ルパン三世とわたし
もうかれこれ何年の付き合いだろうか。
多くの人に共通することだろうが、人生を共に過ごしている、または過ごしてきた作品があると思う。それが一つの人もいるし、いくつもの人もいるだろう。
ルパン三世はわたしにとってそんな作品の一つだ。
小さい頃は
ご存知の通り、ルパン三世はいくつものシリーズがあり、沢山のストーリーがある。ルパンを始めキャラクターの性格もその時々で変化するし、作風も制作者によってさまざまな味付けがされてきた。
わたしと、ルパン三世との最初の出会いは、多くの人がそうだと思うが、宮崎駿監督の「カリオストロの城」である。幼い頃は、ルパン三世といえばこの作品だった。
ルパンに関しての、覚えている最初の記憶が、家族で一緒にテレビで「カリオストロの城」の一場面を観ているものだ。クラリスを助けようと、ルパンが次元と共にローマ水道を使ってカリオストロ城へ潜入するところだ。
父の隣で、眠いのを我慢して、まどろみつつ観ていた記憶がある。
小学校高学年になると、金曜ロードショーで放送するたびに、クラリスが幽閉されている北の塔に潜入、伯爵と対峙する場面のモノマネをよくやっていた。
「あ、聞いちゃった、聞いちゃった、お宝目当ての結婚式ぃ」
「ヤツだ!」
「ニセ札づくりの伯爵の、言うことなすこと、すべてうそ」
「本物の指輪はオレが預かってる、その子に指一本触れてみろ、大事なは指輪はこうだ!(パーン!)」
今観ても、宮崎駿は子どもを飽きさせず、夢中にさせる演出を散りばめていると思う。
中学、高校、そして大学
中学の頃までは、友人から借りるルパン三世のビデオテープ、そして夏休み恒例のテレビスペシャルを楽しみにしていた。
1番好きだったのは「炎の記憶 Tokyo Crisis」だ。ゲストは林原めぐみと山寺宏一。山寺氏は後に銭形のとっつぁんの後任になった。
とっつぁんが活躍するし、物語自体も今見ても面白い。途中、銭形の家が火事で焼けてしまうが、ご先祖さまからの十手は焼けずに残り、とっつぁんが燃え殻の灰の中から十手を見つけ空に掲げるシーンは胸熱だ。林原めぐみの役の味噌汁も飲んでみたい。この作品は友人に借りたりレンタルしたり、何回も観た。
高校や大学の頃は放送していれば観るような、好きなアニメの一つだった。何年かに一度、自分のタイミングでルパンブームが起きるのはこの頃からだ。不二子役の増山江威子さん、五エ門役の井上真樹夫さん、銭形役の納谷悟朗さんの引退作「the Last Job」もリアタイし、見守った。
講師の頃は
大学を卒業、講師をしていた時も時折夢中になった。
覚えているのは、講師2年目。講師の控え室で個人のホームページで「カリオストロの城」の解説をしているページを読んでいる場面だ。(すでに iPhoneを使用していたことも覚えている。) 講師3年目からは仲の良い同僚や先輩も増え、それこそよくいろんな話をしたり外で遊んでいたりしていたが、この時は仲の良い先輩が1人いて、よく遊んでくれたが、その他はあまり話す人もいなかった。周りは就職して働いている。自分は講師とバイトの日々。寂しくないと言えば嘘になる。
加えて、なかなか採用試験に受かる見通しも立たず、つてもない。先の見通しも立たない。今となっては、しっかりと自分の専門に向き合っていなかったこと、覚悟が足りなかったこと、貪欲さが足りなかったこと、など、自分の悪いところばかり見えて、「それじゃなくて、これやらなきゃ」とアドバイスができるのだが、生徒にも常々言っているように、「自分で失敗して痛い目を見ないと、人間は変わらない」。痛い目を見るのは採用されてからなので、この時はまだそれを知らない。
