
ジョージアのはなし。
転職した、ので次の仕事が始まるまでに時間ができた。
どこに行こうか色々と悩んだ結果、ずっと行きたかったジョージアに一週間行ってきた。
なぜジョージアか。
日本でもツイッターを使いこなすジョージア大使や、松屋のシュクメルリのおかげでで少しずつ認知度が上がってきている。勿論、ジョージアワインも有名だ。
私にとってのジョージアは、
料理やワインが何よりも美味しい。
風の谷のナウシカのモデルになった場所がある。
素晴らしい民族舞踊がある。(参考:https://www.youtube.com/watch?v=hCDBeKenL94)
それに加えて、大学院時代によく一緒に勉強した友人がジョージア出身なのだ。彼女は在学中に妊娠出産まで経験し、修論も私より先に書き上げてしまったスーパーウーマン。様々な理由から結局ジョージアに帰って私は至極残念だったのだが、彼女や娘に会いに行くという目的もあって、今回はジョージア行きを決めた。
ジョージアには3つの国際空港があり、欧州各地からLCCが飛んでいるのは中西部のクタイシという古い街だ。私も今回はベルリンからWizzairで飛んだ。往復で104ユーロ、直行便なので非常にアクセスがよかった。
飛行機が着地するときに、拍手する国としない国があるのだろうといつも不思議に思う。ジョージアはちなみに拍手する側だった。
イミグレも特段問題なく(なぜか年齢を聞かれた)、Boltが普及しているので空港からホテルまで直接向かう。中心街までは約40分の距離だ。それで10ユーロぐらい、ドイツ在住の身からすると天国のようだ。
Boltのおじさんは英語はよくわからなかったけど、なぜかみかんをくれて(だいぶおなかがすいていたので助かった。)中心街まではかなりスムーズに移動することができた。しかし、私のゲストハウスがややこしいところにあって、私の宿泊先と電話しながらGPSとにらめっこし、挙句の果てに警察に止められたりしながら(本当に申し訳なかった、プロブレーマプロブレーマとつぶやいていたのをジョージア語が分からない私も理解した)なんとか到着した。お礼にチップを渡したかったのだが、空港で引き出したばかりの現金は大きすぎて、ゲストハウスのおばさんに細かいのはないか聞くと「小銭はないし、道が分からなかったのは彼の責任だから大丈夫!」と自信満々。それでもかたじけなかったので財布に入っていたユーロの小銭をわたし、無事にチェックインすることができた。おなかがすいていることを伝えると、宿のおばさんがチーズトーストを作ってくれた。あまり交流のないゲストハウスだったけれども、この夜は大変ありがたかった。
ちなみに私は初日からヘッドホンをこのタクシーに忘れるという失態をおかしたが、おじさんは次の日に無事に持ってきてくれた。ジョージアに感謝。
翌日は市内の散策へ。まずはゲストハウスの近くの丘から散歩。とても見晴らしがよく、山頂には少し雪がつもっているのも見えた。墓地も併設されていたが、墓石に写真が印刷されているのが印象的だった。しかも、写真の選び方も若い時の写真だったり、年取ったあとの写真だったり、特にルールはないようだった。日本では見ないし、ドイツでもあんまり記憶にないので不思議に思った。誰か墓石について、人類学なりカルチュラルスタディーズなり研究している人はいるだろうか。
そのあとメインの広場を通り過ぎ、グリーンマーケットに向かう。地元でとれた農産物や肉、スパイス、お漬物、チーズなどなんでも手に入れることができる。私はこういった市場に行くのが個人的にとても好きだ。言葉はわからないが、なんとなく現地の人の生活ぶりが感じられるからだ。はちみつも売っていた。はちみつがとれるのは豊かな国だと私は勝手に思っている。

