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【特別イベント】新たな資産運用の形を発信する「アクティブ投資ナイト」

2019年11月29日、当社は新たな資産運用の形を発信する「アクティブ投資ナイト」を開催しました。本イベント当日は資産形成、資産運用および投資ブロガーやメディア関係者の方々のみにご参加いただく形式を採らせていただきましたが、折角の機会でございますのでその一部をご紹介いたします。

今回は本イベント「第1部:株式アクティブ運用の神髄」、「第2部:グローバル運用と積立投資」、「第3部:オルタナティブ運用のフロンティア」、各部の登壇者の方々が参加者の皆様のご質問にお答えする質疑応答の時間をお伝えしていきます。

「異端の実例をつくる」運用者と「良い場をつくる」運用者

参加者:良い企業に長期投資するというお話でしたが、長い目で見れば10倍20倍となる企業であっても、その途中には山あり谷ありで、山になった時にある程度売り、谷になったときに買い戻すということをしないと、ファンドの収益を出せないかと思いますが、どのように運用しているのでしょうか。

伊井氏:大らかにはおっしゃる通りのことを実施しています。我々は各銘柄へほぼ均等に投資をしていますので、ざっくりご説明させていただくと、ものすごく上がってきたら少し削って、下がっているものがあればその削った分で購入しています。大らかなリバランスですね。頻繁に売ったり買ったりしてトレーディングで稼ぐという感覚は全くありません。

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コモンズ投信代表取締役社長兼最高運用責任者・伊井氏

岩谷氏:我々も同じような取り組みをしています。上がった時に少し売り、下がった時に買い足すということですね。トレーディングを「上手にやる」ことは難しいと思います。「上手にできる」という前提は置いていません。閾値を超えてしまったらやむなくやるという対応です。

伊井氏:僕から質問してもよろしいでしょうか。岩谷さんが日頃の運用で大事にしていることを教えてください。飲んでいる時に聞いたことはありますけど(笑)

岩谷氏:「それを通じて何を成し遂げたいのか」ということを大事にしています。自分の場合は、「日本に成長株はない」と言われながら運用を始めているので、「本当にないのか?ここにあるじゃないか、ということを示したい。」ということを示したいのです。起業家も「そんなことしても無駄だ」と言われているけれど、「いや、そうじゃない!」という実例をつくりたいわけですね。たとえば、楽天の三木谷さんは「あるべき論ではなく、実例を生み出して示そうとしている」と言いました。非常にシンプルに「後世に残す実例をつくりたい!」と。そこに拘っています。ちょっとエモい感じになってしまったかもしれませんが(笑)

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アセットマネジメントOneファンドマネージャー・岩谷氏

岩谷氏:伊井社長のコミュニティのつくり方を尊敬しています。お客様、投資先、運用会社、とても仲が良いですよね。非常に一貫していますし、はがれにくい状態になっていると思います。どうやって束ねていらっしゃるのでしょうか。

伊井氏:元々「コモンズ投信」という名前は、「Common Ground(共有地)」が由来です。一般に運用会社は「資本市場に貢献する」といったミッションを掲げている場合が多いかと思いますが、我々は「場をつくり、その場を育てる」ということをミッションに掲げています。それはお客様であったり、投資先であったり、ここにいらっしゃるtsumiki証券さんのようなパートナーであったりします。とにかくコモンズ投信に関係する人たちで、少しでも何かお互い学ぶことがあるのであれば横に繋がったら良いというようなミッションドリブンの経営を行っています。そういう理念に共感してくださる、我々からするととても素敵な方々に集まっていただいていると感じています。

真の顧客本位を追求するグローバル運用者と積立投資の伝道師

参加者:中野さんに質問です。長期保有が大切なことは分かっているのですが、いざ自分が株式投資やFXで売買をすると早く利確してしまい、それが成功な時もあるのですが、後ほどぐっと上がっていき、手放さなければ良かったと後悔すること度々もあります。長く持ち続けるコツはあるのでしょうか。

中野氏:非常に良いご質問だと思います。実は私は、資産運用のバックグラウンドが株式ではありません。長らく外債のポートフォリオ運用を専門にやってきた人間です。ですから少し株式運用に対するアプローチが違うかもしれません。

