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『LOOPERS』感想

 どうもです。

 今回は、今月の5/28(金)にKeyより発売された、『LOOPERS』の感想を書いていこうかと。昨年10月に「キネティックノベル」最新作として三作同時に発表された時からとても楽しみにしてました。今作はその一作目。延期が一度ありましたが、あっという間でしたね(笑) 


 元々Keyは大好きなブランドだし、前情報だけでも惹かれる要素は沢山あって、何より新しい風を吹き込もうとしてる感じが凄い。これをスルーする訳にはいかなかったので、息をするようにポチったよね(笑)

 とゆーことで、早速感想書いていきます。√はなく一本道ですが、いくつかテーマを分けて書いていきます。こっからネタバレ全開なんで自己責任でお願いしますね。


★"好き" = "宝物" の再認識

 勝手にまとめちゃいましたが、端的に個人的に一番響いたメッセージを表現するならこれでした。状況や関係の変化によって、一度見失った感情や、その時には気づけていなかったものに気付く事。人生が宝探しなら、自分の「好きなこと(もの)」、それ即ち、「人生の宝物」であるという事。そーゆーものを探しては捕まえて、探しては捕まえて、大事にし続けて欲しい。そんな風に僕は受け取りました。

 作中で好きなものへの再認識や、自分の原点に帰る(振り返る)、といったニュアンスの話は結構盛り込まれていて、タイラの宝探しのお蔭でルーパーズのメンバーが嘗ての活気を取り戻していくのはとても印象的でした。ジョウ、ホリー、リタポンが感情表現豊かになってからは楽しく、大好きなものを取り戻して励む様子にはこちらまで嬉しくなったものです。また、終盤でのサイモンとタイラの以下の会話が一番印象に残っています。チャプターだと「本当の宝物」のとこですね。

「宝探しバカを自称しておきながら……手を伸ばせば届いたはずの宝物を……」
「……その感情は、人が生きる力そのものだと思うね」
「そして君は、ミアが目の前にいる時にその想いに至れたらよかったのにと、感じているんだろうと思う」
『……大切なことは……いつも、手遅れになってから気づく……』
「いいや。それは違うよ、タイラ」
「その想いは、一度、2人の手が離れなければ得られない、とてもとても大切なものなのだ」
「酷に聞こえるかもしれないが、このような状況に身を置けたからこそ」
「君は、自分の宝物を、ようやく見付けられたのだよ」

  よくある話っちゃ、よくある話なんですが、後悔の側面より、肯定的で前向きな側面が強いこと、個々人の人生単位でも語れる様なメッセージになっていたのが凄い好きですね。見付ける事が大切だけど、見失わないとそもそも見付けられない。ならば、見失うことは悪いことでもないじゃないかと。そして、見失っている期間は『時の渦』ほど極端な状況じゃないにしろ、きっとそれも意味のある、大切な宝物の一部になるんだと思います。

 あと、『時の渦』の状況設定に関してはファンタジーではあるけれど、特段ファンタジーにも思えなかったのが良かったです。というのも、精神的に追い込まれていく過程、メンバーのギリギリの精神状態っていうのは、そこだけを切り取れば全然私達の日常にも通ずるとこだったなぁと思うんですよ。日々、只々同じ事を繰り返す中で、しんどくなる時もあるというか。"反復"って、ある種の"囚われ"にも取れますからね。なので、そういう共感性を呼ぶ意味でも、後のメッセージが受け取りやすくなっていたなぁと思う次第です。ヒルダがレオナを目覚めさせようと毎日毎日声を掛け続ける描写は小細工無しで、リアリティあってとても良かったですし、本当にレオナが目覚めたのも感動的でした。奇跡万歳。

 何故好きなのか、いつ好きになったのか、どうやって好きになったのか。そーゆ―事をいつの日からか見失ってしまう原因は色々あるかもしれません。けど、忘れてさえいなければ、新鮮だったあの頃を想い出したり、新しい視点で気付いたりする機会やキッカケが訪れる。そしたら原因諸々、きっとこの作品を思い出して前向きに想える事ができそうです。タイラがミアに恐竜消しゴムを渡さなければ、『時の渦』に巻き込まれなかったかもしれないけれど、でも、恐竜消しゴムのお蔭で救われた人達が確かにいた様に。 



★明日に恐怖を抱く者たちへ

 これは言葉の通りで、自分含め明日に恐怖を抱く人にはプレイして欲しいなぁ、何かしら響くだろうなぁ、と思ったのでこの見出しにしました。ミアの以下の台詞が印象に残っています。

「わたしにとって、いつも明日は恐怖の対象でした」
「ずっとずっと、今日が続けば良いのにと……誰よりも願っていました」

 一度くらいは経験した事があるんじゃないかなぁと思います。明日に嫌なな予定が控えていて憂鬱な気分になったり、今日が幸せすぎて明日も同じ感じだったら最高なのにと想ったり。なので、こちらもかなり共感しやすいメッセージだったなぁと思います。それにもし自分がミアみたいな状況だったらきっと同じ様な事を願っていたでしょう。