一通り散策した後、一食目は市場の末にある食堂。のれんはしまっているし、しかも半地下だし、なんとも入りにくい雰囲気だったが、のれんをちらりと開けてみたらおじさんがご飯を食べていたので、私も意を決して入店。ちなみに、レストランや交通の情報などは私も例外ではなくのぶよさんのブログを参考にさせていただいた。貴重な情報がまんべんなく書かれていてとても参考になった。やはり言葉がわからない(特に文字が読めない)国での事前準備は大切である。(参考:https://ca-voir.com/)さて、こちらで頼んだのはハルチョー。牛肉のスープである。コリアンダーが大量に入ってて、優しいうまみとハーブのフレッシュさがなかなかのハーモニーを作り出していた。トイレを借りると、久しぶりにお目にかかった、スクワッド式。お会計は14ゲル。

腹ごしらえも済んだところで、バガティ大聖堂へ向かう。この大聖堂は、もともと世界遺産だったがリノベーションにしくじり、エレベーターなど増築したため世界遺産をはく奪されたというなんとも不名誉な歴史がある。そんな前情報だったので、あまり期待していなかったが、良い意味で期待を裏切られた。思っていたよりも10倍ぐらいスケールが大きい。ほとんど人も居ないし、ゆっくり散策ができる。日向ぼっこしながらぼーっと景色を眺めるのもまた良い。

そして今日のハイライトのもう一つはワインテイスティングである。今回はフェイスブックで見つけたMates Wein Cellerにお邪魔した。2017年から家族経営でやっているマイクロワイナリーだ。ロシア人ファミリーと一緒になり、製造方法やブドウの種類について話を聞く。特に面白かったのは、伝統製法では地下に卵型のカメのようなものを埋め込み、そこでワインを熟成させること。カメは丈夫で、一番古いものになるとなん百年も壊れずに維持できること。皮や種なども一緒に熟成するので、接触する部分が増え、タニンの味が強くなること。ジョージアだけでも500種類以上のぶどうの種類があること。ソビエト支配下にあったときは一時ブドウの種類を制限されたこと。マテさんは若く見えるのに、とても専門的で、非常に興味深い話が色々聞けた。ほかにも、ジョージア式飲み会のしきたりや(角に入ったワインを渡されたら、どんなに大きくても飲み干さなければならない。乾杯のあいさつのクオリティはその人物の評価に大いに影響する、などなど。)チャチャとウォッカの違い(チャチャはぶどうで作られる。)なども面白かった。チャチャは蒸留酒で、強いものになるとアルコール度数70%を超えるそうだ。しかし、こちらのワイナリーで飲ませてもらったものは意外とマイルドな口当たりだった。ワインバレルで蒸留したものもあり、こちらは確かに色も少しゴールドに近かった。一緒になったロシアファミリーも非常に人あたりの良い人たちで、ハバロフスクでトヨタ車を乗り回すロシア人パパとチャチャを飲み交わすことになった。子供たち、といってももう成人しているが、はバルセロナに住んでいて、ジョージアはいまウクライナ難民やロシア人家族のミーティングポイントになっているとのことだった。(双方ビザが不要で、ロシア側からは車でも来れるし、ヨーロッパ側からはLCCでアクセスが良いのだ。)ただいずれにしても、モスカウやセントペーターブルクはロシアと別のエンティティーとしてとらえていいのだろう。これらの町で戦争を感じることはほぼないのだろう。

ワインテイスティングの後、酔い覚ましに散歩しながら行きたかった飲み屋さんに向かう。地元っ子に愛される飲み屋で、ヒンカリとオジャクリ(ジャーマンポテト的なもの)が美味しいそうだ。ビールとともに注文。チャチャがなんとなく回ってたのもあるかもしれないが、ここのヒンカリが私が今回の滞在で食べた中で一番おいしかった。絶妙にパプリカの辛さが隠れていて、皮も薄く食べやすい。ほぼ、飲み物のようだ。ここでもチャチャのサービスがあったが、ワイナリーで飲んだのとは打って変わって、胃を焼き払いにくるかんじのチャチャだった。

幸せにつつまれて、おやすみなさい。
つづく(かもしれません。)