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「わたしたち」は、アナログか。デジタルか。【手神さまへの手紙③】
最近「デジタル(digital)」という言葉について調べる機会があり、
「えっ、そうなんだ!」
と驚いたことがありました。
「デジタル」の言葉の由来って、「指 (digitus)で数える」ということなのですね!
もしかしたら、意外と広く認知されていることなのかもしれませんが、わたしは初めて知りました。
よもやデジタルという言葉に、「手」と密接なつながりがあったとは!
この機会にデジタル・アナログという言葉について、前々から心にあったことを言語化してみたいと思いました。
「指で数える」が語源のデジタルは、つまりは「数で示すことのできる」世界です。
たとえば、アナログの時計なら、秒針が「連続的に」まわりながら時間の経過を表していきますが、デジタルの時計だと、たったいままで11:10だった時間が、ある瞬間からカチッと11:11になりますよね。境目がある。
アナログが、曲線で描ける変化を示すのに対して、デジタルは、階段状に変化する、という言い方もできるかと思います。
ときたま、「わたしはアナログ人間だから」という言い方を耳にすることがあります。
社会のデジタル化の波に乗らず、マイペースで暮らしていく……そんな意味あいで使われることが多いように思います。
わたし自身、note以外のSNSは全く不案内ですし、便利なものにはあまり頓着がなく、アナログ寄りの人間かもしれません。
でもそれとは別のところで、ずっと、デジタルに「愛着」を感じている自分がいます。
デジタルの語源が「指で数える」ことなのだと知って、その愛着の理由がわかったような氣がしました。
そもそも、この世界に誕生したとき、わたしの体の始まりとなった受精卵は、細胞を分裂させて、まず「1から2へ」と変化しました。2は4へ。4は8へ。
それは正真正銘、「デジタル的な変化」です。
そして、分裂する前のひとつひとつの細胞の中では、連続的に成長していく「アナログ的な変化」が、途切れることなく続いていたはずです。
小さな受精卵は、デジタルとアナログの働きの繰り返しによって、いつしか「わたし」へと成長しました。
そしてもちろん、現在の「わたし」の体のなかでだって、そうした変化は随時起こっているわけです。
例えばけがをしたあと、かさぶたができますよね。そして、いつのまにかそれがはがれて、元通りのきれいな肌に戻る。
それは一見連続的なアナログの変化にみえますが、本当は、血小板が「ひとつひとつ」傷口に集まって、それをふさいでくれるから、かさぶたが形成されるのです。全体からみれば、「無数の」血小板の働きということになりますが、実際には、ひとつ、またひとつ………と血小板が集まってくるわけですから、「指で数えられる」デジタル的な働きだといえるわけです。
かさぶた部分に限らず、なめらかに修復されるかにみえる皮膚だって、ひとつひとつ新しい細胞が生みだされ、置き換わっていきますから……わたしたちの体は、あちらもこちらもデジタルに支えられている、ということになります。
だから当然なのですが、デジタルって太古の昔から存在しました。
ただ、わたしたちがそれを敢えて意識するようになったのは、やっぱり近年になって、パソコンやゲーム、AIといったものが、わたしたちの日常にあふれるようになったからだと感じます。
逆にいえば、コンピューターの世界がこれほど身近になったことで、それまで日常の風景に溶け込んでいたデジタルを、わたしたちはあらためて意識できるようになった。
そんなふうに感じると、わたしはどうも、デジタルという概念に親近感がわくのです。
たぶんわたしは、かさぶたを「無数の血小板」という言葉で片づけてしまうより、「ひとつひとつの血小板が傷口に集まってできたもの」と捉える感覚が好きなのだと思います。
なぜなら、わたし自身がデジタルの「一員」だからです。指を折って「ひとり」と数えることのできる、「個」であるからです。
もちろん、みなさんも。
みなさんの大切な人たちも。
そんな視点に立つと、日増しに社会にあふれていくデジタル機器は、大切なメッセンジャーであるとすら感じられます。
大きな流れのなかに「個」があること。
「無数」にみえるものも、実は数えることのできる「ひとつひとつ」で構成されていること……を、わたしたちに思いださせてくれた。
アナログ──連続的な流れ、と。
デジタル──指を使って数えられるもの、と。
「わたしたち」は、その両方でできている。
さて、ここからは、マガジン「手神さまへの手紙」に寄せられたみなさんのご投稿から、四人の方の記事を紹介させてください。
デジタルを感じるものと、アナログ的なもの。今回は、その両方の魅力が伝わる構成にしたいなあと思いました。
どうぞ、お楽しみくださいね。
ひとつめはこちら。
mika🌼さんの、「息子の遊びがアナログからデジタルへ」。
