子会社

私は新川ゆあ。24歳、身長166センチ、靴は24.5センチ。趣味は食べることと、書道。バドミントンとか短距離走とかスポーツも得意だ。

とある地方の都市に勤めている。本当は大企業に就職したが、入社しまもなく研修も兼ねて子会社の営業所に出向して総務課に配属された。
もうすぐ１年になりこの田舎の雰囲気にも慣れてきたが、そろそろ都会の本社に戻りたいところだ。せめて、身なりは生まれ育った都会の雰囲気をキープしている。
総務では労務関係を担当しているが、いろいろ問題が多くストレスがたまる。特に使えない年寄りたちの世話が面倒で、振り回される割には、そのお年寄りたちは働かなく、余計にむなしさを感じる。その年寄りの住む社宅では、ゴミの出し方や犬の声、そもそもゴミ屋敷になってるなど近隣からも苦情がきて、その謝罪もさせられる。でも、まだ新人なこともあり、感情を顔には出さないようにしている。(つもりだ。)
彼氏とはずっと遠距離だったが、ちょっと前に別れた。それも最近のストレスに拍車をかけている…やっぱり田舎はやだなー。

私は佐野賢。52歳、独身。生来の低い身長とルックスで結婚せずにこの年まできてしまった。もともと本社にいたが、遊び優先の人生を歩み、リストラで子会社に転籍になってしまった。それでも生きていくには十分なお金と社宅があるのでこのまま浮き沈みなく社畜として過ごすつもりだ。
社宅は築20年の1K。和室とキッチンのみの質素な部屋だ。長く男の独り暮らしで荒れ放題となっていて、ゴミ屋敷と周りには呼ばれているようだ。
寂しさを紛らわすために犬のクロ助を飼い始めたが、なかなか言うことを聞かず困っている。このクロ助が部屋のゴミ屋敷化を進めていように思う。それでも私にとって唯一の家族だ。
あと金魚を6匹飼っている。金魚鉢にただよう金魚を見てると心がなごみ、私を癒してくれる数少ない友達だ。
最近は何をするにもモチベーションが上がらず、休みの日はずっとクロ助と部屋にいる。そしてとうとう会社に行く気力も失い一昨日から無断で部屋にこもっている。もともとたいした仕事をしてないので、同じ部署のメンバーからは連絡はないが、総務課からは一応携帯に連絡がきている。何となく億劫で居留守を使っているがそろそろ何か言い訳をして電話に出ないとと思っている。

ゆあはいつにも増して憂鬱だった。会社をサボっている社員への電話だ。毎日電話して留守電を残しているが折り返しがない。会社の規定で３日連絡がつかなかったら総務課のメンバーが家まで連絡をとりに行く決まりだ。佐野に連絡がつかなくなって今日が３日目だ。今日連絡がつかなければゆあが行かなければならない。
20秒のベルが終わり、無表情な女性の声が聞こえてくる。いつもと同じだ。ゆあはため息をひとつついて、今日出向く旨を残した。留守電を聞いて折り返しがあることを願い午後になるのを待った。
でも、よい知らせは来なかった。

ゆあはお気に入りのトレンチコートを羽織り、黒のパンプスを履いて会社を出た。社用車に乗り佐野の社宅を目指した。朝降っていた雨が上がり、嘘のような晴天となった。秋の終わりが近づき街は冬の支度に入っている。少しずつクリスマスの雰囲気が見え隠れするのがゆあの寂しさと苛立ちをつのらせた。
社宅はどうみても貧しい家庭が住む街の外れにあり、舗装されていない駐車場に車を停めた。空き部屋も多く、会社の中でも使えない社員が入る流れになっている。はじめてくるみすぼらしいアパート。都会のマンションで育ったゆあにとっては未知の世界だった。
朝の雨でぬかるんでいる駐車場を横切り、佐野の部屋へと歩く。ジャリジャリと不安定な地面にピンヒールの跡を残し、秋晴れの澄んだ空気を心地よく吸った。

