リアリティドラマ シーンイメージ〜 「初女性首相政権 連立政権与党 若者による《ユース日本》代表インタビュー」(ドラフト)
この歴史的な政権交代。その連立政権の3党に、若者による政党が参画したこともまた、日本の政治史では大転換だろう。
私はフリーライター新藤ピリカ。
その《ユース日本》の代表にインタビューした。
《ユース日本》代表インタビュー
「うちの党員は7割が未成年なんですよ」
リモートインタビュー。画面に映る《ユース日本》代表の佐藤若菜は、自分よりも驚くほど若い19歳の女の子・・・というのも失礼だが、しかしどう見ても高校生ぐらいに見える。とは言え、実際ついこの間までは高校生だったわけだ。
「未成年者は政治活動は禁止なのでは?」
ついそう質問してしまった。もちろん彼女はちゃんと成人ではあるが、18歳成人はつい2年前のことだ。
「禁止されてるのは選挙活動です。政治活動を禁じてる法律はないです」
若菜は明るく笑顔で答える。
「あ、失礼しました。そうでしたね」
「そもそも”政治活動”ってなに?っていうのがどこにもないんですけど。定義した法律」
若菜は続ける。
「公職選挙法にありませんか?」
ピリカはなんの確信もなくそう返してしまって一瞬冷や汗が出るのを感じた。
「ええまぁそれっぽいのがありますけどぉ、きちんとした定義がないような・・・えっと・・・これですよね、”公職選挙法”」
そう言って画面に条文を表示させる。
「最初に出てくるのがここ。”第二十八条の二”。”政治活動を目的とした・・・”なんちゃらって。”政治活動”って何なのか書いてなくていきなり。それより”政治活動”って選挙だけですか?限らなくない?って思いません?」
「でも一般市民が政治に参加するのは選挙ではないですか?」
「なんか立ち会い演説とかチラシ配るとか、そんなことだけが政治活動って、なんかちょっとズレてるかも。政治ってホントは日常からじゃないですか?そこがなんかあやふやなのってイラッとしちゃいますよね。自分たちの社会を良くしようっていう活動全部が政治だと私たちは考えてるんです。”良く”っていうのは自分もみんなも生きやすいようにってことで」
彼女は話し方はまだ幼い感じなのに、中身はしっかりしててそのギャップに戸惑う。
「えっとそれとこっち。”NPO法人の政治活動等に関する規定”っていう内閣府が出してるのにも・・・」
別な条文に切り替える。この準備を予めしてたんだろうか。
「活動の規定で”政治上の主義を推進し、支持し・・・”なんちゃらってのがあるんですけど、なんだかこういう”政治活動”とかって言葉、ちゃんと法律で定義しなくてもいいの?”政治”ってそもそもなんなの?って。選挙の時の街頭演説でちょっとやじ飛ばしたら、警察に止められたみたいのってありましたよね。だったらデモとかなんてちょっと、ってどんどん気にしだすと、なんだかあれもやばいんじゃない?これも?って。友達と話してるとみんなそんな感じでちょっとビクビクしちゃってる感じです、わからない時は」
「お友だちというのは大学の同級生とかですか?」
「だけじゃないです。私は今大学ですけど、入党したのって13歳の時です。えっと、6年前。うちの党ではそんな珍しくないですよ。小学生の子だって1割くらいいます。一番下の子は8歳」
「小学2年生ですか」
ピリカはちょっと想像してみる。自分が小2だった時のこととか、姉の姪っ子がちょうど2年生だったりと。どうだったろう。政治のことなんかまったく考えたこともないどころか、世の中がどうなってるのかも知らなかった。多分それは普通だと思う。
「これまでその受け皿がなかっただけで。どこの政党も入党はだいたい21歳以上だし、おじちゃまばっかで(笑)。本気で議論したいと思ってもなんか子ども扱いで。まぁ確かにこっちは子どもですけどぉ。お話聞きますよ〜みたいな上から目線で。よくお勉強してるねーとか。こっちが熱くなっちゃったりしたら、大人の事情みたいので煙に巻こうとする。一番ムカつくのは、”世の中道理はなかなか通用しないもんなんだよ”って。でもそういう世の中にしてるのって、誰よって」
「でも実際子どもに政治の事なんか本当にわかるんでしょうか」
「ピリカさん、それ、偏見です。子どもにはわからないということがおかしくないですか?だって私たちだって社会で生活してるし、大人たちよりずっとピュアな目で見て感じてます。っていうのが私たち《ユース日本》のモットーです」
若菜はちゃんと確信を持ってるように見える。それが代表になる資格なんだろう。