タイトルから想像していたただける通り、いままで絵を描くことや工作に夢中だった息子さんが、ゲームの世界へとのめりこんでいくことへの葛藤が、真摯に、エネルギッシュに綴られています。
親としての思い込みを手放し、息子さんのありのままを受け入れようとするmikaさんの姿に、共感したり、感動したりする方は多いのではないでしょうか。
一部、引用しますね。
息子の両手に握られたSwitch。
その先には息子のデジタルなものづくりの世界が広がっている。
アナログもデジタルもどっちもあっていい。
息子の想像力と創造力で生み出された世界
息子の手から作り出された世界
そこに変わりはないのだから。
結びに近い部分から引用しましたが、実際には、こんな「まとめ」では表現しきれない、色濃い心の世界が描かれています。
ぜひ、ご本人の投稿でお読みになってくださいね。
記事中にある写真をご覧いただくとわかりますが、この息子さんの表現力、ものすごいのです。彼が、これからどんなふうに自分の表現を選び、みつけていくのか……わたしには予測ができませんが、ひとつ、強く感じることがあります。
それは、彼が、どんな大きな流れのなかにあっても、自分という「個」を、きちんと大切にして成長されるだろうなあということ。
才能あふれる息子さんと、mikaさんご家族を、心より応援しています。
さて、お次は、ぐっと「アナログ」の魅力にあふれたこちらの記事を。
芋けんしーさんの、「手(裏)」。そして「手(表)」。
記事より引用します。
爺芋は、書道を教えていた。
彼の無骨な手は、いつも流れるような文字を産む。
世界中の誰の書より、彼の字を当方は愛している。
情景豊かに綴られる小説やエッセイから、つい「ぷぷぷっ」と吹きだしてしまうおもしろおかしな日常小話まで。
引き出しの多さも魅力の、芋けんしーさん。
この記事では、ストレートに、「爺芋(お父さまの愛称)」さんを称賛する、こんな文章から始まっていて……わたしは思いっきり、心を掴まれてしまいました。
我が子に、「世界中の誰の書より愛している」といわれたら……もうそれだけで、「書いてきてよかった!」と思いますよね。
まだ、爺芋さんご本人には明かしたことのない氣持ちだそうなので……ぜひ、近いうちに伝えて差しあげてほしいなあと思います。
芋けんしーさんは、同じ「手」のタイトルで、「裏」「表」として、ふたつの記事を続けてご投稿くださいました。
こちらは、「表」の記事。
「推し」さんとの握手会の様子をご報告くださっているのですが……もう、芋けんしーさんが可愛すぎます!
いやぁあぁぁあぁぁ(//∇//)
絶叫の前後のドキドキのシチュエーションは、ぜひ、記事のほうで!
こちらも、アナログな「手」の力強さを伝えてくださいます。
のりこの シックスリッチさんの、「『よう』でせえへん!」。
のりこのさんのおかあさんは、長年「古代裂の復元などに携わる大きな織り物会社の帯の仕立て」をお仕事にされていたそうです。
ともかく、ご自分の手を動かすことで、世界へ働きかけ、世界から何かを受けとる……ことを大切にしていらした方なのだと感じました。
以下、記事より引用です。
教えてもらう受け身なやり方を嫌い
上手なひとのやり方をじっと観察する。
(中略)
コツをつかむのは天性のものかもしれないが努力と根気には頭がさがる。
「こんなんようせん💦」
私が言うと
「よう でせえへん。手 でするんや!」
やりもしないで出来ないと決めつけるなということだ。
「できない」といっている暇があったら、まずひたすらに手を動かす。
ご自分の手仕事を信じ、愛したおかあさまの……力強いエールが届くような氣がいたしました。
最後に、いつもAIで素晴らしい絵を創造されているこちらの方。
たよろよろ図書館DATABASEさん。「手をつなぐ 今も未来もかわらずに」。
タイトルにあるとおり、「大切な人と手をつなぐ」という行為は、いまも未来も、きっとかわらない風景なのだとわたしも思います。
こちらは文章の引用ではなく、記事中のイラストより一枚をご紹介しますね。
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よろさん、これからも、きらきら輝く独創的な世界、みせてくださいね!
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企画に賛同してくださったみなさまに、心からお礼を申し上げます。
2月2日まで記事は募集中ですが、毎回できるだけひとつのテーマに沿いながら、順次ご投稿を紹介していきたいと思っています。
すべての記事のご紹介には少しお時間をいただくことになりますが、ゆっくりと楽しみに、お待ちくだされば幸甚です。
また、企画に参加したつもりなのにマガジンに収録されていない、という方がいらっしゃいましたら、ご面倒でもくりすたるるまでお知らせください。どの記事のコメント欄からでも結構です。
みなさんの「#手」の記事を収録したマガジンです。↓↓↓
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