CSキャリア”インタビューリレー”第九弾
思わぬカスタマーサクセスとの出会いから、現在は山梨県でスラッシュワーカーとして多方面で活躍されている中島さん。
カスタマーサクセスを経験したことで、生き方のバリエーションが格段に広がったという実体験と今後の展望を聞いてきました!
はじめに
-こんにちは。今回は、株式会社KOMMONSが企画する”CSキャリアインタビューリレー”の第九弾です。
株式会社KOMMONSは、カスタマーサクセスに特化したサービスを提供する会社です。企業向けのカスタマーサクセス支援サービスやカスタマーサクセスを職業とする方たちのコミュニティを運営しながら、カスタマーサクセスの方たちが自信を持って働ける世界を目指しています。
インタビュー内容
【1】 中島さんのご経歴
前職で初めてカスタマーサクセスと出会い、部署の立ち上げから参画。
200社近い企業のオンボーディングを経験した後、コミュニティをつくりたいという想いから、自ら手を挙げコミュニティマネージャーに。
地元である山梨県へUターン後もコミュニティ運営を業務委託として続けながら、現在は週の半分はフリーランスのCSコンサルタント、コーチング塾運営、経営者の相談員として活動するかたわら、もう半分は会計系コンサルファームの会社員としても活躍し、複数の肩書を持つスラッシュワークを実践中。
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【2】カスタマーサクセスから2拠点スラッシュワーカーへ
中島さん、本日はよろしくお願いします。
最初に、今回のインタビューを受けてくださったきっかけや「CSに携わる皆さんにこれは伝えたい!」とお考えのことがあれば、ぜひ教えてください。
私は今、山梨県に住んでいて、仕事は山梨と東京で請け負う2拠点生活をしています。
カスタマーサクセスを経験したからこそ、会社員とフリーランスという働き方を実現することができていると感じており、カスタマーサクセスは人生の選択肢の幅を広げるなと思った実体験から、CSに携わる皆さんに「こんな働き方もあるよ!」というのを伝えたいなと思いました。
自身のキャリアは今4社目ですが、1社目、2社目の仕事はカスタマーサクセスとは関係がなく、3社目で初めて出会いました。
カスタマーサクセスという言葉もまだほとんど知られていない時期でしたが、これはぜひ自社でも取り組まなければならない概念だという話になり、新しく部署をつくることになりました。
私も入社して3か月はインサイドセールスをしていましたが、カスタマーサクセスの部署へ異動になり、他2人のメンバーと一緒に部署の立ち上げをすることになりました。
そこから2年間は200社くらいの企業に対してひたすらオンボーディングをして、その後に新規の事業部ができることになり、今度は1人カスタマーサクセスとして、オンボーディングからアダプション、契約更新までを1人で担当していました。
3年くらいはカスタマーサクセスとしてひたすらお客様と接していく中で「コミュニティをつくりたい」という想いが強くなり、会社に対して「コミュニティをつくりたいです」と手を挙げたのがきっかけで、コミュニティマネージャーをやることになりました。
カスタマーサクセスとの出会いからコミュニティづくりまでを経験したことが、今のフリーランスのCSコンサルタントにもつながっているんですね。
フリーランスとしては、具体的にどんなお仕事をされているんですか?
フリーランスは3軸あります。
1つはカスタマーサクセスの仕事。もう1つは自身のコーチングの知識と資格を活かしたコーチング塾を山梨で運営しています。最後は、全国にある経営者向け無料相談所の山梨拠点で相談員をしています。
フリーランスのカスタマーサクセスとしては、今は4社をお手伝いしています。
そのうち2社はコミュニティ運営、もう2社はサクセスのコンサルタントとして、カスタマーサクセスチーム立ち上げの人材育成や仕組みづくりの支援と、アライアンス部署のパートナーサクセスの支援をしています。
【3】コミュニティ立ち上げの苦労と成長する楽しさ
コミュニティ運営とカスタマーサクセスでは違いもあると思いますが、それぞれのやりがいや難しさはありますか?
まず、コミュニティ運営はすごく楽しいです!
