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『ゆびさきコネクション』感想

 どうもです。

 前回、社会人モノのエロゲである『日向千尋は仕事が続かない』の感想書いたばっかりだけど、今回も年齢設定高めなエロゲの感想になります。どーでもいいけど、今年の4月から自分も社会人生活始まった身なので、何だか気持ち的にも前のめり?で出来た気がします。そんなの関係なく元より年上好きなのもあるんですけどね(笑)


 ということで、先月の4/30(金)にHOOKSOFTさんより発売された、『ゆびさきコネクション』を先日クリアしたので感想を書いていこうかと。とりまPVと公式HPね。良ければチェックしてくださいな。

 OP曲『サニースコープ』のイントロ好き。キャラや作品コンセプトもけっこー惹かれるものがあって、体験版と併せて購入に至ったって感じです。因みにHOOKSOFTさんのは今作が初プレイになります。

 では、いつも通り攻略した順番に感想書いていきます。こっからネタバレ全開なんで自己責任でお願いします。



1.橘伊織(たちばな いおり)

 伊織さんはキャラクターとしては今作一番好みでした。バーテンダーのお姉さんって時点でもう最高なのに、中身の人物像まで最高っていうね。彼女の余裕感ある自立した大人な感じと、(1人でいる時や悠真の前で)たまーに魅せる乙女チックな一面が良いギャップになっていたのはもう言わずもがな。その上でよ。人の感情に敏感というか、相手に寄り添って自分の心を配ってあげられるところが堪らなく好きでした。その人間性を形成していった裏には、ただのお酒好きからマスターへの憧れ、そしてバーテンダーという夢へと最終的には変わっていった過程がちゃんとあったのがまた良い。この背景があることで納得感が生まれますし。

 逆に、そーゆー人のよくある短所として、人に頼るのがあまり上手ではないところをラストの山場として持ってきましたね。下記の台詞なんかが分かり易いかな。

「自分のお店のことだから自分で解決しなきゃって思って…」

 自分1人で何とかしなきゃって気持ちもわかるし、誰かを頼りたい(というより自分の気持ちを汲み取って欲しい)気持ちもきっとあって。これまでバーテンダーとして相手の気持ちを汲み取る側だった彼女が、悠真との出逢いで汲み取られる側にもなった。一緒にいて、時間を、空間を、気持ちを共有できる人がそばにいる。彼女の人間的な強さに、より一層磨きがかかって魅力を再確認できたラストはとても良かったと思います。ホント最後の最後まで尊敬できる人だった…。

 ただ、欲を言えばですね。彼女の花嫁姿を見たかった…(結婚の話もあったし!)。告白シーンも伊織さんの魅力が出てて抜群に良かったし、仕事柄時間が合わない事から発展して同棲生活に持っていく流れも自然だった。2人で一つ一つ順を追って距離を縮めていくのも共有できる時間を大切にしていこうという感じが良かった。だからこそよ、花嫁姿とかもう一伸び欲しかったのが本音。悠真がかなりカクテルに詳しくなったのもあるから、エピローグの着地の仕方そのものは良いんだけど、イマイチパンチが無いというか。もっとデカい幸せ爆弾(彼女が嬉しすぎて泣いてしまうぐらいの)を持って来てくれたら何も文句なかったです…。

 でもまぁ、伊織さんというキャラに出逢えただけかなり満足はしています。葵時緒さんの声も相まって、何てことない一言だけでも癒されっぱなしでしたし。自分がいくら歳を重ねても、やっぱお姉さんって最高だなと思わせてくれる様な、かなり完成されたお姉さんキャラだったのは間違いない。



2.双葉夏歩(ふたば なつほ)

 夏歩が高校生っていうのもあって、一番”変化”を楽しめるシナリオだったかなと思います。恋愛感情(意識)とかにとどまらず、彼女の人となりもそうだし、変わらないと思われた2人の関係性もそう。社会を経験した大人に比べれば、影響されやすい年頃でもあるし、影響力を持ってみたいとも思い始める年頃だと思う。そういうのを活かしたキャラづくり、エピソードづくりがされていて、良かったと思います。流行だの、~映えだのの話は現実だったら苦手意識あるけど、純粋に楽しかったわ。

