ネットだけで生きられるの?
最近、さまざまなSNSを流し見ているが、たまに、ネット万歳、ネットネイティブすげえ、みたいな文がある。
メーカーでモノ作りに関わってる身としては、違和感。
食べることも、移動(自身以外の移動、配達も含む)のためのインフラも、住む場所も、着る服も、額に汗して作らなければ、存在しない。
作ること自体がIOTで進化して汗なんてかかなくて済むようになる、という議論があるけど、世にあるモノづくり企業のうち、IOTに全振り投資できるだけのもうけを出している会社がどれだけあると思っているのだろう。そんな企業で働く人の数が、IOTにチャレンジできる企業の何十倍あると思っているのだろう。そもそも、IOTに、現実の知識や技能を落とし込むのに、どれだけ時間がかかると思っているのだろう。
ネットは、先端ではあるし、刺激的でもあるが、利幅が高い(まあ、それが重要なのかもしれないが)とはいえ、経済活動に占める割合は、そんなに高くない。(GDPがわかりやすいけど、それだけの話じゃないよ?) 進化の速度も、20年前に比べれば、早いのかもしれないが、今後10年で、日本からIOTを用いない製造業になりかわるほどの速度でもない。
既存の組織や、人間の集団というのは、それだけ重いものなのだ。「日本の」生活のすべてが電子化されて、ネットだけで生きられるようになるには、まだ50年はかかるだろう。
すくなくとも、それまでは、ネットは世界の一部に過ぎず、現実の一面を占めることさえもできない存在なのである。
過少にみる必要はないが、だからといって、過大に見積もると、足元をすくわれる。