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ガクヅケ船引亮佑インタビュー 【特別編2】 「『添削大喜利ワークショップ』開催記念!パン食べながら意気込みをどうぞ」

 10/22に川崎Bakery Cafe Shiromaruにて開催予定の「第1回 ガクヅケ船引添削大喜利ワークショップ 赤ペンフレンド: 牛女しらす」の告知から約1ヶ月。先生役の実績によるものか、おそらく前例があまりないイベントであるにもかかわらず、プレイヤーも観覧も参加枠がほぼ埋まるほどに反響があった。(*ありがとうございます。本記事の公開とともに増枠対応します!)
 さて、未知のイベントであるのは先生役として出演する船引も同様なはず。不安などのヒアリングと会場の下見も兼ね、Shiromaru店内でのインタビューを行ったが……大喜利活動の充実からか、パンやコーヒーのおいしさがそうさせたのか、軽口を交えつつ前向きに話してくれたため、まったくの杞憂に終わったのだった。

「第1回 ガクヅケ船引添削大喜利ワークショップ 赤ペンフレンド: 牛女しらす」の開催概要につきましては、下記をご参照ください。

(インタビュー・執筆: れみどり)



大喜利ってパン屋でやるべきなのかも

ーー 船引さん、何食べてます?

ガクヅケ船引亮佑(以下、船引) ショコラ……クランベリーみたいな?あとくるみのやつ。食べたい味のやつ選んだら同じ形の2種類になってもうたな。おいしいです。こちらのお店、どこで知ったんですか?

ーー こちらのShiromaruさんで開かれていた大喜利会(*注1)に参加したんです。こういったお店でも大喜利会できるんだなって興味が湧いて、その大喜利会を主催されていた方に諸々お尋ねしたら、ちょうどお願いしやすそうなシステムで場所貸しをされているとわかって。船引さんとしてはいかがでしょう?

注1: 「神奈川県民優遇大喜利会」。ここで話題に挙げているのは2023年7月23日開催の回。主催はヘオンキ

船引 そうですね、広さも適度ですし……大喜利ってパン屋でやるべきなのかもな。

ーー なんですか、急に(笑)。

船引 いや、大喜利をじっくりやろうと思うと糖分いりますから。甘いパンも色々置いてあるから、糖分も摂れるなーって。

ーー 大喜利の強い方々って大喜利会や大喜利ライブ(*注2)に出る際、ラムネとか甘いものを持ち込みがちですものね。

注2: 本記事では「大喜利会」と「大喜利ライブ」を概ね下記のように使い分けている。大喜利イベントの内容は多岐に渡っており、両方の性質を兼ねる会も多く存在する。
大喜利会: 大喜利をやりたい者が集まって大喜利を行う場。必ずしも観客を入れる必要はなく、参加者同士で回答と観覧を代わる代わるに担う会も多い。
大喜利ライブ: 大喜利をする様子を観客に見せる場。お笑いライブ中のいち企画としても行われるが、大喜利のみをコンテンツとして提供するライブもある。

船引 けっこう大事ですね。脳が栄養を欲してるなと思ったら食べていただいて。ここでやることの懸念点を挙げるとしたら、パンを使った回答はしづらくなるかもしれないです。でもそれぐらいですかね。


大喜利部、当初の想定よりも楽しいですね

ーー イベントの話に入る前に少しだけ、船引さんが開催されている「大喜利部」(*注3)の紹介というか活動報告みたいなことをしたほうが良いんじゃないかと思いまして。今回「添削大喜利」でイベントをやろうと思いついたのも、配信でやっていた添削大喜利に参加したことがきっかけだったので。雰囲気も地続きなところがあるかもしれないですし、参加する方々や検討されている方々の参考になるかと。
 発足から1ヶ月と少し(*取材当時)、原則週3回のペースで開催しておられますが、ここまでの感触はいかがです?

注3: 音声配信サービスRadiotalkの公式企画「部活動」として設立されているチャンネル。チャットでリアルタイムにリスナーからの回答を募り、船引がお題ごとのMVPを決めていく、大喜利生配信をメインに活動している。部員になるとランキングへの参加も可能になる。2023年8月7日よりスタート。

活動記録ページ: https://gakudukeinfo.notion.site/04b402a1925043da8aa9bbe5447b0eba

船引 大喜利部、当初の想定よりも楽しいですね。継続して参加されているリスナーの方々が明らかに面白くなっていってるのがおもろい。コツを掴んでる。

ーー 私も活動記録を取っていたり時々回答に参加してみたりしていてそれは感じますね。お題への反応速度と回答の面白さとが、よく参加されている方ほど変化しているような。文字だけでの投稿なのに、回答者の個性や模索が見えてくるときもあって……同じリスナーの立場でどこからモノ言ってんだって感じですけど。
 ただやはり、回答投稿の終了後に提示される船引さんのお手本「部長の回答」はひと味違います。

