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他の女と話してんじゃねぇ(僕とくぴぽとまこちの話⑦)

2021年2月、突然くぴぽのSNSオーディションが始まった。
前告知はほとんどなく候補者のSNSアカウントが公開されて、まきちゃんが補足のツイートをしていたぐらいだったように思う。
新メンバーやスタッフの募集は継続的にしていたとは思うが、当時としては4人の体制が盤石だと(外から見ていた分には)思っていたので、頭に「?」がついていた。
だが、その後のことを考えると、あの時点でSNSで公開オーディションをするという決断は英断だったように思う。

そして候補者のアカウントが公開されてそれぞれの最初のツイートがあった。
まきちゃんのRTでそれを見た自分はよくわからないながらも「何となく面白そうなことが始まったな」と思った。この時は推しメンが卒業すると思ってないのでめちゃくちゃ軽いノリで候補者の子にリプしたりしていた。
候補者は、最初の告知の段階で3人いた。
最初の2名は途中でリタイアし、既にアカウントもないので言及は避けておこう。
3番目に参加していたのが、まこち、こと、まことちゃんだった。

最初にまこちを見たときの印象は、「今風のアイドルだな~」という感じだった。
今風って何だよって話だが、派手髪でピアスがバチバチで、個人的にはあんまり触れてこなかった界隈のアイドルというイメージだったし、くぴぽのことそんなに知らなそうだしノリで受けたのかなとか思っていた。まこちごめん。
少しずつダンス動画をアップしたり、コンスタントにツイートしたり、ツイキャスをしたりという活動が始まると、少しずつまこちのキャラクターや人となりが見えてきた。

くぴぽにはいろいろな側面があると思うけど、まこちもまた“くぴぽらしい”子だった。
強めの風貌とは裏腹に、繊細で、人に対してとても気を遣っていて、誰かに踏み込むことも、誰かに踏み込まれることも苦手そうな、そんな優しさと脆さを感じた。

くぴぽのメンバーやオタクはいつも楽しくて明るいけど、どこかでコンプレックスや他人事のように動いている社会に対して苦々しく思う一面を持っていて、そのポジティブさとネガティブさが同時に共鳴してみんなくぴぽのファンになっているんじゃないかなと個人的には思っていて、まこちにはまさにそういう部分があるように思えた。

くぴぽのメンバーになってからのまこちの活躍はみなさんご存じの通りだが(ご存じですよね?)、まこちにはいい意味で“周りに染まらない魅力”がある。
もちろんアイドルとしてのオン/オフはあると思うけど、発する言葉や態度の裏表のなさはまこちの魅力だ。
まきちゃんという強烈な個性のプロデューサー/リーダーに対しても、自分の意見ははっきり言うし、オタクにもお為ごかしは言わず真正面から向き合って接してくれる。
まきちゃんのnoteから察するにたぶんこの考察は間違ってないんじゃないかなと思う。
しかも、ただ何でもずけずけと言うような毒舌キャラではなくて、相手の立場や気持ちを推し量って、相手が受け止めやすい言葉を選んで意見を言う。それはとても凄いのだけど、同時にとても疲れてしまうだろうなというのは、少し感じた。

まこちがそうした自分らしさを出せるようになったのは、再録EPのレコーディングにあるのかなと思っている。
くぴぽは現在過去曲を再録したEPを連続でリリースしていて、そのレコーディング風景をツイキャスで配信することがあるが、最初期の頃、まこちのレコーディングは難航している雰囲気があった。
まこちの声は一度聴いたら忘れられないぐらいキュートでコケティッシュで、アイドルとしては最高の武器だが、当時のまこちにはその歌声も含めて自分という個を表に出すということに躊躇いがあったのではないかと思う。
それがまきちゃんや星ひできさんの「自由に歌っていい」というディレクションでどんどん表出していき、いま音源で聴けるような素晴らしい歌声を確立していったように思うし、それを作り上げた自信がアイドルとしてもまこちのキャラクターを確固たるものにしていったと思う。
この音源はサブスクで聴けるし、リリース順に聴いていくとまこちの歌がどんどん個性を増して良くなっていっているのが分かるのでこれ読んでる人は全員聴いてください。

まこちは2022年9月でくぴぽを卒業する。

くぴぽに加入してからまだ1年ちょっと、誰もが早すぎると思うことだろう。僕だってそう思う。ただ同時に、自分と他者のバランスを常に気遣っている彼女の性格からして、不特定多数の人間と関わりバスや車での長距離移動も多いアイドル生活は大変であることも解る。
人生は一度きりだし、その人生はまこちのものだ。
ここで一度区切りをつけておくのが最良だと思う。
しばらくしてまたアイドルをやるかもしれないし、何かの表現活動をするかもしれないし、普通の女の子として生きるかもしれないし、これからのことは何も分からないけど、どんな人生でもまこちらしく生きていってくれたら、これ以上嬉しいことはないなと思う。

でもこれだけは言わせてほしい。

まこちやめないで!


(俺たちのオタク・ロードは一生)つづく……

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