マーケットを追いかけてしまうと、マーケットの値動きを当然自分で予想するようになるので、チャートを見ていると「ここから先は下がるぞ」と思いたくなり、それが自分の中である種の確信に変わってしまい、「ここが高値だ」と判断して手放す、これを繰り返してしまいます。自分の感情を優先すると、マーケット判断において自分の中のさらなる欲望と恐怖を呼び覚ましてしまい、行動に移らせてしまうということになってしまいます。

債券は金利がベースとなっています。それだけだとキャッシュフローは安定的に取れますが、α(アルファ)、超過リターンは得られません。ですから大切なのは、投資対象の信用価値が高まっていくのを長期的に見ることです。これが長期投資の基本です。

価値が高まっていくということを、ある程度何年間か想定し、定量的に割り戻したものが本来あるべき値段となります。本来あるべき値段を基準に、それ未満であれば喜んで買ったら良いわけです。想定した価格よりマーケットはオーバーシュートするときがあります。そういう場合は、いつかはわからないけれどもいつかは本来あるべき価格まで下がるので、現在は過熱しているのだから手放そうと判断します。また想定の価格まで下がったその時にもう一度買い直せばいい、これが断続的保有ということです。

事業の価値はずっと継続するけれども、マーケットは勝手に安くなったり高くなったりします。皆さんどうしても突発的な値動きで割高・割安を判断してしまいます。急に上がったから割高とかではなく、適正な想定価格を自分の考え方で生み出して、それを基準に判断すれば、投資行動が変わると思います。

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セゾン投信代表取締役社長・中野氏

参加者:寒竹さんへの質問です。金融商品を個人投資家に提供するという場面において、従来の小売販売と違いはありますか。あるいは共通点はありますか。違いに関してどのような苦心をされたのでしょうか。

寒竹氏:苦心は相当ございます(笑)
金融商品と実際のファッションを売る感覚は全く違います。1番の理由が、私も含めてですが、いわゆる金融リテラシーのお話です。金融について、子どもの頃からお金の話をせず、学校でも教わらないので、会社に入ってもせず、親ともしないというようになってしまいがちです。そこが、お客様にご理解いただく際のハードルになっていると感じています。ご自身の家計や年金、社会保障について等、全部じゃなくても一部のエッセンスを知ってもらい、そこから自分事になって資産形成を初めてもらうというプロセスが大事であり難しいです。

加えて、金融の言葉がとにかく難しいです。残念ながらお客様が分かるようにつくられているとは言い難いですね。その点からすると、私たちはお客様にとって翻訳者でありたいと思っています。

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tsumiki証券代表取締役CEO・寒竹氏

杉山:私からもよろしいでしょうか。寒竹さんのご経歴は金融一筋ではないという点で異色だと思います。「金融以外の商品だとこうしているのに」「金融の人はもっとこうしたら広がる」といったご意見はありますか。

寒竹氏:世界観が大切だと考えています。たとえばアニメも新しいファッションブランドも、世界観からコアなファンが形成されていると思います。金融の世界も、実はそれぞれの運用に個性があり、投資家の皆様にもライフスタイルや人生でこれを達成したいといった背景があり、お金を出す側にも運用する側にも世界やストーリーがあり、そこがもっと前面にでると資産形成は楽しく、更には日本が面白いものになるのではないかと思います。
雑な言葉で言うとどうやったらそのエモさが出せるか。そこをやりたいと思っています。

杉山:中野さんにも質問があります。FD(フィデューシャリーデューティー、「顧客本位の業務運営」)の観点から、チョコを欲しがっている人に「歯を磨こう!」と言うのが運用会社の仕事の一部とも言われますが、一般の商品と金融商品との販売の違いについてはどう考えていらっしゃいますか。

中野氏:実は多くの金融機関が勘違いしている事があります。「顧客のニーズに一生懸命応えることが顧客本位だ」、これが大きな間違いです。顧客のニーズ、要望にただただ応えていると、とりわけ資産運用の提供においては、そのお客さんが損してしまう可能性の方が高いと考えています。お客さんの多くの方が、我々よりも金融知識が少なく、間違った考え方や理解をしているケースが多いからです。間違っている時に間違っていると正してあげることこそが顧客本位だと思います。

さらに究極的に言うと、我々資産運用業者の究極の顧客本位は、最終的に一人一人のお客様を幸せにすることです。これが顧客の最善の利益の追求という表現そのものだと思います。提供して終わりでは全く顧客本位たりえません。提供した後に、最終的にお客さんが求めた目的の成果に繋げることが大切です。長期投資においては、正しい投資行動の実践にかかっています。