船引 それはチャットに残っているリスナーの方々の回答をひと通り見たあとやから……よく切り込まれているポイントとかパターンのデータが取れたあとなんで、出てないやつをやれば良いだけ。

ーー そんな(笑)。とはいえあの速さでパターンを見出せるのはさすがですよ。

船引 僕はもとより他人のやってない答え方をしたがるほうではあるけれど、大喜利部ではそれが一層やりやすいなって発見がありましたね。めっちゃ有利ではある。スゴいスゴいって崇められやすくなる(笑)。ずるいんですけど。

ーー 音声生配信とチャットで展開されていくため、ネット大喜利でも生大喜利でもない空間になってきているのを感じます。ネット大喜利だと回答が開示されるタイミングは同時であることが多いし、ホワイトボードの使用が主流な今の生大喜利ではリアルタイムにログが残らないし。
 お話を伺っていると割と好調なのかなと見受けられるんですが。まだしばらく続けていきたいとか、今後について考えておられますか?

船引 そうっすね。(コンビ休業中は)暇やし。いい暇つぶしになってるし、お笑い活動をしているときのような感覚もあるから。

ーー ちなみに、こういった活動をされている方ってあんまりいないと思うんですけど、周りの芸人さんなどからの反響ってあります?

船引 大久保八億だけです、言われたことあるの。ちょうどお題の解釈で若干モメていた回を聞いたらしくて「船引さんでもああいうことあるんですね」って(笑)。

ーー よりにもよって(笑)。船引さんもリスナーも頭を突き合わせて考えている、そんな時間も生じるのも大喜利部の楽しみなところでもありますがね。より「お笑い」の捉えかたを鍛えられているような気がしてきて。


制約がかかってしまう中でも最大限のパフォーマンスを出す、笑いを取る方法があるよ……って

ーー 今回のイベントで扱う「添削大喜利」とはいったいどういったものなのか、船引さんの言葉でご説明いただけますでしょうか。

船引 はい。お笑い活動のひとつとしてお客さんの前での大喜利をやっているガクヅケ船引と牛女しらす(*注4)が、その経験に基づいて、大喜利に興味を持って集まった参加者の回答を添削いたします。添削の方針としては「実際の大喜利ライブでワッと客席が沸くように」といった感じですね。

注4: 当イベントのゲスト。お笑いコンビ「牛女」のひとり。船引とは少年期よりネット大喜利でしのぎを削ってきた関係にある。
X(旧Twitter): https://x.com/kasisukoon

ーー ありがとうございます。すみません、就活みたいな質問をしてしまって(笑)。
 こういった企画、少なくとも私が普段行くような大喜利ライブではおそらく観たことがなくて。開催するにあたって未知数の部分がまだまだあるためにお伺いしたいのですが。「こういう感じになるといいな」ってイメージ、船引さんにはありますか?

船引 なんやろな……芸人から技術的な話を聞く機会ってあまりないと思うんで、そこは面白く観てもらえるかもしれません。

ーー 日頃「お笑いのプロ」という態度での発信をする機会、お笑い活動の性質上なかなか無さそうですよね。本人たちはずっと考えているのに。

船引 あと僕としらすでは大喜利のスタイルが違うから、先生役としてのバランスがいいと思います。しらすの大喜利は表現力があると思うんで。
 僕は自分のこと「ネット大喜利の人が人前での大喜利に参加してみました」系だと思っているんで、近い感じで大喜利をやっている人たちからは特に、参考として見てもらいやすいかな。「人前で大喜利するのは緊張しますよね?」とか。いまだに回答するとき緊張をちゃんとしてるし、お客さんのことも見れないし(笑)。そういう制約がかかってしまう中でも最大限のパフォーマンスを出す、笑いを取る方法があるよ……って。

ーー 寄り添う感じで。

船引 そうですね。僕自身が通りにくい声質をしているので「それはあまりに声が小さすぎるよ」とかも経験から言えますし。

ーー ここの広さで後ろのほうまで、声や表現を工夫して伝えられたなら、他の大喜利会やライブでもちょうどいいかもしれませんね。
 話が少し戻ってしまいますが。同じ大喜利プレイヤー、というか同業者の芸人である船引さんから見たしらすさんの大喜利についてもお聞きしたいです。

船引 自分の得意なところや、やりたいことを伝える力があるんだなって思います。

ーー ネタだけでなく大喜利とかの企画でもフィジカルを活かして、さっき仰っていた「最大限」を示そうとされている感じがありますよね。

船引 人一倍ウケたいっていう思いがありそうやから……積極的ですよね。そしてお題に沿った答えかたをわかったうえで、その場に適した方向に振り切れる器用さも持ち合わせている。題意に沿うこともあれば、何言ってんだよ系の回答を出すこともある。
 ……話してきて思ったんですけど、そもそも僕たちのやってきている大喜利ってMCがいるのが前提なのかもな。僕もMCにツッコんでもらう想定の答えかたが多いほうかもしれない。