102佐野。トントン。「佐野さーん。総務課の新川でーす。大丈夫ですかー？」返事はない。その代わりに犬のけたたましい鳴き声が響く。犬の鳴き声の苦情の犯人が佐野だと確信し、苛立ちがさらに高まった。もう一回問いかけ、会社のルールで来たことを少し語気を強めて告げる。それでも佐野の返事はなかった。
社宅には合鍵がある。少しムッとしたゆあは何も告げずに鍵を開けた。無断で欠勤してる方が悪い。例え体調が悪くてもよっぽどでなければ電話くらいできる。
ガチャ。ぎー。きしんだ音をさせてドアが開いた。部屋からの異臭が鼻をつく。それと同時に犬が吠えながらすごい勢いで駆け寄ってきた。ゆあは犬があまり好きではない。ドアを開けるときも少し構えながら開けた。それでも駆け寄ってきた犬を開きかけたドアで押さえながら半身だけ玄関の中を覗き込み佐野の名前を呼んだ。部屋の奥に人影が見えるが動かない。「佐野さん？…お願いします…」それでも人影は動かない。「佐野さん。わんちゃんを何とかしてください…」そうこうしているうちに犬がドアを回り込みゆあの足に襲いかかった。そして履いている右のパンプスに爪を立てた時にゆあのスイッチが入ってしまった。爪はパンプスの丈夫な革に阻まれゆあの足を守った。スイッチの入ったゆあの右のパンプスは反撃とばかりにクロ助の横顔をひと蹴りして、佐野の社宅の玄関の上がり口に叩きつけた。「キャン！」と悲鳴を上げてクロ助はすくみあがった。ゆあの怒ったパンプスはそれでも許さずジャリっと玄関の土間を踏みにじりクロ助を睨み付ける。一瞬の静寂を破りゆあのパンプスが持ち上がり、その刹那クロ助ののどの辺りに襲いかかった。心なしかピンヒールが足の付け根に食い込んでいる。ぐったりするクロ助を見てゆあは我に返った。「あっ、すいません、つい…」佐野の人影はやっと動き、慌てふためいている。動物小屋のような異臭の中の佐野は寝間着のまま布団の上で酒を飲んでいたようだ。この様子だと佐野は居留守でやり過ごすつもりだったようでドアが開くとは思ってなかったようだ。佐野は事態を飲み込み、クロ助がぐったりしているのを見て、悲しみと怒りが沸き上がってきた。しかもクロ助を痛め付けたのが新人の新川だと言うことがさらに怒りに火をつけ、酔った勢いもあり激昂した。
佐野は勢いよく立ち上がるとゆあに襲いかかった。しかし、佐野は和室に落ちてた紙屑で右足を滑らせ、キャビネットに置いてあった金魚鉢を巻き込み派手に転んだ。金魚鉢はキャビネットから落ちて畳に水と金魚を撒き散らし、佐野は滑った反対の左足を激しく捻り、頭の左側を激しく壁にぶつけた。
電気を点けず薄暗い部屋に静寂が戻った。ぐったりしているクロ助と佐野、ごろんと転がった金魚鉢、あたかも苦しいと言わんばかりにピチピチ暴れている金魚だけが時間の進行を示していた。

