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安倍晋三とは何なのか?

最近、1日一冊のペースで読書をしており、最近の政治関連の書籍を見るに湧き出る疑問。森友学園、加計学園で様々な疑惑を残し、桜を見る会では国会で118回もの嘘をつく。

コロナ対策では、星野源との謎すぎるコラボを行い不評を買い、国民を安心させるためにと不良品の布マスクを配る。

布マスクを配布するだけでも数百億かかっているというのに検品にも20億とは驚きだ。

森友学園、加計学園の動向を見ているとお友達にすごく優しい人だというのは分かる。桜を見る会からはどんな手を使っても選挙に勝つぞという意欲だろうか。

見えてこないのはこの人のビジョンである。
日本国民のために何がしたかったのかがわからない。

なので安倍晋三の「新しい国へ 美しい国へ 完全版」を読んでみた。

結論から言うと、やっぱりわからない。
ここで言及されている内容は、その時話題になってることを人から聞いてコメントしましたと言う感じで無造作にピックアップしてきて本の体裁を整えているだけに思える。

私の理想はこうで、そのためにコレをこうして国民の暮らしはこうなります。といったものは何も見えてこない。

ただ一つだけ理解できたことがある。
「国」と言うものの考え方、捉え方が僕とは違うと言うことだ。
僕は「国」とは「人」だと思っている。「人」がいて初めて「国」ができる。
だからこそ、「国」はその時代、そこにいる「人」に合わせて変化していく必要がある。そして、「国」にはもう一つの意味があってそれは故郷だ。
慣れ親しんだ故郷の景色。
侵略とは、「人」と「故郷の景色」を破壊し作り替える行為だと思っている。だから何としても阻止しなければならないと思う。

安倍晋三にとっての国は「歴史と伝統と文化」なのだ。
本書は「戦後の歴史から、日本という国を日本国民の手に取り戻す」という言葉で閉められるが、これは「歴史と伝統と文化」を戦前に戻すということだと思う。
変化を認めないのだ。
そうすると、安倍晋三のいう侵略は「歴史と伝統と文化」の破壊ということになる。最近、ネット右翼の人たちがいう「歴史戦」というのは自分達の信じる歴史を守るための戦いということなんだろうけど僕はそんなことのために命をかけて戦いたいとも思わない。歴史の成否をめぐって国家間の緊張を煽るような真似だけはしてほしくないと願う。

また、憲法について無知であるにもかかわらず、「9条が時代にそぐわない」と発言し改憲に意欲を見せていることに関しては、本書でも度々名前の上がる祖父の岸信介の考えを踏襲しているだけのように思える。
岸信介は当時、東條内閣の閣僚となり、A級戦犯として裁かれるに至るも日本軍の敗色が濃厚となった折に東條内閣に反旗を翻し、東條内閣の倒閣工作を行ったことを認められ放免された経験を持つ。
岸信介に可愛がられた孫としては、当時祖父に対する世間の厳しい目もあったことから嫌な思いもしているだろうし、あくまでも個人的な意見ではあるが祖父の汚名を返上したいというような思いがあるのかなと思う。

しかし、それならそれでもう少し政治を勉強してほしいものだと思う気もする。

自衛権の項目で「東京湾に、大量破壊兵器を積んだテロリストの工作船がやってきても、向こうから何らかの攻撃がないかぎり、こちらから武力を行使して、相手を排除することはできないのだ。」と息巻くが、日本でのテロ捜査はまず、「警視庁公安部外事第四課」などが行うようになっており、テロを起こさせないように動くはずで、いきなり軍隊が出動して制圧する局面があるとすれば、既にテロとの戦いに負けていると思う。

「東京湾に、外国籍の軍艦が大砲をこちらに向けてやってきたら」とする方が説得力があるのではないか。

ということで、安倍晋三の「新しい国へ 美しい国へ 完全版」を読んでも本人のやろうとしている事は僕には理解できなかった。

そこで青木理の「阿部三代」を読んでみた。

この本は青木理が山口県の選挙区に住み阿部家をよく知る現地の人や、安倍晋三の恩師などに取材し、安倍晋三の父方のルーツを辿るという本。

この本で浮かび上がるのは、安倍晋三の驚くほどの凡庸さと、政治への無関心。
祖父の安倍寛、父の安倍晋太郎を良くいう人はいても、安倍晋三をよくいう人はいない。あくまでも凡庸。安倍晋三が誉められるのは人懐っこさくらいである。

安倍晋三には政治心情はなかったのだ。

悲しいけど、妙にしっくりきてしまった。

これまでそんなに政治に関心がなかった僕が、最初に安倍晋三という人を訝しんだ事件がある。

森友問題などでヤジを飛ばす聴衆に対し、安倍首相が「こういう人たちに負けるわけにはいかない」と答えたのだ。
つまり、首相は自らが奉仕すべき国民とそうでない国民にわけたのだ。

この事件はこれだけで治らず、北海道では安倍晋三の応援演説中に「安倍やめろ」と叫んだ男性が警官に連行されるという事件が起きた。「増税反対」と叫んだ女性も警官が移動させるという暴挙に出たのだ。
表現の自由と政治批判を公的権力で塞ぎ込む恐ろしい事件だ。
こちらに関しては、つい先日、判決がでて北海道に賠償命令が言い渡された。

しかし、警官に連れ去られる恐怖を考えると北海道府警に対しても対応した警官、命令した上司の厳しい処分はお願いしたいところだ。

長々と買いてしまったけど、結局安倍晋三のやりたいことは個人的に理解できず、政治家に向かない政治家。親の七光を見事に体現した政治家という印象だけが深まってしまった。

ここに取り上げた以外にも、森友学園、加計学園、桜を見る会その他諸々、安倍晋三に対しては気になることが多い。今現在、問題ないとされていることでも今後検証をしていかないといけないのではないかと思う。

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