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忘れられた観光地が、デジタル住民と観光の未来を捉え直す


■ 天龍峡の栄枯盛衰

天竜峡駅前のロータリー

天龍峡は昭和初期に国の名勝に選ばれ、バブル期には数十万人が訪れる観光地となりましたが、その後は衰退しました。以前のnoteでも述べたように、天龍峡は観光ブームの恩恵を受けつつも、その波に翻弄されてきました。類似の経緯を辿った観光地は日本各地に存在し、現在もインバウンドが過熱する中で、持続可能な観光地のあり方を模索する必要があります。

しかし、日々の観光客対応やビジネスチャンスの追求に忙殺され、長期的な視点を持つ余裕がない地域も少なくありません。観光地は、ショッピングモールやテーマパークの運営とは異なり、そこには人々が暮らしています。過疎地で進行する急激な人口減少を前に、観光と地域の関係を再定義し、観光客を戦略的パートナーとして迎え入れる視点が必要です。

■ 軽薄で無責任で多様な存在

船から見上げた「つつじ橋」

「観光地を通り過ぎていくだけの人」=観光客、いわば地域に対して軽薄で無責任で多様な人たちをどう包摂するかという問いを立てるべきです。Local DAOの概念を生み出した山古志のように、NFTを購入しただけで、その地域を訪れたことがないにもかかわらず、ソーシャルメディア上で地域名を冠したデジタル村民を名乗る現象が起こりました。このような存在は、一見すると軽薄で無責任な観光客と大差がないように思えます。

しかし、デジタル村民もまた異なる価値観や視点を持ち、異人(まれびと)として限界集落に確かなインパクトを生み出しています。彼らが地域と関わる「偶然」を計画的に生み出すことで、観光地の未来は少しずつ変わり始めます。軽薄で無責任で多様な存在こそ、面白さが生まれるのです。これまでの観光地の問題は、観光客を多様な個人としてではなく、単なる消費者として扱っていたことにあります。

■ Regenerative Tourismの未来

県内外の若者を中心とした空き家再生プロジェクト
遊歩道沿いにある元歯科医の片付けを行った

消費型の観光は、最終的に人々の暮らしや文化を置き去りにします。「売れるだけ売る」「売れるためには破壊しても構わない」といった姿勢が広がり、結果として地域には何も残らないこともあります。では、観光客が来るほど地域の暮らしや自然が豊かになる「回生的(Regenerative)観光」は可能でしょうか。私たちだけでなく、「デジタル住民」という新しい存在とともに、天龍峡で観光の未来をつくっていく可能性にかけたい。実現してみたい。これが私たちがNFTを発行する理由です。

■ デジタル住民は観光の未来をつくるパートナー

想いや取り組みを共有する場「まかない食堂OKATTE」

天龍峡のNFTを持つデジタル住民は、天龍峡を単に通り過ぎる存在ではありません。私たちは、これまで解決されてこなかった観光地の課題や、活かしきれていない資源、不動産にデジタル住民がアクセスできる環境を作ります。例えば、デジタル住民が不動産を共同所有したり、地域と共に観光事業を立ち上げたりする可能性さえあります。
観光の未来を実現したい人々や、他の観光地と関わる同じ問題意識を持つ人々と共に、天龍峡を舞台に挑戦し続けていきたい。そして、デジタル住民にとって天龍峡が単なる観光地ではなく、新たな故郷になることを望んでいます。

■ 龍は観光地再興の象徴として

「天龍峡ナイトミュージアム」プロジェクションマッピングにより龍角峯に龍が上った

日本各地には、龍にまつわる信仰や物語が古くから存在します。天龍峡もその名の通り、龍と深く結びついた地名やストーリーを持っていますが、解釈は多様です。私たちは、この龍という存在を、観光地再興の象徴、そしてそこに集うデジタル住民たちの象徴として位置付けることにしました。「急流の滝を登りきる鯉は、登竜門をくぐり、天まで昇って龍になる」という故事があります。龍は立身出世の象徴です。天龍峡の共同体では、山古志から生まれたLocal DAOの運動に敬意をはらうと共に、その素晴らしさを受け継ぎ、天龍峡独自の形へと進化させていきたいという想いから “錦鯉” が “龍” になる発展的な未来像も想像しています。