ーー なるほど……。当日なんですけど、お二方にも回答に参加していただきたいので、大喜利中のMCというかお題を出したり読み上げたりは私がやろうかなと考えているんですが……けっこう責任が……(笑)。

船引 いや!大丈夫っすよ、そういうつもりで言ったんじゃなくて(笑)。僕たちはMCがいる大喜利によく呼ばれているからそういう傾向が……ってことですね。ツッコんでもらうポイントを残すように回答のクセがついてるんじゃないかと。

ーー 人前での大喜利に慣れた方特有のクセ。ボケが面白いだけでなく、MCや他の演者さんたちとの掛け合いを取り込んで、次第に笑いが増えていくような回答ですね。

船引 寺田寛明さんや徳原旅行がMCだとめっちゃ回答の要素を拾ってくれる。めっちゃ信頼できるんですよね。寺田さんだけがそのボケを理解している場面もよくありますよね。

ーー 面白いポイントをわかったうえで、ちゃんとMCとしての発言に変換してアウトプットされている。基本的には舞台上とのコミュニケーションが取れないライブの観客の立場からしても、痒いところに手が届くMCはありがたく感じます。

船引 そういうMCがいない場で失敗する時とかもあるんですよ、僕の回答。分かってもらえてへんのやろなーって反応になる。表現が不親切すぎたなーって反省(*注5)しますね、あとから。

注5: 船引のnote「完熟トマト新聞」にも、その例が残されている。

ーー ……寺田先生たちをお手本に頑張ります(笑)。

船引 大丈夫、大丈夫です(笑)。実際添削する際にはMC対策的なところはそこまで重視しないでしょうし。ツッコんでくれるMCであろうとなかろうと、答えとしてパッと出した瞬間から明らかに面白い回答のほうが汎用性があるやろうし。


眠気と、あと尿意は大喜利の敵なんで

ーー ここまでお伺いしたことの他に、参加者の皆さんへお伝えしたいことなどあれば。

船引 大喜利は続けて参加していくと、だんだんできるようになっていくというか。こないだやった大喜利の経験が他の場での大喜利に良い影響を及ぼすことなんかもあるなって、コンビ休業で活動のほとんどが大喜利ライブって状態になってから、ますます感じます。単純に前の大喜利で見つけた表現が思い出せたり、お題の要素を読み取りやすくなったり……スタートダッシュがマジで違ってきます。

ーー そう聞くと、このイベントで初めて大喜利をされるって方々にも、各々のペースで大喜利を続けていっていただきたくなりますね。

船引 あと、よく寝てから参加したほうが良いと思います。大喜利は眠いとよくないです。

ーー 大喜利部の生配信も夜に行われているためなのか、回答への解釈に時間を取られがちな回がたまにありますよね。

船引 普通に眠くて不機嫌だった回とかありますね、ふふ(笑)。

ーー 「ふふ」じゃなくて(笑)。

船引 「寝たのになんで眠いねん!」っていう自分と「これじゃいかんな」って自分がいてなおさらもどかしい。眠気だけじゃなく、体調がよくないとか、怒りがあったりとかもけっこう響きますね。

ーー 面白いボケを考えることにエネルギーを割けなくなってしまう。ちゃんと寝て、ちゃんと食べて、健康な身体で来ていただきましょうか。

船引 眠気と、あと尿意は大喜利の敵なんで。やからイベント中、何回トイレに行ってくれても良いんで。

ーー 時々休憩は挟みますが、とはいえおそらく長めの時間のイベントとなるので。パンや飲み物の追加注文やお手洗いには適宜行ってもらって大丈夫です。と書いておきます。

船引 (笑)。やっぱ大喜利って、パン屋でやるべきなのかも。


ガクヅケ
船引亮佑と木田からなる、マセキ芸能社所属のお笑いコンビ。2014年結成。都内の劇場を中心に現れては、「面白さ」への純粋な探究心を感じさせるネタで観客を魅了している。コンビとして発表するネタはコントに限定しているが、大喜利プレイヤーとしての活躍など、両者ともにライブの場において幅広く活躍できるポテンシャルを持つ。
2023年8月から2024年春頃まで、木田の体調を鑑みコンビでのネタライブ出演を原則休止としている。
HP: https://www.maseki.co.jp/talent/gakuduke

船引亮佑
兵庫県姫路市出身。生来の几帳面さ・生真面目さから、ガクヅケでは「面倒なこと」を担当しがち。
X(旧Twitter): https://x.com/shi__sho



 noteマガジン「連続型確率変数」では、ガクヅケ船引さんへのインタビュー連載を行っています。10月にも新しい記事を掲載予定です!
 過去の連載はこちらから。

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連続型確率変数 編集部
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