前職で自分が立ち上げたコミュニティを、そのまま業務委託として手伝っているというのもあります。
始めた当時は20人くらいのメンバーだったのが、今は300人くらいに増え、お客様同士がつながり、「コミュニティがあってよかった!」という声を聞くことができたり、コミュニティの人材プールの中から会社のイベントに登壇してくださる方を探したり、インタビューに応じてくださる方を探したりできるようになったりと成長を感じます。
コミュニティをつくった時のコンセプトが「巣」だったのですが、巣の中で雛たちが大きな鳥となって飛び立っていくように、コミュニティの中でお客様が実力をつけて活躍されていく姿を見るのはすごく楽しいですね。
それはとてもやりがいがありますね。
とはいえコミュニティを大きく広げていくことも大変なことだと思います。苦労したエピソードなどはありますか?
コミュニティは事業に即効性のある施策とは言い難い面もあるので苦労はありました。
特に自分の描く理想として「できるだけ顧客主導のコミュニティにしたい」という想いがあったので、運営もお客様にお任せし、会社は黒子としてファシリティの提供や事務作業はやるものの、前に立つのはお客様という仕組みにこだわりました。
運営コストの削減という狙いもありましたが、一番は「お客様がやっているコミュニティ」の方が会社に忖度しない情報が得られるという期待感から信頼度が高まると考えたからです。
ただそういうコミュニティの場合、会社の意図通りに運営ができるわけではなく、その意味で会社の事業に即効性のある施策にはなりづらい面があります。
そもそも立ち上げ当初から、コミュニティによる直接的な売上や、アップセルを狙った設計にはあえてしていませんでした。
かつ、トップダウンではなく自分のボトムアップで始めた施策でもあったので、期初には「コミュニティを続けさせて欲しい」と上申し、会社の決裁で予算を確保する必要がある大変さはありました。
あとはお客様にコミュニティを運営して欲しい意図はあるものの、コミュニティ運営に適したキャラクターのお客様を見つけるのがとても大変でした。
協力してくださるお客様の中でも、運営には適したキャラクターというのがあると考えていて、誰でもいいわけではない難しさがありましたね。
【4】フリーランスで関わるカスタマーサクセスの面白さ
カスタマーサクセスとしてもフリーランスになって感じるやりがいや面白さはありますか?
自分は前職でカスタマーサクセスに出会ってから、スキルがすごくあるとか、役職が上だったというわけではないのですが、黎明期から立ち上げをした経験が役に立つと実感できたのは面白かったです。
フリーランスとして、今は前職と全く違う分野のプロダクトをお手伝いしていますが、分野に限らず自身の経験を抽象化して、他のプロダクトに適用していくプロセスが楽しいですね。
1つの会社にいたらその会社のことにしか関われないですが、全く違う業界やプロダクトに少しづつ関わりながら、色んな仕事ができるのはフリーランスならではの楽しさだと思います。
【5】何よりも大切なお客様とのつながり
ご自身がカスタマーサクセスと出会ってよかったと思うことはありますか?
カスタマーサクセスとの出会いは完全に成り行きで、出会う前はどんなことをするのか仕事内容も知らなかったです。
立ち上げることになった後も、カスタマーサクセスとして何をやるかから全部自分たちで決めていきました。
オンボーディングの資料もなく、そもそもどうやったらお客様がオンボードするのか、手順も定義もわからなかったです。
会社としても、もともと売るのに苦労していたプロダクトがようやく売れるようになり、次は売れるが止めてしまうという状態になって「お客様が止めないようにするにはどうすればいいか?」というテーマだけがあり、後は自分たちで考えて欲しいという状況でした。
そんな中でカスタマーサクセスをやってよかったと思うのは、まず、当時は全くなかったドメイン知識が、自分で資格を取ったりお客様に教えてもらいながら詳しくなり、今の会社に転職できるまでに身についたということですね。
あとは、カスタマーサクセスに詳しくなったことで、フリーランスの道が開けたこともあります。
そしてなにより、当時はオンボーディングを3人で担当していたので、とても多くのお客様のオンボーディングをすることになり、お客様とのつながりができたことです。
当時担当したお客様とは今でも仲がよく、そんなお客様とのつながりを得たことがカスタマーサクセスをやって一番よかったことだと思います。
お客様と直接接点を持ちつながっていけるのはCSの醍醐味ですよね。
今はフリーランスのCSとしての経験も活きていると感じることはありますか?