そんな時も「カリオストロの城」を始め、ルパン三世一味はわたしにいろんな冒険をさせてくれた。今でもそうだ。昨年度、仕事で上手くいかなかった時期に背中を押してくれたのも、後述するが、実は「ルパン三世」だ。
わたしのルパン三世評
1stシリーズのテレビスペシャルとは違う雰囲気も好きだ。しゃがれたOPもカッコいいし、退廃的な雰囲気がいい。実は大塚周夫さんの五エ門も好きで暗殺者という雰囲気を纏っているのが良い。
実は、声優を総入れ替えした、「風魔一族の陰謀」も好きだ。基本的に昔から五エ門推しだし、話もストーリー展開も好きだ。わくわくする。賛否両論ある作品だが、これも「ルパン三世」だと思っている。
もちろん、2ndシリーズの、明るい雰囲気も好きだ。それからのカリオストロの城。カリオストロは、印象的な場面が本当にたくさんあるが、以前観ていたその時々の感情が蘇る。自分もクラリスになった気持ちで(あくまで気持ちだけ。あのドレスが似合うのは彼女だけだろう) 、その時々の悔しいこと悲しいことをルパンに助けてもらい、背中を押してもらった。いつも彼らは優しい。辛い時、ルパンたちはいつも側にいた。
その時に付き合っていた人への思いを「炎のたからもの」に重ねて気持ちを発散したりもした。今考えると恥ずかしい限りだが、想いを寄せる時は大抵この歌に助けてもらっている。または作中の不二子のように、しっかりと自立してかっこいい女性になりたい、と思ったり、など。作品のテンポがいいのもあると思う。観ているだけで、自然と、頑張ろう、と背中を押してくれる作品だ。
血煙と仕事
そして、最近いいなと思う作品が「血煙の石川五エ門」。1stシリーズに寄せてきている作品の一つだが、五エ門が主人公の、ルパンと次元の仲間になる前の話。2人が修行の様子を見守っているのもいいが、壁にぶち当たってもがいて、それでも己の信念を信じて突き進む。
きっかけは生徒がルパンの中で好きな作品で挙げていて、興味本位でアマゾンプライムのレビューを見たこと。「男なら絶対見たほうがいい 女性もモヤモヤしてた悩みをぶった切ってくれるでしょう」という内容のコメントがあり、試しに観たらコメントの通りだった。
昨年の今頃は、仕事の部署が変わり、手応えが全く感じられなかった。生徒に向かう最前線のラインの仕事。慣れない中、クラスが集団として手強かったり、生徒とケンカしたり。達成感がなかった。そんな時に観た、血煙の五エ門。
予期せぬ敗北、その時どうするのか。
自分に言い訳せずにやるしかない。ギリギリまで自分を追い詰め、何かを掴み取った五エ門はボロボロだけど最高にかっこよかった。
モヤモヤしても仕方ねー!やってみっか!と。
翌朝に読んだデボーションの内容もドンピシャだった。詩篇で「あなたは私の足のともしびです」ってダビデが主に告白している。
先行きが見えない暗い中でも、主と一緒なら大丈夫
その時の自分にドンピシャなことが重なることはある。
実際、その日に生徒に、気持ち的に体当たりして伝えたら、少しうまくいった。感覚的にも覚えてる。いつもできるわけじゃないけど、気持ちが伝わった。
アニメ観て、それから聖書読んで、感謝、って側から見たら変かもだけどやっぱ全てのことって神様の恵みだよね、感謝。
と、この月のTwitterに書き込んでいた。
お次は
そんなわたしも、そろそろ、カリオストロの城でのルパンたちの年齢に近づいてきている。ルパンたちに背中を押してもらう、だけじゃなくて、ルパンがクラリスを助けたように、そろそろ誰かの背中を押す存在にならないとな。
先週の金曜ロードショーを観て、年齢を重ねた自分に気づき、そう思った秋の終わり。
追伸
来週のthe First も面白いですよ〜〜(^ω^)ぜひ!エンディングがいいです・・・