■ 龍をモチーフとしたデジタルアートの制作

この龍は、デジタル住民の地位を表すデジタル住民票NFTに描かれることになります。実際には、デジタルアーティストが龍をモチーフとしたジェネラティブアート(コンピュータやアルゴリズムによって生成されたアート作品)を制作します。今回は、Nishikigoi NFTの第二弾のアートワークを制作していただいたアーティストのrafさんに龍を描いていただきます。
龍を描くにあたり、rafさんには実際に天龍峡を訪れていただき、天竜川の景観を眺め、農園でりんご狩りを体験し、独自文化の焼肉を堪能していただきました。また、お祭りの手伝いをしていただきながら、地域住民との交流をはかり、より深く天龍峡をご理解いただきました。
今回、創造する龍がこれから関わるデジタル住民や地域の皆様のアイデンティティとなり、山古志から広がるLocal DAOネットワークの絆の印にもなり、長く愛され続ける存在になることを期待しています。

■ 天龍峡のデジタル住民になるには

天竜川のエメラルドグリーンと雪のコントラストが美しい冬の天龍峡

山古志に続く新たなLocal DAOの第一弾として、2024年6月に承認され、ようやく皆さんに天龍峡NFTに関する情報をお届けできることにワクワクしています。この数カ月間、地域住民の皆さんとの協力を重視しながら、地域のリアルな側面とデジタルの可能性を融合させたプロジェクトとして進めてきました。
今回の天龍峡NFTですが、「2024年11月22日(金)」の販売を予定しています。そして、このNFTの制作を手掛けるのは、デジタルアーティストの「rafさん」です。rafさんは、Nishikigoi NFTの第二弾アートワークも手がけ、独自の視点と表現力で地域の新たな魅力を発掘し続けています。実際の天龍峡NFTのアートワークは、後日公式𝕏アカウント公式Discordコミュニティにて公開されますので、引き続きチェックしてください。

NFTの購入に関する詳細は以下をご覧ください。

<天龍峡NFTの概要>
販売開始日:11月22日(金)※時間は後日発表
アーティスト:raf(https://x.com/raf___gallery
価格:現在最終調整中
購入方法:クレジットカードまたはイーサリアム
購入オプション:初学者向けと慣れた方向けの2種類を用意
物理カード:現在作成中(NFTとセットでも購入可)

購入方法については、NFTに慣れていない方でも安心して購入ができるように、クレジットカードでの購入も用意しています。また、NFTに慣れた方にはイーサリアム(ETH)での購入も可能です。また、天龍峡の物理カードも現在制作中で、このカードは天龍峡のデジタル住民の象徴として、さらにNFTと一緒に購入ができるオプションも用意する予定です。

■ 応援コメント

raf(天龍峡NFTアーティスト)
南信州観光公社 高橋充さん
松尾 明則さん
地域づくり委員会 龍江さん
飯田市長 佐藤健さん
石山アンジュさん
ネオ山古志村 竹内春華さん
面白法人カヤック代表 柳澤大輔さん
Airbnb Japan株式会社 事業開発部 部長 谷口紀泰さん

天龍峡でNFTの取り組みが開始されるとの事、誠におめでとうございます。 弊社は2021年から天龍峡に関わらせて頂いておりますが、僅か数年で地元出身の方から、Uターン・Iターンなどの移住者が有機的に関わる素敵なコミュニティができ、先進的な取り組みができる地域に成長している姿に、とても驚かされています。
特に地域内外のZ世代などの若者が地域の方と有機的につながりながら、取り組みが進んでいる点が天龍峡の素晴らしい特徴だと考えています。 「消費される観光地ではなく、故郷として育む観光地へ。」というテーマは、まさに次世代を担う若者のニーズに合致する方向性を示すものであります。
また、デジタル技術を駆使しながら、天龍峡の地域活動や観光プロジェクトに参画できる仕組みを提供する、まさに、「共創型のデジタル住民を育成する」素晴らしい取り組みとなることを確信しております。これからの成長を楽しみにしております!

Airbnb Japan株式会社 谷口紀泰さん

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