ゆあはハッと我に帰り事態を収集しなければと思った。さもないと、この忌まわしい空間から脱出できないからだ。まず、佐野に声をかけようと思ったが、ゴミ屋敷に靴を脱いで上がることができなかった。視界の左下にスリッパらしきものが映ったが、ホコリを被り汚れがひどく、とても足を入れる気にはならなかった。床にはゴミでパンパンになったゴミ袋、犬のフン、洗濯を待つ汚れた下着、ワイシャツなどが散らばっている。ゴミ袋からはゴミがあふれだし、床を汚し、異臭を放っていた。それに昼下がりでゆあ自身の足の臭いも気になった。
「佐野さん！」と今さら急ぐのかというタイミングで慌てた振りをして声をかけて土足のまま上がることにした。転がっているクロ助やゴミたちを避けてキッチンを歩いた。ゴト、ゴト、ゴトと木製の床を踏み鳴らして佐野の元に向かった。急いでる(振り)ため、途中ワイシャツと避けきれなかったゴミ袋を踏みつけてしまった。ワイシャツは靴底の模様を刻印され、ゴミ袋はピンヒールで突き破られゴミをちらした。
木製の床は何となくクリアできたが、畳の手前でさすがに躊躇した。佐野は酔いつぶれ、固く目を閉じており、このまま入ってもバレないと踏んで和室に入り込んだ。ミシ、ミシ、ミシ…畳を踏み鳴らす音が静かに鳴り響く。和室ももので溢れかえっていた。
そっと佐野を揺すり意識を確認した。頭を打って脳震盪を起こしているが大丈夫そうだ。ゆあは腕を口鼻にあてて、自分の甘い香りで臭いを誤魔化したがそれでも耐えられない悪臭だ。
外の空気を入れようと窓の所へ歩みを進めた。佐野の意識がはっきりしないことをいいことに行動が大胆になり、ズガズガと布団を踏み荒らして窓を開けた。そもそも、無断で欠勤するやつが悪く、しつけの悪い犬が悪く、ゴミ屋敷が悪い！例え、人の家を土足で上がろうが、人が寝ている布団を踏み荒らそうが、自分は全く悪くない！と結論付けたのだ。
カーテンを開け、窓を開けるとさっき肺を満たしてくれた秋の空気が勢いよく入ってきた。まだ冬ではないが、肌を刺す冷気だった。ゆあはトレンチコートを羽織り、パンプスを履いて全く堪えなかったが、佐野は裸足で寝間着だったため寒さで意識を回復させた。
まだ、怒り心頭の佐野は体勢を起こし、ゆあに右手でパンチを繰り出そうとした。しかし、意識がはっきり戻ると同時にひねった左足にこれまで味わったことのない痛みが走った。左足の傷はかなり深かく、ドスっと勢いよく布団に倒れ込んだ。足首の骨が折れているようだった。佐野の目の前2センチ距離には無造作に枕を踏んでいる右のパンプスがこちらを睨み付けている。このパンプスがクロ助に酷いことをしたと思うとまた怒りが沸き上がってきた。
佐野は物理的に敵わなそうなので、口で攻撃してきた。
「勝手にひとの家に入ってくるな！警察呼ぶぞ！不法侵入だ！クロ助もぐったりしているし、死んでたら訴えるぞ！新人のチャラチャラした女が勝手に土足で入ってきて許さないぞ！」

この言葉にゆあはキレたのだ。この数日の憂鬱、ゴミ屋敷の不快感、なかなか都会に戻れないうっぷん、冬間近に彼氏を失った怒り、その全てが抑えていた心の中から怒濤のように溢れ出た。
ゆあは無言で佐野の右ほほを蹴り付けた。突然のことで、佐野は全くのノーガードで蹴りを受けた。視界に右のパンプスが爆発的に膨れ上がると同時に衝撃と、少し後から血の味がした。ゆあは続けて全身を蹴りつけた。ぐったりして仰向けになった佐野に向かい、今度は上からパンプスが襲う。ゆあは全く手加減なしで佐野の上を歩き回った。ゆあはやせていたが、大人の女性の重さは凄まじかった。特にヒールの部分は身体にめり込み内臓まで痛みを感じるほどだった。
佐野の悲鳴が部屋中に響く。その悲鳴も力を失いただ蹂躙される音だけになった。ぼろ雑巾になった佐野から降りたゆあは、また佐野の目の前にパンプスを見せつけ仁王立ちになった。パンプスは嘲笑するかのような目線を投げかけてくる。そして、ゆあは静かな声で問いかけてきた。
「佐野さん…一番悪いのは…誰？」
小さな声だが、怒りのこもったハッキリした声だった。恐怖に震える佐野だったが、最後の勇気を振り絞って、小声で
「お前だ…」
と言った。
「もう一度聞きます…悪いのは誰？」
佐野はもう蹴ってこないと思い、
「だから、お前だろーが！」