 派手で活発な見かけとは裏腹に、実はちゃんと色々考えてるところがとっても印象的な子でした。それに、その考えを言葉として伝えることができるところがむっちゃ好き。特に刺さったのは夏祭り時の以下の台詞。

「なんでもない普通の日にだって、そのときにしか見られない素敵なものがたくさん詰まってる」
「そう思ったら、毎日すっごく楽しくなるからさ。どうせなら一日一日を楽しまないと☆」

 共感できるし、こういう考え方できる人が一番人生を謳歌してるなって個人的には思うので。加えて、記事の最後にも改めて書くけど、今作の作風を象徴する言葉でもあったと思います。

 言葉にして伝えるのが基本的には上手なんだけれども、恋愛感情など考えが(彼女自身の中で上手く)まとまらない事に関しては、中々言葉にできない感じが告白シーンとかに出てて良かったです。ついでに花火をバックにしてたCGは綺麗すぎました。今作で一番好きなCGかもしれん。

 家庭内では両親から夏歩頼りなとこがあるから、その反動で悠真に甘えたいって気持ちが生まれるのもわかるわ~って感じだったので、2人のイチャイチャ甘々エピソードはニチャニチャしながら見てましたね、ええ(純愛モノの醍醐味)。その後で不意打ちというか、追い打ちをかけるというか、あのエピローグだったのでもう文句ないっす。一緒にいたい気持ちが強くなると、あそこまで行動に起こせる。素晴らしいというか、頼もしいというか。これと言って山場みたいな展開はないんだけれども、彼女の笑い声とか、底抜けの明るさとか、諸々含めてかなりエネルギーを分けて貰えるシナリオだったと思います。落ち込んでる時に再プレイしたら多分ぶっ刺さる。



3.桜坂悠月(さくらざか ゆづき)

 幸せが満ち溢れてて、2人の会話が一番楽しかったシナリオ。ずっと聴いていたいくらい。こんだけノリ良くって、場の空気を一気に明るくできる子が友人でも、彼女でも、近くにいてくれたらホント楽しいだろうなって。素直にそう思った。

「以前の私は悠真さんに甘えっぱなしでした。いわゆる依存ってやつですね」
「でも今度は悠真さんが私に甘えてくれる。それも依存です」
「お互いがお互いに依存してるのって、共依存っていうみたいですよ?」
「だけど、それって言い換えればお互いがお互いを必要としてるって、私は思います」
「そんな関係、素敵だと思いませんか♪」

 2人の関係を上記の様に見つめ直したとこからも、それだけ相手と自分を想っている証拠だと想うので、外から見ている者としては愛おしくて、尊くてもう堪りませんでした。好きの後に生まれる幸せの形は色々あるからこそ、それを二人の間で見つけてくれたら、もう誰にも介入の余地はないんよ。それが最高。

 多趣味で欲張りな自分を認めていたり、どんな状況でも視点を変えて切り替えられたりするとこからも、心の受け皿がかなり広いんだろうなと思います。負荷を負荷だと思わないというか。しかも、あれだけ自分に正直に生きてて世話焼きなんだからヤバイ。人にこういう言い方をするのは、ちょっと変だけど、ハイスペック。むっちゃ。大学生だけど、既に母性を兼ね備えてたのは、今後の関係を育む上でもアドすぎましたね。結果、エピローグでお母さんになった彼女の姿、お子さんの姿を見れてもう大満足ですよ。これ以上、何を望むって言うんだ。

 シナリオに関しては、後半で悠月の母親への想いからマスターとの再婚話まで転じましたが、正直無い方がスマートだったかなと個人的には思います。理屈はそれとなく通っているんだけども、ずっと2人の幸せをメインで描いていたからこそ若干ノイズだった。マスターとくっつけるよりも、エピローグに”再婚したらしい”と一文挟むくらいで丁度良かったと思うんよね。もしあれを本当に描きたいのであれば、両者の結婚をプレイヤーが望めるくらいの尺が欲しいところですし。マスターが良い人に変わりないけれど、悠月母への好意は正直突拍子すぎて…(笑)
 ただそれでも、この4人の中では一番メッセージアプリを使ったやり取りが出来ていたし、日常の”楽しい時間ってあっという間に流れるよね”っていう速度感が良く出ていて非常に満足してます。デートイベントも家でのやり取りも。悠月が何かしてくれる度に、頬が緩むというか。彼女の感情表現が豊かすぎんだよな。家で褒め合いゲームしてるエピソードが一番好きですね。あの背後からのハグも好みだし、2人の関係性を表している様で素敵。