「小さい子の様子を見てるとそうなんですけど、例えば食べ物でもおもちゃでも素直にシェアしようとするんですよね。それが基本なんだなって感じます。もしそうしないとしたら、モノが十分にないか、それとも周りの大人がそう教え込んだからです。ですからモノが十分にあればいいですよね」
公平な分配のこと
「しかし実際今世界では貧困や食糧不足で苦しんでる人がいますよね。日本でも十分に行き渡ってるとは言えません」
「“世界は全人類に十分なリソースを用意してる”って昔誰かが言ってたらしいんですけど、私この言葉好きなんです。足りないんじゃなくて偏ってるだけって。先のことや身内のことを考えて多く取る人がいます。たいがいが大人。それが大人の知恵、深謀遠慮ってことですかね。でもそれって20世紀までじゃないですか?私たちの時代の深謀遠慮はその先に行きます。もっと上手く作って上手くシェアする。そういう知恵はいくらでもあります」
「それはあまりに楽観的すぎませんか?」
「私たちの仲間には女子が多いんですよ。なんと8割。女子はだいたい楽観的じゃないですか、基本。たとえばおじちゃまたちの議論って、なんとかマウントを取ることしか考えてないみたいに見えるんですけど。だから相手がいいことを言っても、同意したら負けみたいな。何を争ってんだか私たちにはよくわかりません。女子はどうやったらそれができるかを考えます。みんなで。誰がそれを言い出したかなんて関係ないです」
「そのお話は偏見ではないですか?ちゃんと人の意見に賛同する男性もいれば人の話を聞かない女性もいるでしょう」
「はい。もちろんです。そういう人もいます。でもやっぱり傾向というのがあると思いませんか?うちの党に女子が圧倒的に多いのは事実です。なんでだと思います?」
「なんででしょうね。募集の仕方でしょうか」
「うちの女子がみんな言うのは、政治に関心があっても、他の政党だとちょっと引いちゃうみたいな。だってやっぱりおじちゃまばっかですから。逆に政治家になりたいけどうちに入ろうとしない男子に聞くと、ここじゃ権力持てなさそうって。今までの政治家って言うと、権力があってカネと人を集めて意のままに動かすボスってイメージですよね。男子ってやっぱりそういうのに憧れるみたいです。確かにうちじゃ権力持てないですから。議員も時給ですし。連立3党はみんなそうですよね。代表になったって権力なんかなんもありません(笑)」
代表について
「代表が19歳って、随分お若いですよね。被選挙権はまだまだですし」
「私も最初びっくりでした。私が入った時の代表は21でした。そんなんでできるの?って。政治家っておじいちゃまたちっていうイメージでしたから。あ、子どもにはそう見えたってことですけど。今ならおじちゃま(笑)」
若菜はティーンの子らしく笑う。
「代表って持ち回りなんです。3ヶ月交代。私は来月までです」
「そんなに頻繁に交代して、党としての一貫性はどのようにして保たれてるんですか?」
「私たちの党のポリシーはひとつです。”若者の政治参加”。誰が党首になってもそこは変わりません。そのためにどんな戦略を取るかは《オープンシンクタンク》で決めています。」
「ユース日本さんの代表の役割はなんですか?」
「一番は国民の皆さんとのコミュニケーションです。特にやっぱり若い人たちに。やり方はそれぞれのキャラで違うんですよね。いろんなグループの人にアプローチするのに、定期的に代表を変えるっていう理由もあります。でもほとんどそれって肩書で、一度代表になった人とかこれからなりたい人は、みんな自分が代表のつもりでやってますよ。肩書がついてるかどうかの違い。以前代表になった人は元代表って言えますし、これからの人は代表候補って言います」
「なんだか学級委員みたいですね」
「そんなノリですよ。先月までのカコちゃんは、アイドル風だったでしょ。そういう人たちに呼びかけてましたよね。あの子たちは《SDGs17》ていうガールズグループで活動してるんですよ。その中から選ばれて代表になったんですよね。私はどっちかというと普通。普通にいるJK・・・じゃもうないですけど、気持ち的には。これまでの26人、みんな初心者です。代表という役を演じてる感じですね。アイドルグループのセンターを持ち回りでみたいな。あ、男子もいますけど。前の前はお笑いやってるユウキくんでした。得意の1分ネタシリーズ、あれで政治が身近になったっていう子たち多いんです。私も実はファンなんですけど」
「随分軽い印象ですが、他の政党からなめられたりしませんか?」