それを見たゆあは口角を少し上げ、残酷な笑みを浮かべ佐野から離れた。生殺与奪の権利は、ゆあにあることを佐野は理解していなかった、それは佐野だけではなく…。
ゆあは和室のちゃぶ台の上に置いてある、さっきまで佐野が使っていた箸を取った。そして、畳の上の金魚を6匹器用に箸でつまみ、佐野からよく見えるちゃぶ台の上に置いた。
金魚はまだ生きたいと言わんばかりに暴れだした。その金魚に大きな影が迫ってきた。ゆあだ。ゆあはパンプスのままちゃぶ台に上がると、間髪入れず、なんの前触れも宣告もなく右のパンプスを一匹の金魚に叩きつけた。
ダム！カツ！ズリズリズリズリ…ゆあは金魚を全体重で踏み潰し、ちゃぶ台の上でにじった。そして、
「誰が悪いのかな…」
と残酷な笑みを浮かべながら呟いた。それを見た佐野は色を変えて
「私です！私が悪いです！」
と泣きながらわめいた。
「もう遅いよ…」
とゆあは呟き、もう一匹の金魚の前に立った。パンプスが金魚を愛でているように眺めている。かわいい儚い金魚を。それも飽きたようにゆあは大足をかざし、全力で踏み潰した。ダム！ズリズリッ！金魚はひとたまりもなくハジケ、パンプスの靴底の滑り止めを刻印された幾何学模様のひき肉となった。
佐野は、もう恐慌状態となりうずくまり、動かない身体のままちゃぶ台の上のゆあを見上げ、泣いて謝った。ゆあは嘲笑しながら
「土下座…」
と言いながら、足元に置いてあった佐野の飲みかけの入ったガラスのコップを持った。そして、ちゃぶ台の上に立ったまま佐野の上にコップを突き出した。佐野が怪訝そうな顔をして構えていると、ゆあは急にコップに残っていた酒を佐野の目の前にこぼした。空いたコップに残りの金魚4匹を箸で拾い上げ入れた。そしてパンツを下ろし、コップを股の部分にもっていき、立ったままコップの金魚に向け放尿を始めた。シー…ジョボジョボジョボ…金魚たちは聖水の勢いでコップの中で押し流され弄ばれた。
放尿するゆあは窓からの秋の澄んだ光を受けて神々しく、神の意思を伝えてくる天使のように見えた。唖然とする佐野を前にゆあは
「早くしないと金魚さんたち死んじゃうよ…」
コップにはゆあの聖水がなみなみと注がれた。4匹の金魚は生ぬるく、苦く、濃い黄色の聖水の中で苦しそうにのたうち回りながら泳ぎ回った。ゆあはそのコップを佐野がよく見える位置に置いた。ゆあの濃い匂いが佐野の鼻をついた。早く助けないと！と佐野はあせり、急いで正座して土下座しようとした。しかし、折れた足が全く言うことをきかず土下座すらできない。
それを見てゆあは優越感にひたり、満足と同時に性的な興奮も感じていた。いつまでたっても、もがいているばかりの佐野の目の前で、4匹の金魚の動きは徐々に弱まり、ついには止まり、浮かび始めた。まだ少し動いているがもう手遅れのようだ。ゆあは
「あーあ、死んじゃったね。かわいそうに…」
と言うと、ちゃぶ台から降り、右のパンプスの靴底に着いた金魚の残骸を佐野の目の前の布団で拭き始めた。粉々の金魚がべっとり布団につき、圧倒的な力で潰されたことがわかる。金魚の肉片の生臭い匂いとゆあの甘い香りを佐野は感じた。ゆあは
「これで晴れて会社を休めますね…転んで骨折して携帯も壊れて連絡つかなかったと報告しておきます。私に任せてゆっくり休んでください…」
とさげすんだ表情で告げ、玄関に向かった。途中当然のようにゴミ袋を蹴散らし歩みを進めた。

