スイスのシグナム銀行、フィデリティの投信5000万ドル分をトークン化——マターラボによる準備金オンチェーン化の一環
スイスのシグナム銀行は、マターラボが保有するフィデリティ・インターナショナルのマネーマーケットファンドをセキュリティートークン化した。
伝統的な資産のトークン化は、暗号資産と伝統的な金融システムの交差点に位置する現在成長中の分野で、複数の大手銀行が関連商品の開発を進めている。
3月19日に発表されたプレスリリースによると、スイスのシグナム銀行(Sygnum Bank)は、イーサリアムのレイヤー2技術を開発するマターラボ(Matter Labs)が保有するフィデリティ・インターナショナル(Fidelity International)のマネーマーケットファンド5000万ドル(約75億円、1ドル=150円換算)分をジーケーシンク(zkSync)上でトークン化した。
同セキュリティトークンは、フィデリティ・インターナショナルの運用資産69億ドル(約1兆500億円)を誇る「インスティテューショナル・リクイディティ・ファンド(Institutional Liquidity Fund)」のうち、マターラボの保有高を表している。シグナム銀行によると、今回のトークン化は同行のマルチチェーントークン化サービスを伝統的な金融資産に活用した最初の例だ。
マターラボにとって、この度のトークン化は、準備金をブロックチェーン環境に移行させるという長期目標の一環だった。
債券や投資信託といった伝統的な金融商品のトークン化は、「現実資産(RWA)のトークン化」と呼ばれ、デジタル資産と伝統的な金融(TradFi)のギャップが縮まるにつれて、ブロックチェーン技術の活用例として人気が高まっている。例えば米国債では、トークン化を受け、オンチェーン資金を使って安定した利回りを得ようとする暗号資産(仮想通貨)企業が増加した結果、市場が2023年初頭の1億ドル(約150億円)から7億3000万ドル(約1095億円)へと成長した。
トークン化により管理負担を軽減しながら決済のスピードと透明性を高められることから、シティ(Citi)、JPモルガン(JPMorgan)、フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)などのグローバルな金融機関が同技術のテストを行っている。
「フィデリティ(インターナショナル)と協力し、ジーケーシンクを利用することで、当行はブロックチェーンのパワーと、グローバルな投資マネージャーの経験の両方を活用することができた」とシグナム銀行のトークン化責任者のファトマイア・ベキリ(Fatmire Bekiri)氏は述べた。
「これは、暗号資産と伝統的金融を結びつけ、未来の金融をオンチェーンで構築するという我々の使命を端的に示す事例だ」
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