「かもですね(笑)。でも、肩肘張って真面目くさっても、成果を挙げられないんじゃ意味ないですよね。楽しくワイワイやったって悪くないでしょ?私たちはだいたいみんな楽しいからやってるんです。”楽しい”のひとつは、成果が上がってることです」
「成果はどういったことですか?」
「メンバーは、今年100万人超えました。創立7年目、すごくないですか?7割が未成年ですけど。全国に5万くらいある高校や大学だと、1校平均すると9人くらい。あくまで平均ですけど、部活とか考えたら別に大したことないですよね。高校野球の部員って30人とかですから。実際部活やサークルにしてるとこは半分以上です。これは正式に登録しているメンバーですけど、ステルスメンバーはだいたい500万人でしょうか。こちらは年齢はわかりませんが。多分若者を応援してくれる大人の方も結構いるようです。これは一つの成果です。それともちろん議員が12人いるということ。」
「有権者が18歳に引き下げられた頃から、若者向けに投票率向上のキャンペーンをいろいろなところでやってますが、それは何か影響はありますか?」
「私その時11歳でしたけど、その頃は”政治”っていうのはよくわからなかったです。親が意識高い系なんで、なんとなく一緒にテレビやネット見たり、親同士で政治の話なんか良くしてました。で、政治家さんの議論聞いたりしたんですけど、なんか難しいこと話してる風で・・・実際どうなのか、なんかよくわからなかったです。頑張って国会中継とか見たりもしますけど、眠くなりますよね。たまにそれウケ狙いじゃないのみたいなのとか、それ言ってなんになるのみたいなのがあったり。
うちの親は政治家には批判的で、あの人たちは政治家じゃなくて評論家だって言ってました。え?って思って。じゃ本当の政治家ってなんなのって訊いたら、政治家は”こうすべき”と論じる人じゃなくて”こうする”と決めて実行する人だって」
「でも政治家は人の意見をよりよく聞くべきではないですか?」
「自分が政治家を続けたいだけっていうなら、”国民の意見に耳を傾けて”どうやったら当選するか考えて訴えるってのが楽でいいかもですよね。選挙の時の1,2週間だけそれっぽく上手く立ち回れば、年収2千万はカタイ。うまくすれば7千万ですよ。それで当選したらやってるふりだけして、というかできるだけ波風立たせない方がよくてって、美味しいですよね。それって本当の政治家なんでしょうか。”私はこれをやる”と予め表明して、それで選ばれるのが本当の政治家じゃないでしょうか。まずは信念。私たちもそう思ってます」
子どもたちのスタンス
「子どもたちの政治に対する見方ってどんなでしょうか?」
「さっきも言いましたけど、政治って・・・なんですかね?なんか良くわからないっていうか、なんかおじちゃまたちがただ権力争いしてるだけみたいな、戦国時代とかの国盗りにダブらせてそういうの面白がる子もまぁいますけど、なんか正直自分たちにどんな関係があるのかわかんないって子がほとんどですね。だからみんな政治に興味を持てないんです」
「そういう若者たちにはどのようなアプローチをしてるんですか?」
「”自分の周りから考えよう”です。政治ってなんか国会のおじちゃまたちの遠いところの話な感じですけど、そうじゃなくてほんとは自分の身近なことですよね。
たとえば子どもたちならまず一番身近なのは学校じゃないですかぁ。いじめだったり不登校だったり、ブラック校則とか。一番大事なのは勉強ってことなんでしょうけど、そもそも勉強ってなんの意味があるのって考え出したらなんかわからなくなっちゃって、辞めちゃった子がいたんですよ。私の親友の子なんですけど。あと、家族のこととか。親の仕事だったり、住まいのことだったり。コロ◯の時って私中学だったんですけど、修学旅行も文化祭も体育祭もなし。あれってほんとうにただの自然災害なんでしょうか。私スウェーデンにSNS友がいるんですけど、向こうの話聞くと、全然自由じゃんて。結局あれも政治ですよね」
政党の活動
「党員のみなさんはどんな活動をやられてるんですか?」
「下の子たちはまずは世の中のことを知ることからです。だいたいみんな《キッズジャーナル》やってます。いろんな人に取材するんです。わたしも今もやってますけど、ピリカさんみたいに取材する側。政治家さんにも取材しましたよ。中学でしたけど、実は子どもって結構有利なんですよ。普通の大人の記者さんが訊けないようなことも訊いちゃいますし、相手の方もいい具合になめてかかってくれるんで色々話しくれちゃいます」
「《ユース日本》さんの活動の成果として、投票率が向上したという理解でよろしいですか?」
