「月面基地技術開発テストフィールド」〜CrowdVenture[冒険の地図]
『アルテミス計画』
”2024年までに「最初の女性を、次の男性を」月面に着陸、2028年までに月面基地の建設を開始するNASAの計画”
ブッシュ政権で2020年までに有人基地を作る計画があったが、オバマ大統領はそれを凍結。
トランプ大統領が再びアメリカが宇宙開発のリーダーシップを取り戻すという掛け声から「火星」が脚光を浴びている傍らで、「月」も計画の対象となった。
「月」は様々なポテンシャルを秘めている。
鉱物資源、低重力・真空の利用、廃棄物の保管、宇宙観測、宇宙旅行、スペースガード基地など枚挙にいとまがない。
ひとつ例を挙げよう。
1万トンで世界の100年分の核融合燃料「ヘリウム3」。
月にはそれが数百万トンあると言う。
わざわざ持って来ずとも、月面で発電しレーザーで送る技術もある。
『アルテミス計画』には日本も参画することになっているが
「有人」というのは日本人はなかなか許さないだろう。
しかし我が国には誇れるロボット技術がある。
自律+リモートコントロールの完全無人なら問題ない。
無論技術課題は山ほどある。
予測不可能な月面。
ロボットがひっくりかえったり故障しても、人が行ってメンテ出来ない。
すべてロボットだけで完結せねばならない。
距離の問題もある。リモート操作のタイムラグだ。通信には往復で2.5秒かかる。
オペレータは1.2秒前の状況で1.2秒後の指示をしなければならない。
これら課題を実地で解決する「テストフィールド」が求められる。
完全無人で施設を建設し運用する場。
作るのは何も無意味な”模造建屋”であることはない。
太陽光や風力などの大規模発電所、藻類石油の「油田」、危険な水素生成工場など、有効な施設はいくらでも可能だ。
このプロジェクトへの参画は多種多様な業界分野に渡る。
宇宙関連産業、ロボット・IT業界は言うまでもない。
ロボットの機能が建設重機なら、重機メーカー。
重機がロケットになり宇宙に発進・・・”アリエナイ”というCMが昔あったが、それが現実になる。
コマツが既に持っている遠隔監視制御はそのベースになるかもしれない。
操縦をネット経由でできるようにすればオペレータはどこにいてもいい。
そこで活躍するのは引きこもりのネットゲーマーだ。
パイロットと言った方が彼らは喜ぶかもしれない。
ゲーム企業が参加しゲーム仕立てにする。
さしずめシムシティの実物版だろうか。
ゲームとはいえ、これは歴とした仕事だ。
今でも原発20km圏内の瓦礫処理は日当2万円ほどで募集されている。
効率は決して良くはないかもしれないが、引きこもりネットゲーマーは昼夜なんか関係ないし、どんなに危険な作業も行なえるのだから、少なくとも時給2千円くらいの価値はあるだろう。
今まで無駄飯喰らいのろくでなしだったNEETも、俄かに稼ぎ手になるわけだ。
将来月面基地建設運用のオペレータというキャリアパスもあるわけで、その養成なのだから職業訓練でもある。
研究開発自体にもゲーム性を持たせアミューズメントにする。
ロボコンのような仕掛けだ。そこもキャッシュポイントになり得る。
定期的にコンテストを開催して、毎回ひとつのテーマをクリアしていくようなイベントを。
もちろん建築施設自体の関連業者も関わる。
無人地域で規制も緩いなら業者には好都合だ。
施設が運用に入れば、そこから収入が発生するわけだが
その頃には月に先遣隊を送り込んで、実地に活動を始めているかもしれない。
さて、そんなテストフィールドに適した場所はないだろうか。
立ち入り禁止で予測不能な状態。諸々の居住権利もクリアされていること。
思い当たるのは・・・福島原発の放射線汚染地域だ。
事故から10年あまり、未だに「帰還困難区域」に指定された7市町村がある。
瓦礫を片付け作業を行ったり、新たな建造物の建築も行える。
これなら復興と未来技術開発の一石二鳥を狙うことができる。
「10年以内に人間を月に到達させる」
ケネディ大統領が声明を発表したのはまだコンピュータもろくにない1961年。
技術者たちは計算尺で野望を実現した。
それに比べればこんなものはどれほど容易いプロジェクトであることか。
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