【貸付先徹底解剖】東欧金融事業者支援ファンド貸付先「Avafin社」の気になる情報をまとめて公開!
オンライン・レンディングを多国展開するフィンテック企業Avafin社
“Make money available”、Avafin社は、一般の消費者に利便性の高い金融サービスを提供することをミッションに掲げるフィンテック企業です。個人向けのオンライン・レンディング事業に特化しており、ポーランド、メキシコ、スペイン、チェコ、ラトビアの5か国でグローバル展開しています。2012年の創業来、2016年にInc.500のFirstest Growing Fintech in Europeに選出され、2017年に南アフリカの上場大手商業銀行Capitec Bankから出資を受け入れるなど順調に成長を遂げてきました。これまでの10年超の業歴の中で、累計130万人の顧客に約2,000億円の融資を実行しており、欧州の有力フィンテック・レンダーの1社に数えられています。
最先端のオンライン・ローンサービス
Avafin社の提供するオンライン・レンディングは、AIやマシンラーニングによる与信モデルを活用し、オンライン上で全ての手続きを完結させる融資サービスです。HPやモバイル・アプリから申し込みを受け付け、数分のうちに審査結果を通知し、2時間以内に顧客の銀行口座に入金するというスピーディーで安心・安全なプロセスが特徴になっています。メキシコ、ポーランド、スペインではペイデイ・ローンと呼ばれる期間1か月の小口融資、ラトビアではインストールメント・ローンと呼ばれる期間3カ月~5年程度の融資、チェコではクレジットラインと呼ばれる反復利用可能な融資枠など、複数の商品を各国のマーケットの成熟度や顧客ニーズに合わせて展開しています。いずれのマーケットにおいても、オンライン・レンディングの業界で大手の一角を占めています。
堅調な経済成長が続くAvafin社最大の市場ポーランド
Avafin社の事業展開国のうち、直近の売上シェアで見るとポーランドが最大の市場になっています。ポーランドは東ヨーロッパの国で、世界銀行の発表によると、人口は約3,800万人、GDPは約6,881億ドルと、東欧諸国では最大、EU加盟国中では6番目の経済規模です。1999年にNATO加盟、2004年にEU加盟を果たし、双方との協力強化を通じて国の安全と経済発展を確保する姿勢を打ち出しています。豊富な鉱物資源に加えて近年では自動車産業等の製造業の発展が経済成長を支えており、2008年のリーマンショック直後にはEUで唯一のプラス成長を果たし、また2020年のコロナ禍にあってもEU全体と比較し経済成長の落ち込みを低く抑えるなど堅調な経済運営を維持しています。直近のGDP成長率では2021年に6.8%、2022年に4.9%を記録しており、日本等の先進国と比較すると高い伸び率を示しています。
発展するオンライン・レンディング市場
ポーランドは社会主義時代から理数系の教育制度が手厚く、IT指向の優秀な人材を多数輩出することでも知られています。それを裏付けるように2020年以降マイクロソフトやグーグルなどの世界的なIT企業の投資が相次ぐほか、フィンテック分野でのスタートアップ企業が多く誕生して新たな活力を生んでいます。
一方、ポーランドはその経済規模に比して銀行等の既存の金融機関による個人向けの金融商品の普及は遅れており、クレジットカードやキャッシングなどの与信サービスを幅広い人々が利用できる環境にはなっておらず、中間層の旺盛な資金需要に対して十分な資金供給がなされていない需給のミスマッチが生じています。このような従来型の金融機関が対応できていない課題を最先端のテクノロジーで解決するフィンテック企業が、多様な銀行サービスを受けられない消費者に新しい金融サービスを提供する役割を果たしており、オンライン・レンディングの市場が右肩上がりで成長しています。Avafin社は、ポーランド市場において有力ブランドの一社の地位を築いており、更なる事業拡大を目指しています。
2022年に過去最高の売上高を達成し更なる成長を掲げる
Avafin社は2022年12月期の業績において、総資産115億円、自己資本比率28%と健全な財務内容を堅持しており、また売上高95億円、ROA10%と高い収益率を記録しています。世界中に影を落としたコロナ禍の影響を受け、2020~2021年は売上を伸ばすことができなかったものの、2022年においては前年比60%増とV字回復を果たし、過去最高の売上高を達成しました。今後はオンライン・レンディングの市場拡大が見込まれる既存の事業展開国において、各国の顧客ニーズに応じた商品・サービス展開を深化させ、マーケットシェアを高めることを中心とした成長戦略を描いています。
7年間に亘る元本償還率100%の償還実績
クラウドクレジットは、2016年にAvafin社向けのファンド募集を開始し、これまで7年に亘り400本以上のファンドの募集実績があります。その間の元本償還率は100%で、償還の遅延等は発生していません。現在Avafin社では、円建て、ユーロ建ての2種類のファンドを募集しており、これまでの実績利回りは円建て5.27~8.12%、ユーロ建て▲4.35~43.06%(期間2016年2月~2023年9月)となっています(ユーロ建てファンドの実績利回りはユーロ円の為替変動に伴う差損益を含みます)。
現地訪問
当社メンバーは、2023年3月にチェコ、4月にメキシコ、7月にポーランド、9月にラトビアとAvafin社の主要拠点を訪問し、オフィスの様子や従業員の働きぶりを視察するとともに、現地の経営陣と足元の業績や今後の成長戦略についてディスカッションを行いました。また6月にはAvafin社のCEO含む主要経営陣が当社の東京オフィスを訪れました。Avafin社は、欧州から中南米にわたる多国展開を行っているなか、日常業務は各国の現地オフィスがリードしてオペレーションを進める一方、リスク管理などの重要な方針はラトビア本社と常に連携を取りながら舵取りしています。そしてそれらの経営状況が全社共通の先進的なITシステムによって管理されており、優れたIT技術を背景としたバランスの取れたグローバル経営が強みとなっています。