「はい。もちろんです(笑)。それまでの若者投票行こうキャンペーンって、なんか若者がお客様扱いでしたよね。来てくださいって。私たちは目線が同じなので、”一緒に選挙に行こう”です。もちろんそのための仕掛けはいっぱいやりましたよ。アイドル系のキャストは握手券みたいなのとか、アーティスト系なら選挙当日にライブやって引き連れてくるとか。」
「それもお客様じゃないですか?」
「お客様の意味が違います。みんな日本の政治のお客様ではないです。接点ときっかけがあれば、ほとんどみんな関心を持ちます。遠い話じゃなくて身近な話ですから。投票に来てくださいじゃだめなんです。なんのために?誰のために?一緒に投票に行こうです。経済がどうの憲法がどうのって、正直どこかよそのことです。学校をどうしたいとか、どんなことに興味があって何がしたいとか、大人になった時の仕事をどうしたらいいかとか。そういうことです」
大人との関係について
学生時代のことを話しくれた。
「高校のときだったんですけど、結構アツい先生がいて、政治の授業とかあるじゃないですか。一応政党とかについて教えてくれるんですけど、ある時、先生はどの党を支持してるのか訊いたんです。わたしなんかその時、なんかにムカついてたみたいでかなりしつこく訊いたみたいなんですけど、先生は教師の立場上そういうことは言えないんだって。政治の話題って大人の間では子供に対してタブーなの?って思ったんです。本気で政治に関心がある大人なら誰だって政党の好き嫌いくらいありますよね。でも自分が偏った影響を与えちゃいけないって思うんですよね、大人って。ちょっと背負いすぎ。自分の周りの大人って先生だけじゃないよーって。でも普通はそうなんでしょうかね。子どもに影響力のある大人って先生だけって、それってやばくないですか?それこそが異常だって。私たちは《キッズジャーナリズム》でいろんな大人の話を聞いてますから、人によって話が全然違ったりするのは当たり前なんですけど、普通はそうじゃないみたいなんですね。
よく大人は子どもに自分の意見をはっきり言いなさいみたいに言うけど、その前に大人が言わないんだから、言っちゃまずいって感じの方を学んじゃいます。よく父親が言ってるんですけど、子どもは親の言うことじゃなく言い方を聞いて育つって。これ母親に言ってるんですけど(笑)
なんかでも、昭和の頃って、逆に子どもに政治のことを教えちゃいけないみたいなのがあったんですよね?ピリカさんは・・・昭和、じゃないですよね?(笑)」
彼女は「6つの財布」の話もしていた。
「”子供は6つの財布を持っている”って、知ってますか?親二人とそれぞれのおじいちゃんおばあちゃんの6人分の財布。上手くおねだりすればその財布を自由にできるということです。実際は・・・(笑)
でも同じように自分の票に加えて6票持ってるんです。まぁ財布の紐なんかは結構硬いですけど、票は正直全然それほどでもないんですよね。こう言っちゃなんですけど、ほんとに強い信念を持ってその議員に票を入れようという人は珍しいかもです。どっちかというと、他にいないからとか、なにかの付き合いとかなんとなくとかで。もちろん投票率は5割ですから、半分の人は投票すらしないですし」
《キッズジャーナリズム》
彼ら《ユース日本》は《キッズジャーナリズム》から始まったという。政治活動は様々な取材をした結果としての必然だったということらしい。
「《キッズジャーナリズム》ですけど、実は私は最初そっちに興味があったんです。小学校の時から取材とかやってました。
例えばプラゴミですけど、なんか食品トレイとかカレーのパウチの残りとか、トレイに紙のラベルとかが貼ってるのあるじゃないですかぁ。ああいうのきれいに取れないですよね。友達に聞くと全然気にせずポイポイ捨てる子もいるし。だったらこっちで一所懸命分別しても結局混ざっちゃってるじゃないですか。
で、分別したプラゴミがどうなってるのか追跡取材したんですよ。そしたらなんと燃やしてたんです。えーっですよね。燃やせるゴミと分ける意味なんなんの?でも仕方ないんですって。だったらそれで発電したら?って思ったんですよね。そしたら結構ゴミ発電ていろんなとこでやってるみたいなんですけど、なんかコソコソやってるっぽいですよね。サーマルリサイクルって言うんだそうですけど、だったらそういう方針にして分別なんかきっぱりやめればいいですよね。でもなんか分別してないと世間体がみたいな。
スウェーデンなんかはごみ発電は国で推進してて、ゴミを外国から輸入してるんですよね。胸を張ってやってるんですよ。なんかこの違い。なに?
