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暗号資産業界、米国の選挙に影響力発揮か──親暗号資産の候補者がアリゾナ州で優位に

アリゾナ州議会予備選挙で今週、暗号資産(仮想通貨)を支持するフェニックス市議会議員ヤッサミン・アンサリ(Yassamin Ansari)氏が、エリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)の支持を受ける候補者と対決し、暗号資産業界からの多額の資金の後押しもあって僅差で勝利するかもしれない。

しかし、アンサリ氏と、アンチ暗号資産の急先鋒であるウォーレン氏が推薦していたラケル・テラン(Raquel Terán)氏との間の選挙戦は、同州の選挙からほぼ1週間後に67票差にまで縮まっており、アンサリ氏のリードは、新たな集計が行われるたびに狭まっている。

アリゾナ州議会第3区を含むマリコパ郡では、州務長官事務所によると、まだ2089票が集計を待っており、現在の票差は0.2%未満と、自動再集計に必要な基準値の0.5%よりはるかに小さくなっている。

アンサリ氏が最初の集計で勝ったとしても、正式な再集計を待たねばならないだろう。

暗号資産政治団体からの多額の支援

暗号資産PAC(政治行動委員会)の広報担当者によると、アンサリ氏の選挙キャンペーンでは、同PACからアンサリ氏を支持、もしくはテラン氏に反対する約140万ドル(約2億300万円)の支出があった。

アンサリ氏は先日、議員や候補者が党の綱領に暗号資産推進姿勢を盛り込むよう要請する民主党全国委員会に宛てた書簡に署名していた。現時点で、テラン氏の44.5%に対し、アンサリ氏は44.6%の得票率を獲得している。この選挙区は、11月の本選挙では民主党が有利と見られている。

暗号資産スーパーPAC(特別政治行動委員会)のフェアシェイク(Fairshake)PACとその関連団体は一般的に、候補者の直接の承認を受けることなく、業界に好意的な候補者を支援する広告を購入しており、フェアシェイクは瞬く間に国内最大のPACのひとつとなった。

「独立支出」に対するこのようなアプローチにより、暗号資産業界やその他の業界は、米国の選挙資金調達法の下で政治的な争いに無制限に資金を投入することができる。アンサリ氏の場合、PACからの支出は彼女が獲得した1票に対して約74ドルにのぼる。

フェアシェイクの広報担当者ジョシュ・ブラスト(Josh Vlasto)氏は、アリゾナ州の選挙戦についてはまだ正式な結果が出ていないとして、コメントを避けた。

連邦選挙管理委員会の開示資料によると、アンサリ候補の選挙キャンペーンは、190万ドルの直接献金を獲得しており、フェアシェイクの同じような支出レベルが選挙に大きな影響を与えた可能性を示唆している。

大きな影響があったかどうかは別として、アンサリ氏の対立候補は、暗号資産の利益団体から外部資金を得ているとしてアンサリ氏を批判した。

その支援にはフェアシェイクと提携するPACからの広告や、暗号資産取引所ジェミナイ(Gemini)を運営するキャメロン・ウィンクルボス氏とタイラー・ウィンクルボス氏からの直接献金も含まれていた。

4月に実施されたいくつかの世論調査ではテラン氏が優勢だったが、現時点では接戦でアンサリ氏が有利だ。

11月の選挙を控えて

暗号資産業界からの支援が選挙戦の争点になったのは今回が初めてではない。アラバマ州でのショマリ・フィギュアズ(Shomari Figures)氏の同様の勝利や、ケイティ・ポーター下院議員(カリフォルニア州選出)の上院予備選敗北の際にも、そうした批判が上がった。しかし、有権者は暗号資産業界の影響力で動かされることはなかったようだ。

アリゾナ州では、フェアシェイクの系列PACが支援した候補者が2敗を喫した。同PACはアリゾナ州第1区の民主党予備選挙でアンドレイ・チェルニー(Andrei Cherny)氏を支援したが、混戦の中で2位となった。また、アリゾナ州議会第8区では共和党のブレイク・マスターズ(Blake Masters)候補に60万ドル近くを投じたが、元アリゾナ州上院議員候補の同候補は複数の候補者の中で2位だった。

今年すでに、フェアシェイクPACが後押しした20人以上の候補者が予備選挙で勝利しており、アンサリ氏もその1人となる可能性がある。暗号資産関連法案はまだ現議会では成立していないが、来年の議会では、下院も上院も暗号資産を支持する議員が増えるだろう。

米国議会の予備選挙は最終局面を迎えており、暗号資産業界のPACはまもなく本選挙へと軸足を移していく。ブラスト氏は、フェアシェイクが11月の本選挙までにどのような取り組みをするかについて、コメントを避けた。

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