EV(電気自動車)を巡る思惑
今日はいつもと少し違って車の話です。といっても本当はどうなのかを考えるといういつものスタンスに変わりはありません。
さて、気がつくと、メディアではEVが減速しているという話があふれています。日本にいると、基本的にマスメディアの論調は、日本びいき、中国嫌い、米国偏重のきらいがあるので歪んでいるとは思うのですが、いつも通り、メディアの報道は風見鶏のように北に南に振れまくります。
EVは駄目なの?いいの?どっち?
つい先日まで、日本メーカーは電動化に乗り遅れた、トヨタの戦略は後追いで危機的だという論調でした。
ところが、年明けからEVの需要が減速気味かつ、トヨタの決算が良かったことなどから今は手のひらを返したようにEVに懐疑的、トヨタの戦略があたったという論調に変わっています。
そんなに単純な話では無いと思いますが、メディアの報道は一瞬一瞬が大事なので瞬間風速といったところでしょうか。テスラ、BYDを一時期は持ち上げていましたが、今はテスラを中心に先行き不透明の記事のオンパレードです。そう言いつつ、EVの世界でシャオミがEVを発売し、10万台の予約を勝ち取ったと持ち上げています。
シャオミの実力が見えてくるのはこれからですが、車の量産というのはそんなに簡単にできるモノなのでしょうか。シャオミだから出来たというような論調が見え隠れしますが、実際にどういった技術開発の革新があって、テスラを凌駕するような新商品を投入できているのか中身に切り込んだ記事は余り見かけません。まだ、発売開始されたばかりなのでこれから出てくると思われますが、BYDやテスラが量産で苦労し、日本メーカーがいまだにEVの量産とコストに苦しんでおり、アメリカの振興EVベンダーが軒並み崩れている中、シャオミだけが魔法のように簡単に量産EVを低コストで実現出来ているわけはどこにあるのでしょう。今後、その分析が出てくることを期待しています。
結局最後は電動になるんでしょ?
さて、少し話がそれましたが、EVの減速についてです。今、EVの普及が鈍化したという話があふれており、一方でHV(ハイブリッド)が好調という記事がいっぱい出ています。さらにはトヨタの戦略が大当たり的な話もあるあるで出ています。
確かにトヨタのHVはよく出来ていると思うし、もともと、環境性能がトータルで考えてBEV(バッテリーEV)よりもすぐれているという考え方は正しいと思うし、トヨタの取り組みも素晴らしいと思っています。現実解としてのHVという選択肢は非常にすぐれていると思われます。
ただ、今出ているメディアの記事はどれも、EVは先行き不透明でHVが全盛という話で終わっています。では、ずっと内燃機関が作り続けられるのでしょうか。それはないと思いますがどうなんでしょう。いずれ内燃機関は骨董品になるとおもうのですが。水素エンジンの車は内燃機関と呼ぶのかもしれませんが、それは例外として、内燃機関は縮小し、モーターで動く車が主となる日がやってくると思います。そのことは余り触れられていないのはなぜなのでしょうか。そこが一番引っかかっているところです。
アメリカの労働組合の人たちは何を目指している?
とにかくEVは減速、HVが好調という話であり、EVが減速した理由がいっぱい書いてあります。それはそれで正しいのかもしれませんが、じゃあこの先もずっとHVなのか?というと、それはそんなことない気がするのですがどうでしょうか。
やっかいなのは、実際のところはどうなのかかわかりませんが、アメリカの動きです。政治問題化しているのは大統領選挙があるから仕方がないにしても、車メーカーの労働組合が電動化に反対しているという話です。おそらく、表向きには反対しているのでしょうが、労働組合の人たちはこのまま内燃機関の車を未来永劫作り続けることが自分たちにとって幸せだと考えているのでしょうか。冷静に考えるとジリ貧になるのは目に見えていると思うのですがそうは思わないのでしょうか。そのあたりの考え方がどこかにあれば嬉しいのですがなかなか見つけられていません。
環境問題は別として、電動車の方が音は静かだし、トルクもあります。ガソリンエンジンは複雑で時計で言うところの機械式時計のようなイメージがあります。工業製品ではありますが、考えようによっては芸術品的なところもあります。移動の手段として考えると電動車の方が最終的には、工業製品として効率がいい気がしています。
アメリカ人はこの先もずっとガソリンエンジンの車に乗り続けたいと思っているのでしょうか。そこが一番知りたいところです。こういった話は統計調査としてあるかもしれませんが、全く当てにしていません。なぜなら統計の数字は気持ちは測れないからです。質問の仕方によっても回答が変わります。なので、本音はなかなか捉えづらい。当面と将来という軸が変われば考えが変わる可能性があります。
10年後の車業界はどうなってる?
半年後くらいに世の中の論調がまた変わっているかもしれません。今はEVの減速が声高に語られていますが、半年後どうなっているか分かりません。トヨタの株価は今、絶好調ですが、半年後どうか分かりません。一方、テスラの株価は絶不調(とまでは思ってませんが、そう書いている人たちはいっぱいいる)ですが、半年後はどうなっているでしょうか。中長期の流れは内燃機関の終焉と電動車への移行が変わらず進むと思いますが、時々によって報じられる話は正反対に振れがちです。大きな流れと小さな波の向きがどうなっているかとても楽しみです。この先10年で車メーカーのシェアが大きく変化してるでしょう。トヨタは生き残れるのか、BYDは?テスラは?シャオミは自動車メーカーとして存在するのか、日本メーカーはどれだけ残っているのか。10年後の業界地図がどうなっているのか。そして、今、何に賭けるかをじっくり考えていきたいモノです。