 でも、時の流れには逆らえない。明日を迎えるしかない。ならば嫌な事も乗り越えるしかない。その為の気力というかエネルギーとして、今作では宝探し、「好きなもの」探しを取り上げている。ミアが明日に踏み出すキッカケと過程が、タイラ達との関係に詰め込まれていた事、段階を追って丁寧に描かれていたのはとても好感が持てました。ミアのプロポーズにも思える「あなたの宝物になりたいです」発言なんかはロマンチックでお気に入りのシーンです。王道だけど、言葉は今作ならではだったし、音楽がむっちゃ良かった。

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 あとは、作中でもあったけど、「好きなものを好きでい続けるって、簡単なようで難しい」ということ。これを踏まえて"明日への恐怖"を考えてみると、昨日の様に今日は好きでいられたとしても、明日はちゃんと好きでいられるだろうか、みたいな事が浮かびます。そうすると、やはり明日は恐怖の対象に成り得ると思うんです。

 ミアは勿論ですが、期待や評判、比較を背負っていたホリーやリタポンも分かり易いかと思います。明日を乗り越える為に「好きなもの」探しをしていたけれど、見つけた後"好き"を見失ってしまった時、明日も好きでい続けられなかった時が来てしまう。そうなってしまった事自体は、一つ目のテーマでも書いた様に、再認識に至れるので悪い事ではない。ただ、やはりできればもう二度と見失わない様にしたいし、次の「好きなもの」探しの為にも何か力を蓄えなければならないと思います。

 そこで、恐怖とかに負けない、"好きへの確信度"みたいなものを上げていく事が大事なんじゃないかと、今作ではタイラの台詞から受け取ることができると思います。

「信じて。それが間違いじゃなかったって認められるからだろうな」
「………信じる、って?」
「宝探しってのは、弱気になると、どこにも隠してないんじゃないかと、挫けそうになるんだ」
「あ……わかります」
「タイラがいてくれたから信じられたけど。もし、タイラがいなかったら、最初の時点で早々に挫けていたかもしれない……」
「宝探しって、信じることが大前提の遊びなんだ」
「宝物があると信じることができるから、探し続けることができる……」

 冒頭に書いた事を踏まえて、宝探し→人生、宝物→好きなもの、に変えれ読んでみると分かり易いんじゃないかなぁと思います。そして、「好きなもの」があると信じ続ける過程において、好きなものをより一層自分が信じれる様な…好きなものを好きでいる自分の未来が想像できる様な視点や選択肢を選んでいけばいい。やがてそれが間違いじゃなかったと認められる明日が来る。機会やキッカケが訪れるのも明日だけ。諦めないで良かったと思えるのも明日だけ。だから、探して悩んで、勇気を持って、挑戦して、今日という世界から抜け出さなければならない。ミアがタイラの手紙を見つけ、歩みを進めるシーンで感動した人は漏れなく伝わっているんじゃないかなぁと思います。因みに、個人的にはあそこが泣きのピークでした…。

 簡単な事ではないと思うし、明日へ恐怖を抱く事も仕方ないかもしれない。けれど、もしそれで好きなものを見失った事すら気付けない(=忘れてしまう)状態にならない程度には、"好きへの確信度"を日々上げていけたらいいなぁと思いますし、その方が人としても、やっぱり素敵だなと思います。



★さいごに

 まとめになります。

 改めて素晴らしい作品だったと思います。何より所感ツイートにも書いたけど、物語として綺麗にまとまりすぎてた。掴み含めて感情の起伏もバッチリだし、一本の糸を紡ぐ様な丁寧な伏線回収はお見事でした。何となくで予測はできていたけど、ここまで綺麗にやられると参るレベルだった、もう流石として言いようがないです(笑) 特に、恐竜消しゴムとジオハンティング、ミアの願い事、時の渦での想い出、全部が繋がったラストスパートは最高でした。騒がしく、興奮出来て、泣きもちゃんとあって、Keyだなぁと。

 演出周りに関しても、今迄のKeyに+αされた部分はとても良かったと思います。イラストを担当された望月けいさんは元々ファンだった事もあり、どのイラストも大好きなものになりました。楽曲面は安心のメンバーだけでなく、sanaさんのボーカルソングがばっちし決まっていて良かった。sajou no hanaからファンだったので、こちらも嬉しい限り。(サントラ同梱によってすぐ聴ける事に最大級の感謝を)

 あとは、声優さん。個人的にはシャニマス声優でもある、河野ひよりさんと、八巻アンナさんに注目してたんですが、お二方ともシャニマスでは感じられないような演技をしてくださってて、ホントこれだけでもプレイした甲斐あったなぁと思うくらいです(笑)

 とゆーことで、感想は以上になります。改めて制作に関わった皆さん、本当にありがとうございました。Keyを好きでいて良かったとまた想える事ができました。残る2作品もきっと、この作品に負けないくらいの感動できる、メッセージ性の強い物語がくるんじゃないかと楽しみで仕方ないです。
 また、ここまで読んでくださった方もありがとうございました!

 ではまた!



©VISUAL ARTS/Key



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