玄関でぐったりしているクロ助は、いつの間にか意識をもどしていた。クロ助は、怯えた目で和室の光景と騒ぎを見ていた。ゆあが和室から出てくると怯えながらもゆあに吠えかかり、威嚇してきた。ゆあは全く興味を持たずこのまま帰るつもりだった。
しかし、玄関に横たわりムダ吠えする姿がさっきうずくまりながらまくし立ててきた佐野にオーバーラップし、僅かに不快感が沸いた。それと同時に金魚を踏み潰したり、自分の尿の中で苦しむ金魚を見たときに感じた性的な興奮を強く思い起こしていた。
ゆあは何となく踏み潰したい衝動にかられ、クロ助の前で足を止め、見下ろした。クロ助にはもう歯向かう意思は無く、怯えた表情をして見上げてきた。その怯えた顔の上に左のパンプスの本底をゆっくり乗せた。それは優しく、愛でるように乗せ、クロ助がパンプスに頬擦りするかのような穏やかな光景だった。
しかし、それを見た佐野は脂汗が全身に吹き出し、必死に止めようとあがいた。それをよそに、ゆあは静かに右のパンプスを上げた。それと同時に左のパンプスにゆあの重みが乗ってきた。先程の穏やかさとは裏腹に残酷な重さがクロ助を襲った。小柄なクロ助に対しゆあの重さは圧倒的だった。人に換算すると1トン程度の乗用車の全重量を頭で受けるようなものだ。メキメキと骨が軋む音がした。ゆあは右のパンプスの本底を素早くクロ助の胴体から後ろ足にかけて置き、頭を潰さないようにしてあげた。ゆあの全体重が小さなクロ助の身体に委ねられた。
ゆあはまた残酷な笑みを浮かべ、優越感と性的な興奮に浸っていた。先程佐野の上を蹂躙したときは歩くスペースがあったが、クロ助は小さく、歩くことはできなかった。それには少し物足りなさを感じたが、必死に重さに耐えているクロ助を見ると背徳感も感じられた。
ゆあの下の唇はこれまでのどの性交より濡れてパンツを汚し、ゆあは恍惚な表情を浮かべていた。ゆっくり右のパンプスに体重を乗せ胴体を潰しにかかる。バキバキと骨が折れる音がして、何か潰れる感覚も感じる。心なしか生き物の熱も靴底から感じられるような気もした。ピンヒールを立てたら皮を突き破り「中身」が出てきそうなので、優しく、丁寧に本底だけで踏みつける。更に体重をかけるとお尻から中身があふれ出てくる。
それを見て、今度は左のパンプスに体重をかける。クロ助の顔はバキバキと音をたてて徐々に歪み、やがて原形に戻らない程度に潰れていった。左のパンプスを上げると変わり果てたクロ助の顔が姿を現した。左のパンプスを上げたために、右のパンプスに全体重が乗り、胴体も右のパンプスに完全に破壊され尽くされ、クロ助の身体の中で臓器が潰されていた。後は前足やお尻など本底から逃れた僅かな部分を丁寧に潰した。勝ち誇ったパンプスの下で、クロ助はまっ平らな変わり果てた姿にされてしまった。
慎重に踏んだので、パンプスはあまり汚れなかった。少しクロ助の口から出てきた中身で左のパンプスの底が汚れた程度だった。ゆあはクロ助から降り、落ちているワイシャツを踏みにじり丁寧に靴底の汚れを拭き取った。ワイシャツはクロ助の汚れで刻印され、引っ掛かったヒールにより裂かれ、ぼろ雑巾にされた。そして、呆然とする佐野を残し、ゆあは満足した表情で出ていった。

翌日、佐野は入院し、ゆあは佐野が怪我して入院していることを報告して全てが解決した。その１ヶ月後、ゆあは念願の東京本社へ異動となった。佐野は二度とゆあに会うことはなかった。