米民主党、暗号資産法制へ前向きな兆し──ハリス陣営の公式見解は不明
米上院多数党院内総務のチャック・シューマー(Chuck Schumer)氏が年内に上院で暗号資産(仮想通貨)関連法案を可決させようとしていることが、現地時間8月14日の夜に行われたCrypto4Harrisによるタウンホールミーティングで判明した。
「議会は暗号資産に関して常識的で健全な規制を提供する責任があり、いかなる提案も党派を超えたものとなるよう皆さんの支援が必要」とCrypto4Harrisに対して同氏は語った。このオンライングループは、今年の選挙で民主党が暗号資産の問題に「取り組んでいる」ことを証明するために結成された。もちろん、その背景には、民主党が長きにわたって取り組んでいるとは言えなかったことがある。
バイデン政権はこの問題について公にはほとんど語っていないが、財務省や証券取引委員会(SEC)を通じて、暗号資産に不利な一連の措置を密かに支持してきた。SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長と近しいエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員(民主党、マサチューセッツ州選出)は、業界に対して一連の厳しく踏み込んだ執行措置を含む現政権による暗号資産政策を主導してきたと広く見なされている。一方で、米国においてデジタル資産を取引する際に何が許され、何が許されないかについて明確なガイドラインはほとんど示されていない。そのため、シューマー氏が都合をつけてCrypto4Harrisのイベントに出席し、立法を約束したことは、バイデン大統領の言葉を借りれば、「とんだ重大事」である。
たとえその取り組みが法律に結実せずとも(今年は選挙の年であるため、立法に至った法案はこれまでもほとんどない)、幹部級の民主党員によるこうした行動は印象的である。1か月前、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏がナッシュビルでビットコイン(BTC)を強く支持する演説を行うより以前に、シューマー氏が暗号資産について立法しようとして検討があったかさえ明らかではない。
民主党も暗号資産に問題意識
Crypto4Harrisのイベント主催者は、間違いなくその夜の出来事に満足していた。
「様々な考えを持つ仲間を抱える我らが大政党にスポットライトを当てることで、暗号資産が、共和党トランプ氏の『アメリカを再び偉大に』をこれ以上なく騒々しく喧伝するあのネット上の連中だけのものではないことをうまく示すことができた」と主催者の一人、G・クレイ・ミラー(G Clay Miller)氏はCoinDeskのインタビューで語った(元上院職員のミラー氏は、大手デジタル資産アドバイザリー会社で暗号資産業界の仕事をしているが、政治活動はそれとは無関係だと述べている)。
ミラー氏は、タウンホールミーティングに1500人が登録し、常時1000人が出席したと述べた。
主催者の主目的は、バイデン政権の実績にかかわらず、民主党が暗号資産について話をまとめることに関心を持っていると対外的に示すことだった。また、ハリス陣営に対して、暗号資産業界は副大統領がこの件について何を言っているか、何を言っていないかに注目しているのだという「声高なメッセージ」を送ることでもあった。ミラー氏によると、陣営スタッフは耳を傾け、聞いた内容に感銘を受けたという。大きな問題は、民主党が暗号資産業界に向けて「政策のリセット」に真剣であることを証明するのに何が必要となるかだ。現段階では、シューマー氏の法案に何が盛り込まれるかは定かでない。しかし、超党派の法案は少なくとも可能と思われる。強力な下院金融サービス委員会を率い、今議会で暗号資産法制について主導的な発言者となっているパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)下院議員(共和党、ノースカロライナ州選出)は、現地時間8月16日朝、シューマー氏への支持を投稿している。
有識者たちの反応
著名な暗号資産ベンチャーキャピタルのマシュー・グラハム(Matthew Graham)氏も他の人たちに賛同して慎重ながら支持を示した。
タウンホールミーティングの後、カストディア銀行(Custodia Bank)のケイトリン・ロング(Caitlin Long)氏は、ハリス政権で誰が政策立案を主導するかについて見極めを保留する意向だと述べた。
より懐疑的に見るのは、コインファンド(CoinFund)創業者兼CEOのジェイク・ブルクマン(Jake Brukhman)氏だ。
「この電話会議には多くの政治家と数人の業界関係者(ほとんどが法律関係)が出席していた。私は最初から最後まで聴いていたわけではないが、我々が保有する@coinfund_io のポートフォリオにある100社以上の暗号資産企業の創業者らしき人物は一人もいなかった」と同氏は投稿している。
そしてトランプ氏を全面的に支持する人々の多くは否定的な見解を持った。最近、トランプ前大統領をナッシュビルでのイベントに連れてきたBTCメディア(BTC Media)のCEO、デビッド・ベイリー(David Bailey)氏はこう語る。
最終的にどのように事が運んでいくかは分からない。今年、シューマー氏主導の法案が本当に成立するのだろうか。ハリス氏はCrypto4Harrisのような団体の活動を支持するのだろうか(ハリス氏はまだ公式には何も語っていない)。トランプ氏を唯一の選択肢として支持していた暗号資産業界の人々は、他の論点では支持するかもしれないハリス氏に再び引き寄せられるのだろうか。
誰にも分からない。我々が知っているのは、民主党議員が少なくとも今年は注意を払っているということだ。議員たちは暗号資産政策に関して何かしなければならないと認識している。そして最近までトランプ支持で固まっていた暗号資産票が、今や割れる可能性があるようだ。
暗号資産業界は、ひょっとすると11月に選択肢めいたものを手にしているかもしれない。
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