それが政治だってことなんですよ。」
連立政権について
連立政権についても聞いてみた。
「ステファニーさん・・・あ、観音崎首相、素敵だと思います。国民を信じるっていうあの言い方、めっちゃ共感できます。私たちも若者を信じてます。でなきゃこんなことやってません。自由に政治に発言ができるという風潮を総理自身が作っていっていただいてる感じで、嬉しいです。総理もまだ若者の仲間ですし(笑)」
「有権者による意思決定システムは《システム民主党》さんのシステムと同じようですが、《システム民主党》さんから導入を勧められたんですか?」
「《ポリシーメーカー》ですけど、あれ若者にはウケがいいんですよ。私たちは若者の政治参加を訴えてますけど、で、何したらいいの?って。よくデモとか署名とかやってますけど、ちょっとそれやってどれだけ効果があるのか、ちょっとわからないですよね。あのシステムなら、ゲーム感覚で参加できて、具体的な目に見える成果が出るのがいいんです」
「同じシステムなら一緒になっても同じではないですか?」
「一つ違うことがあるんです。「票の重み付け」です。1票を”平均寿命マイナス年齢”でカウントする仕組みです。例えば18歳女子なら女性の平均寿命が88歳として、70ポイントとするということです。子供のほうがより長く政治の影響を受けますからね」
「連立を組む《日本から貧困をなくす党》さんについてはいかがですか?」
「貧困については関心がある子は多いです。実際彼らの活動に救われた子も多いですし、私もそうですが、参加してる人もいっぱいいます。貧困をなくすってことに反対って人って、いませんよねぇ。反対するのは財政が心配だからでしょう。《貧困さん》とは、あ、《日本から貧困をなくす党》さんですけど、長いんですよね(笑)。協力関係はかなり強いです。どっちに入ろうかなと迷ってる子も結構います。まぁどっちもでいいんですけど。若者が発言力を持てば、貧困もなくなるって、私はそう思ってます」
連邦制について
連邦制については、興味深い話になった。
「実はその《日本連邦》に私たち《ユース日本》も、「若者の国」を作って加盟することを目指してるんです」
「え?それはどこに作るんですか?」
「メタバースです」
「でも実際の市民は実世界に暮らすんですよね?」
「はい。もちろんです」
「実世界の居住地との関係はどうなるんですか?住民票や税金、選挙権などですが」
「今でも住民票のある地域と違う場所に住んでいる方っていますよね?それと同じ扱いです。ユース日本州は、リアルな土地は持っていないので、私たちの州民が居住する道州政府に対して、州が居住者数分の居住料を一括で支払うことを考えてます。消防警察などの公的施設の利用も同じです。あと買い物とか病院は普通に代金を払って利用することになりますね」
「住人はどこの法律に従えばいいのか、難しいこともあるんじゃないでしょうか」
「《ユース日本》と居住する道州の法律がバッティングしたらですよね。物理的な、例えば交通とか賃貸契約とかは、居住地の法律に従わないとならないでしょうね。そうでない場合・・・例えば教育。学校はメタバースに作ります。彼らは基本的にそこに所属することになります。いろんなタイプの学校があって、専門性のある学校もあるし、e-Sportsとかアニメとか。」
「なにか問題が生じたらどうするのでしょうか」
「まずはバッティングする法律が作られるかどうかです。私たちは別にとんでもない社会を作ろうとしてるわけじゃないです。私たちも日本人ですから。でももし相容れない法律が作られたら、引っ越しでしょうかね(笑)。調停する裁判機能を《ユース日本》に持つことになるでしょう。多分いろいろと問題は起きるでしょう。世界で初めてのことですから。でも多分大したことはないです」
「いつ頃の予定ですか?」
「1年以内にはと思って準備してます。ただ肝心の《連邦制》がいつになるかですが」
この少女のようなのびのびとした代表と同じような若者たちが、ぐんぐん前に進んでいき新しいことを始めるのに、余計な心配はいらないのだろう。
多分困難や失敗があるだろうが、それを始める前に気に病む大人から、彼らはもうすでに自由だ。《ユース日本》州ができたら、さらにそれは加速するんだろう。
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