BTCPayServer はモナコインのサービスをどう変える? (3 of 3)
つづき。
一般論として、オープンソースの EC 系ツールでの"あるある"に
日本と欧米での商習慣の違いを、開発勢が理解してくれない
があります。日本で開発されている EC-CUBE のような例外はあって、なので EC-CUBE が日本では一人勝ちに近い感じになったりするのですが、越境ECなど考えると諸々頭痛くなったりすることもあるでしょう。
あと、日本語メッセージが微妙だったりとか。
諸々、日本は特殊ですからね…。
BTCPayServer の作者 Nicolas Dorier 氏の名前を見て、そのような不安を抱くかもしれません。
でも、彼、東京在住です。最近、スタジオ型コワーキング・スペース HashHub が本郷に開設されることが技術系クリプト界隈で話題になっていましたが、あのプロジェクトにも参画しています。
加えて、日本人以上に日本語が堪能(特にオヤジギャグで)と名高い木下ジョナ (Jonathan Underwood) 氏もメッセージ和訳で参加しています。
BTCPayServer 自身は、全世界のほうを向いていますが、他のオープンソースに比べれば、日本語圏に対して理解が高いプロジェクトです。
まあ、だから、世界的には知名度低すぎるモナコインが、割とすんなりと BTCPayServer に取り込まれたっていうところも、あります。
...
最後に、BTCPayServer が広く導入されるためにどうしても求められる機能の展望について。これは、まだ実現されていないので、「そうなったらいいよね」という程度の確度です。
為替リスクを避けるため、決済したら即時に日本円に替えたい
数時間単位での暴騰暴落を繰り返し、そもそも価値源泉が不明な暗号通貨です。ガチホするのが堅実な商売とは相容れないと思うのも、一つの賢察です。
しかし仮想通貨と日本円への交換は、日本では金融庁に登録した交換業者以外はできないことになっています。現行の資金決済法には課題が多く、改正される可能性もありますが、日本円への交換に関しては緩和される可能性はかなり低いでしょう。
この点について、BTCPayServer 作者の Nicolas 氏はインタビュー(2017年冬)に対しこのように応えています。
Because BTCPay is open-source and self-hosted, there is no support for fiat conversion at the moment. However, there is a plan for support of a standard to allow any exchange to become fiat provider to a BTCPay merchant through the COX protocol.
BTCPay はオープンソースで自前運用型なので、現時点では法定通貨との交換のサポートは無い。けれども、COX プロトコルを通して仮想通貨交換所と接続する計画はあるよ。(意訳)
COX プロトコルの詳細は省きます。
つまり、「興味を示す仮想通貨交換業者が登場すれば」という不確実な仮定を立ててもよいならば、BTCPayServer でも、現行の一部交換業者が行っているような即時換金も可能になる公算が、それなりにあります。
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英語という障壁もあり、「誰がなんとかアグリーメントで何を言った」みたいな政治ゴシップを好んだり相場のことしか興味なかったりする性向が強かったりする日本のクリプト界では、BTCPayServer のような実需指向の製品の情報が入りづらい土壌にあります。
ですが、2018年以降、全世界的に、この種の実需指向製品のリリースが増えていくというのが、当業者BOTの中の予測です。
それはモナコインが概念的に先行していたことに、他のコイン(特にビットコインとライトコイン)が、仕組み(アプリケーション)を伴って追いついてくるということを意味します。
モナコインにとっては苦境と言えなくもないですが、もともとモナコインは、ソースコード的にはライトコインのクローンですし、今後リリースされる製品についても、上手く採り入れたり採り入れてもらったりして、息の長いプラットフォームとして続くことを中の人は期待しています。
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とりあえず、モナコインを使ったサービスでの、ペイメントの形が変わりそうなこと、お判りいただけましたでしょうか?
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