4.秋月美琴(あきづき みこと)

 優勝。今作で一番好きなシナリオでした。大・大・大満足!!!何が一番ぶっ刺さったかって、””関係の深め方””。これが本当に素晴らしかった。主人公である悠真らしさがしっかり描かれていたのも、この√だったと思うんですよ。2人の歩幅が合っていたお蔭で、他√に比べて悠真がヒロインの魅力に殺される事なく最後まで残っていて。そんな感じで2人の人物像、言葉に裏づけされた、かなり強度のあるシナリオだったので、自然とメッセージ性も強く感じられて良かったです。

「そう、期待。この人とだったら、一緒にいても今まで通りなにも変わらない」

 上記のやり取りから始まった、告白の一連の流れも凄い好みだった。あーゆーあっさりした感じの好きなんよ。大人ならではのテイストだったと思うし。付き合い始めてからも、何をするにしてもまず個人の素が自然と出て、気を遣うことなく考えを摺り合わせいく終始止むことなく、そのやり取り、雰囲気があって、それがそのまま距離感を縮める事になっていたので、本当に良かった。”幸せ”に対しても、2人がありのままを保ったまま結論を見つけていってくれて。梓さんも言っていたけれど、お似合いだなと。そして、めでたく結婚してくれて。エピローグも最高!花嫁姿の美琴さん綺麗すぎんだろ…。

 美琴さんのオンとオフの切り替えによるギャップというか、素の感じは只々可愛かったです。しかも、立場・関係が変わってもそれが変わんなくて。デートの決め方も、お洒落なお店にも、婚約指輪にも、新婚旅行にも、良い意味で無頓着というか。自分のハッキリした価値観、好き嫌いに保ったままなんですよね。"好きだから、好き。","そうしたいと思ったから、そうした。" そして、それによって生じた、自分では思いもしなかった変化や求めていた答えは後から認識する。それがベストじゃないかと。もうその生き方が好き。2人がその生き方で意気投合してたので、恋愛感情が膨れ上がっていくのも頷くしかないっていうね。これでいいんだよ、これで(笑)

 そんな感じで、本当に文句の付け所がない大好きなシナリオでした。仕事とプライベートの重なり方も良かったし、梓さんが入った時の会話劇も好きだし、笑えるとこもけっこーあって。まさかあそこでジェクシイ回収するとは思わんやん(笑) 風音さんの声も好きなので、色んな表情を聴けて良かったです。隣に住むお姉さんっていそうでいないので、伊織さんとはまた違ったロマンがありますよね、それを味わえる側面でもこの√はかなり良かったと思います。やっぱお姉さんはロマンなんやなと。。。



5.さいごに

 まとめになります。
正直言うと、主人公の魅力足らずとか、若干ボリューム不足とか、メッセージのやり取りの意味合いが、告白後は薄くなっていくとことか、小さな不満点があるにはあるんだけども、それらを加味しても良い作品だったと思います。純愛ゲーが以前より好きなので、今作も漏れなく好きになりましたし。

 年齢設定高めなので、必然的に人物自体の変化は描きづらい(自己確立できている年齢なので変化への耐性ができている)。それを逆手に取って、関係性の変化に焦点をしっかり当てていたのも良かった。何ともなかった日常が、好きな人との日常に変わる。そして、その日常の中に”いいな”と想える一瞬が詰まっている。それを噛みしめながら進んでいく物語を楽しむことができました。変わらずに変わっていく4人の個性もそれぞれ好きな所を見つけられて良かったです。

 あとは、今回初めてHOOKSOFTさんの作品やってみて、かなりヒロインを立たせる事に寄ったエピソード作りが上手な印象を受けました。今作を機に興味も少し出てきたので、人気作の『放課後シンデレラ』はいつかやってみたいなと思ったり。
 とゆーことで、ここまで読んでくださった方ありがとうございました。また、改めて制作に関わった皆さん、ありがとうございました。

 ではまた!



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