ロンドンアップハードフォーク速報。EIP-1559によってマイナーへの報酬は削減確定か?報酬速報
何ヶ月も前から注目されていたイーサリアムのロンドンハードフォーク(アップデート)が実行されました。ロンドンハードフォークに含まれていたEIP(イーサリアム改善提案)は以下の通り。
EIP-1559: Fee market change for ETH 1.0 chain
EIP-3198: BASEFEE opcode
EIP-3529: Reduction in refunds
EIP-3541: Reject new contracts starting with the 0xEF byte
EIP-3554: Difficulty Bomb Delay to December 1st 2021
EIP-1559がマイナーに及ぼす影響
大きくは以下の3つの影響・変更が行われました。
・報酬の一部がバーン(BURN)される
・チップを払う事でマイナーに優先的に処理を依頼することが出来る
・報酬がオークション形式からネットワークによる自動算定方式に変わる
報酬の一部がバーン(BURN)される
この変更はマイナーにとっては悪い変更でした。なぜなら今までまるっともらっていた報酬(ブロックリワード2ETHに加えて貰えていたガス代に起因する部分の報酬)の一部が削減され、バーンされるからです。
これによってイーサリアムが無限に供給されるだけでなく、バーンされるようになり、イーサリアムの価格が上昇する可能性があります。
残念ながら現時点(2021年8月5日22時52分)ではビットコインと価格は相関関係が強く、報酬のバーンが行われるようになったことによるインフレ(法定通貨ベースでの価値の上昇)は見られません。
よってこの変更により今のところはマイナーの報酬は減りました。
チップを払う事でマイナーに優先的に処理を依頼することが出来る
EIP-1559でマイナーの取り分を減らすだけではなくて、チップを払うことで、優先的に処理をイーサリアムネットワークに依頼することが出来るようになりました。
引用元: https://watchtheburn.com/
上記の画像を見ていただくと、TIPS欄でマイナーにチップが支払われている事がわかるかと思います。しかし、BURNEDの欄を見てもらうと、チップのだいたい5倍程度のイーサリアムがバーンされています。
TIPS > BURNED = マイナーは報酬アップ
BURNED > TIPS = マイナーは報酬ダウン
どうやら今のところは報酬は「ダウン」するようです。
報酬がオークション形式からネットワークによる自動算定方式に変わる
今まではオークションによってマイナーに支払われるガス代は決められていましたが、これが自動算定されるようになりました。この変更自体はマイナーの報酬を上げるものでもなく、下げるものでもない、単に安定性を上げることを目的とした変更であるため、実装が正しければ報酬としての影響はお大きくはでないはずです。
報酬は減った、が大きくはない、か?最大2-30%?
まだアップデートが実行されて間もないのですが、私の約5GHsでの1ブロック当たりの報酬はざっくりとは0.0015ETHから 0.0013ETHに減少しました。
ロンドンアップハードフォーク前: 0.00157834 ETH
ロンドン: 0.00134078 ETH
※あくまで適当なタイミングでのブロック報酬を抜き出して記載したもので、実際には平均を取らないと正しい値とは言えませんが、参考値として。
この2ブロックの報酬の差は16%程であり、報酬は16%減ったと言えます。
※あくまで適当に抽出した2ブロックでの差異です
報酬は確かに減少しました。しかし、ブロックリワードの2ETH(1ブロック掘り当てたマイナーに支払われるブロック報酬)は当然ですが変更されていません。また、ガス代の部分の一部が改定されただけです。そのため、報酬全体としては依然として高く、電気代の高い日本でもマイニングが継続出来るバブリーな報酬です。
今後の報酬はどれぐらいに落ち着くのか?
これはガス代の算定方式が変わってすぐである今は正直分かりませんが、ブロック報酬が変わっていない以上、また、元々ガス代部分は最近はそれほど大きくなかったため、大きくは変わらないでしょう。
おそらく最大で報酬3割減ぐらいで見ておけばいいのではないでしょうか。
もう少し様子を見てみましょう。相場が乱高下するときなどはガス代が高騰して、チップが活躍すると思うので、また変わってくるかもしれません。
ひとまず、EIP-1559は当初の懸念の通り、マイナーにとっては報酬を削減される結果となったことは事実だと思われます。
上記は私の毎日のイーサリアムマイニングの報酬ですが、これが明日以降どのようになるのか、数日間以上観察してみなければなりません。おそらく上述の通りの値になるのではないか、と思います。
おわりに
今回マイニング報酬が削減されましたが、まだまだ依然として報酬は高く、イーサリアムの法定通貨ベースでの価値が大幅に下がらない限りは、マイニングは良い投資と言えるでしょう。
EIP-1559が実装される、事自体が相場に織り込み済みであった可能性があり、EIP-1559を実装しない場合にはイーサリアムの価格がより低く、法定通貨ベースでみた報酬は少なくなった可能性も否めません。そのためロンドンハードフォークがマイナーにとって悪であるとは一概には言い切れないでしょう。(報酬が減ったのは事実ですが)
12月まで(おそらく11月頃)に上海アップデートが実施されると想定されます。上海アップデートはMuir glacier part 2と言われるアップデートになる可能性もあります。詳しくは下記記事を御覧ください。
マイナーにとっての影響としては、「PoS化は12月には来ない、また延期される」という良い影響しか次のアップデートではおそらくないでしょう。そのためまだまだマイニングを楽しむことが出来ます。
「2021年末にイーサリアムがPoSになってマイニング出来なくなる」
「イーサリアム2.0のセレニティに2021年中にアップデートされる」
こういった意見、記事、ニュースなどを見かけることもあるかと思いますが、これらは誤っています。
現時点での開発コミュニティの開発進捗を見るに、ETH 2.0に移行するためにETH 1.0を廃止するためのDifficulty Bombをイーサリアムのメインネットに投下することは2021年内は非常に難しいでしょう。また、開発チームも目指していないように見受けられます。
ちょっとずつDifficulty Bombの投下時期(=ETH2.0及びPoSへの移行)が延期されるため、いつマイニングできなくなるのか不明瞭であり、もやもやする部分はありますが、願わくばずっと延期され続けてほしいものです。
皆さんまだまだマイニングを楽しみましょう!
Happy Mining Life!