"ゆるふわ" で居ること
電流は陽極から陰極に流れることになっていますが、電流の物理的存在である、電子は陰極から陽極に移動します。
熱量の単位 Cal は "熱素" という物質の量として定義されましたが、そんなものは存在せず、エネルギーですべて説明がつくことが知られています。
遠心力なんてものは無く、あるのは向心力です。
足し算をリンゴの数で説明せず、加法群から説明してくれたなら。楕円曲線暗号の解説で唐突にプラス記号が出てきて面食らったり、挙句スカラー倍算なるものが出てきて困惑したり、せずに済むのかもしれません。
古典力学は人間が普通に暮らしている世界では "近似的に" 正しいだけです。光速に近くなれば相対性理論で、極低温だったり微視的な領域では量子力学で、それぞれ説明が付くと言われています。しかしそれらを用いてさえも未解決の問題が残っているとも言われています。
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初学者にどこまで厳密なことを教えるべきかというのは、とても難しい問題と思います。
いわゆる「理系」は、判らないことは判らないと言うと同時に、解っていることは誤りなく説明することを善とする傾向があるように思います。当業者BOTのなかのひとも、率直なところ、この傾向の持ち主です。
しかし、だからこそ、意識的に "ゆるふわ" のポジションを取ることが大事だとも思っています。
多くのケースで、解っている人の知識は、解っていない人に比べると膨大で、吸収しきれません。また、そのレベルまで解る必要があるかどうかも、ケース・バイ・ケースですが、必須では無いかもしれません。
「生半可な知識なら知らないほうがマシ」という考え方にも一定の理はあるかもしれません。しかし、なかのひとは、このスタンスは取りません。
「この人は "ゆるふわ" なので、手加減されている。なので得られる知識も生半可だ」と思われるようシグナルを出しながら、入り口まで誘導していきたい。生半可な知識もまた知識であり、自覚的である限り有用であると考えています。
入り口に立った後の、"解っていることは誤りなく説明することを善とする" 世界も、もちろん重要です。でもまあ、たくさんいらっしゃいますよね。そちら側には。
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