現実資産(RWA)のトークン化:その仕組みとメリット
アンディ・ウォーホルの作品を買いたいとする。マリリン・モンローの絵に1億9500万ドル(約273億円、1ドル140円換算)、エリザベス女王の絵に85万ドルなどという記録的な大金を払う余裕はほとんどの人にはない。
多くの人が、趣味や投資として美術品を買いたいと思っているが、値段が高くて手が出せないでいる。しかし、株式を通じて上場企業のほんの一部を買うように、アート作品の一部を買うことができるとしたらどうだろう? それが、現実資産(RWA:Real World Asset)をトークン化するというアイデアだ。
ウォーホルのユースケースは実在のものだ。フリーポート(Freeport)という会社がアンディ・ウォーホルの絵画を分割した権利を提供し、誰でも購入できる作品の権利を表すトークンを1000個作成した。当記事執筆時点では、200ドル(約2万8000円)弱でウォーホルの『理由なき反抗』の1000分の1を所有できる。
このような現実資産のトークン化は、アートだけでなく、債券、車、ゴールド、家などでも起きている。勢いを増し、伝統的な金融企業からも関心を集めているコンセプトだ。
この記事では、現実資産のトークン化の仕組みと、それが投資家にもたらすメリットについて解説する。
現実資産のトークン化
現実資産のトークン化の核となる考え方は、基本的に、不動産、貴金属、美術品、収集品のような有形のものとリンクした仮想の投資商品をブロックチェーン上に作り出すことだ。つまり、家の譲渡証書が物理的な紙切れになるのではなく、所有権がオンチェーン化される。これは2者間で直接取引することもできるし、分割化して多くの人に提供し、購入してもらうこともできる。
実世界のアイテムの所有権をオンチェーンに置くことのメリットは数多い。
弁護士、ブローカー、銀行などの中間業者を排除することで、コストを下げることができる。
従来は「営業時間中」にしか行えなかったアイテムの取引が、24時間365日、迅速かつ効率的に行える。
参入障壁を下げ、さらなる流動性を生み出す。
透明性の高いプロセスは、トレーダーの信頼と説明責任を高める。
ウォーホルの絵に話を戻すと、1000人が1つの作品の権利を所有していれば、他の所有者と調整する必要なく、いつでもその権利を中心に投機や取引ができる。1人の売り手が1人の買い手に売るために、ギャラリー、鑑定士、弁護士、銀行を使って、それぞれに手数料を払う代わりに、売り手と買い手は互いに直接取引し、最小限の取引手数料だけを支払って、即座に資産を譲渡できる。
ビンテージカー、不動産、ゴールドなどの高額商品だけでなく、米国債、通貨、株式もトークン化されるようになっている。
取引所とデジタル資産のエコシステムであるソロジェニック(Sologenic)の共同創業者ボブ・ラス(Bob Ras)氏は、株式などのトークン化された現実資産は、分割された所有権をより効率的に会計処理し、より速い決済時間を実現することができると語り、ブロックチェーン上の取引では、伝統的市場のような最大72時間の決済時間はかからないと指摘。このスピードと効率性は、資金が少ない小口投資家が、そうでなければ手が届かないような投資に参加するのに役立つという。
法定通貨の場合、ステーブルコインは現実資産をトークン化する最もわかりやすい形態だ。テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)などはトークン化されたドル。各トークン=ステーブルコインは、企業が準備資産として保有する実際のドルを表し、当事者間のより迅速かつ直接的な決済を可能にする。
RWAトークン化の次の展開
伝統的な金融会社は、ゴールド、株式、コモディティなど、すでに取引している資産をトークン化するというアイデアに活気づいている。投資ファンド大手のフランクリン・テンプルトンは2021年、ステラ(Stellar)上でフランクリン・オンチェーン米国政府マネーファンドを立ち上げ、2023年にはポリゴンに拡大した。同ファンドは、パブリック・ブロックチェーンを使用して取引を処理し、株式の所有権を記録するアメリカ初の登録投資信託だ。
バンク・オブ・アメリカは先日、RWAのトークン化を「デジタル資産普及の重要な推進力」と呼んだ。同行のレポートによると、トークン化されたゴールド市場は10億ドル以上の投資を獲得している。また、米CoinDeskがまとめたデータによると、トークン化されたマネー・マーケット・ファンド(MMF)の時価総額は5億ドルに迫る勢いで、トークン化された米国債への需要も高まっている。
今、トークン化の未来は明るいようで、ボストン・コンサルティング・グループは、トークン化された資産の市場は2030年までに16兆ドル(約2240兆円)規模にまで膨れ上がると予測している。
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