フリーランスで得た人脈が本業に活きているというのはありますね。
フリーランスの仕事から本業の仕事も生まれており、会社の人脈だけでは築けない人脈をフリーランスの活動で築けていると思います。
私自身はビジネスマンとしてそこまで能力が高いと思っていないので、人脈に生かされているなと感じています。
また、フリーランスとして色んな会社のお仕事を少しづつやりながら、人脈を広げていく働き方は自分に合っていると思っています。
【6】ひとのつながりで山梨のビジネスに貢献していく
現在はスラッシュワーカーとして活躍されていますが、将来の展望や今後やってみたいことがあればぜひお聞かせください。
今は山梨での活動に力を入れています。
これまではIPO準備の会社に関わることが多く、会社の先進的な取り組みや、優秀な人材に出会う機会が多くありました。
翻って、山梨で色々な方の経営サポートをする中で、違いをすごく感じるというか、極端に言うと20年前の経営をしているなと感じることも多くあります。
IT面だけでなく、人材や経営者の知識においても、山梨の経営レベルを上げていく方法を模索しながら、山梨のビジネスの発展に貢献していくことに影響力を発揮していきたいですね。
それは素晴らしいですね!山梨へのUターンは地元愛だったのでしょうか?
地元が好きというのもありますが、きっかけは家族あってのUターンでした。
自分は東京で先進的な企業に勤めてみて、山梨に戻ってきたら「これは同じ令和なのか?」と感じる状況の会社もたくさんあるんです。
山梨の会社に勤めるか、東京の会社に勤めるかで有利/不利があると感じ、どの会社に勤めるかで、従業員の幸福度や将来性が変わってしまうのはおかしいと感じました。
ギャップをゼロにはできなくても、山梨に住んでいて山梨で働かざるを得ないひとが楽しく働けて、将来の可能性が損なわれない働き方ができるようにしていきたいです。
もともと不公平が嫌だなと思う性格なんですよね。
私自身も東京に出てから知ったことがたくさんありました。その中で、地方で育つ子供と東京で育つ子供は、中高生の時点で既にとても差がついていると感じました。
例えば、親のリテラシーレベルや給与所得、そこからくる大人が知っていることのレベルが違うので、それが子供への教育にも現れてくると感じています。
そうした実感から、山梨に生まれてきて損したと思う人を減らしたいという想いがあります。
あとは自分がいる環境を楽しくしていたいという気持ちですね。
「山梨で面白いことをするにはどうしたらいいか?」ということをいつも考えています。
山梨にいて東京の仕事ばかりしていたら、山梨での人脈はできません。
山梨にいても知り合いが誰もいないのはつまらないです。山梨で山梨のひととも面白いことがしたいと思っています。
【7】5年先をイメージしてわくわくしながら仕事をする
最後に、CSに携わる方々へのメッセージをお願いします。
CSはすごく将来の可能性がある仕事だと思います。
そもそも経験者が少なく、市場に出る人材の数が少ないというのもあり、カスタマーサクセスを極めることも将来につながる仕事ですし、サクセスそのものだけでなく、ドメインに特化して横展開していくこともできる仕事です。
何よりも自分の将来価値を高めるために、今やっている仕事を極めることが大事だと思っています。
前職のマネージャーから言われた「生産性をもって働く」という言葉がずっと残っているのですが、生産性とは効率のことだけではなく「5年先を見据えて働く」ということなんです。
「5年先に自分の仕事や自分がどうなっているのかを想像して、そこに近づけるように働いてください」といつも言われていました。
今、CSに携わっている皆さんも先をターゲットに見据えて、わくわくしながら働いて欲しいなと思います。
わくわくしながら仕事をするのは大事ですよね!今日はありがとうございました。
はい、すごく大事です!!ありがとうございました!