だからこそ、「積み立て」という行動で長い期間にわたって、「分散」という資産運用の合理的考えのいろはを最後まできちんと実践してもらうということで、経済成長から相応のリターンがお客さんに返ってくる、ここまで導いてあげることが金融機関の顧客本位だと思います。

オルタナティブ運用の国内第一人者とフロンティアを目指す旅人

参加者:山内さんに質問です。オルタナティブ運用のウェイトが高まりつつあるという話がありました。一方、オルタナティブを活用しているCalPERS(カルパース)という公的年金基金がありますが、以前はオルタナティブ運用を頻繁に活用していたものの、最近はコストの観点からオルタナティブ運用の比率を落としたという記事があったと記憶しています。解説をお願いします。

山内氏:確かにCalPERS(カルパース)はオルタナティブ運用の中でも特にヘッジファンドの比率を落としています。全般的に機関投資家の間で2000年のITバブル崩壊以降オルタナティブの比率が高まっているのは事実なのですが、その中において投資家さんによってスタンスの違いはあります。特に公的な機関投資家、日本ではGPIFが筆頭だと思いますが、こうした機関投資家はコスト意識が非常に高いです。なぜなら運用規模が巨額な分、手数料もとんでもない金額となるからです。それが数字でハッキリと分かるので、手数料支払いを抑制してその分コストの安いインデックスに置き換えようというベクトルが働きます。

公的な運用機関は運用規模が巨額すぎます。世界最大の運用機関であるGPIFだとおそらく160兆円程度かと思いますが、仮にそれを数十人のチームで運用するとなると、ある種狂気の沙汰ではないでしょうか。仕事として、投資金額が10億円でも2000億円でも一件当たりの手間は変わらない訳ですから、ある程度、大きい金額で管理できるロットに寄せがちになるのは自然なことだと思います。結果としては、アクティブ運用は運用規模の制約の問題もありますので、大きな運用機関の一部はアクティブ運用からそうでないところに動いているという状況です。

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GCIアセット代表取締役CEO・山内氏

参加者:山内さんに質問です。計算にAIは組み込んでいるあるいは導入を検討しているのでしょうか。

山内氏:うちではまだ使っていません。研究はしています。投資判断にAIを使っているケースはまだ少ないのではないでしょうか。どちらかと言うと、アルゴリズム。何らかのコンピューター上のモデルを作ってそれに基づいて自動で売買するようなものは間違いなく非常に普及しています。特に短期の売買、HFTと呼ばれるようなヘッジファンドは、米国株の1日の取引高の過半どころか2/3以上を占める程だという説もありますから、短期取引はアルゴリズム取引に席捲されていると言えます。ただ、それはAIではありません。

AIというのはどういうロジック、根拠で投資行動を行っているのかという説明が難しいものです。ブラックボックスと呼ばれています。上手くいっていれば結果オーライなのかもしれませんが、いつ上手くいかなくなるのかも分からないですし扱いが難しいです。

どちらかというと、企業分析をする際の調査活動、従来は人間のアナリストがやっていたことを機械がやるということは取り入れられていると認識していますが、人間に代わって判断しているかというと、そういう訳ではないと思います。皆さん色々と取り組みはしていますが、中々上手くいかないのが実態ではないでしょうか。ただ、上手くいっている人はこっそりやっていると思うので、私が知らないだけでどこかにいるかもしれません。

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質問者:杉山さんに質問です。以前から「全張り」を推奨していますが、全張りのできるファンドを出す予定はありますか。

杉山:海外では全張りに近いようなことを行う、いわゆる自動投資機能がついていないP2Pレンディング・プラットフォームのほうが珍しい状況です。償還したらロボットが勝手に次のローンを買ってくれるもので、プラットフォームによっては、全張りではないものの200社程度の中小企業に貸付する状態を維持できていたりします。日本ではレギュレーション上それができませんが、中期的には当局の方にその意義についてご説明をしたりして、なんとか導入を行っていけないかと思っています。

当社では来年早々にから「ファンド・パッケージ機能」のご提供を予定しております。これは欧米の自動投資機能とまではいきませんが、10個程度のファンドをまとめてご購入いただけるものです。

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