暗号資産広告でソーシャルメディアが標的に──EU消費者団体、ルールの厳格化を求める
ヨーロッパの消費者団体の上部団体である欧州消費者機構(BEUC)は、インスタグラム(Instagram)、YouTube、TikTok、ツイッター(Twitter)対して暗号資産(仮想通貨)広告のルールを厳しくするように求める訴状を欧州連合(EU)の消費者保護機関に提出した。
BEUCは、各国の規制当局がソーシャルメディアネットワークに対して、ポリシーを強化してインフルエンサーの暗号資産宣伝の禁止するように求めるべきだとしている。
「消費者はソーシャルメディア上の広告やインフルエンサーの投稿によって、『一攫千金』を約束されることが増えている」とモニーク・ゴイエン(Monique Goyens)事務局長は声明で述べている。「残念ながら、ほとんどの場合、これらは事実とは言えないものであり、消費者は司法に頼らなければ大金を失う高いリスクにさらされる」。
EUの暗号資産市場規制法(MiCA)では、暗号資産プロバイダーはEU圏内で広告を出すためのライセンスが必要となり、並行して制定されたデジタルサービス法では、大規模なオンラインプラットフォームにさらなる制約を課している。
BEUCは、暗号資産詐欺が人々に大きな金銭的損失を与える可能性があるため、不公正な商習慣を禁止する既存の消費者法の下でもさらなる対策が必要だと述べている。
ゴイエン氏は記者団に対し、「暗号資産の宣伝はあちこちで行われており、テレビのゴールデンタイムでも見かけることがある」と述べた。彼女は、crypto.comとバイナンス(Binance)の最近のプロモーションに関連して、「もうマット・デイモン(Matt Damon)のファンではない」と述べ、サッカーのスター、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)を「ボイコット」していると付け加えた。
オンライン・プラットフォームは、不公正な商取引に対抗するためのEUの規則に基づき、「特別な注意を払う義務がある」と彼女は述べ、一部のネットワークは彼ら自身の広告ポリシーに違反しているとした。
理論的には各国の消費者保護機関は消費者法の違反者に罰金を課すことができるが、ゴイエン氏は、制裁をより厳しくしたいと述べている。昨年の事例では、TikTokは、BEUCが子どもをターゲットにしたステルスマーケティングと攻撃的な広告について苦情を申し立てた後、EUの厳しい規定に従うことを約束した。
BEUCのスタッフであるアウグスティン・レイナ(Agustín Reyna)氏は、ソーシャルメディアネットワークはコンテンツのモデレートにさまざまなアプローチをとっているが、誤解を招くような内容を止められないのであれば、暗号資産のプロモーションを全面的に禁止すべきだと記者団に語っている。
フランスでは最近、インフルエンサー(商品やサービスを宣伝するために影響力を行使するソーシャルメディアユーザー)を規制する画期的な法律が成立した。この法律の下では、暗号資産のプロモーションは、規制当局に登録された暗号資産企業にのみに許可される。
米CoinDeskは、ツイッター、インスタグラム、TikTok、YouTubeにコメントを求めている。
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