増減と共に、解消されていく理解で問題ありません。具体的には、耐用年数が5年とすると、
DEP 20 / DEP累計 20
DTL 6 / 法調 6
という具合に解消されます。
他方、DTAですが、こちらは、資産除去債務の計上と対応していますので、実際に資産が除却等されたタイミングで、同額解消されます。なお、ご存知の通り、資産除去債務に関しては利息費用で毎年増加していきますので、それに30%乗じた金額が、
DTA 5 / 法調 5
のように増加していきます。こちらについても、除去のタイミングで、合わせて全額が解消されるイメージです。
以上、ここまでは、経営財務にも掲載があった、ぐぐっても出てくるレベルの知識です。実際に実務で問題となるのは、回収可能性・スケジューリングです。
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