
2024アニオタ系イベント雑感〜日本のアニオタ系イベント現場は終わるのか?〜
昨年アニオタ系イベントを巡っていて漠然と感じた事を、取り留めもなく書いてみる
なんだかんだで結構沢山の現場を巡ってはいるけれども、最近、興行者側も観客側もかなり雰囲気が変わって来ている様に感じるので、その感じた事を書きたくなった
本当なら年末に書くつもりだった文なのだけど、のんびりしていて年を越してしまったよ
1)2024年の現場の雰囲気
2024のアニオタ系イベントに感じた雰囲気を一口で言い表すとすると
「種蒔きの年」
だろうか
2020年ごろからのコロナ禍によって大ダメージを受けたこの業界だけれども、2022,2023年頃から復活の兆しが見えて来た中で踠き、様々な大イベントを繰り広げていた
この業界は大体2000年代から育ち始め、2010年代に急成長している
2020年代初頭はそんな大きくなり始めた大コンテンツにとって十周年とかの節目の年として、さらに大きな次の展開を見据えて動こうとした矢先のコロナ禍であり、その復活に賭けた2022,2023年は、どこの興行者も物凄い熱量のイベントを繰り出して来ていた
例を挙げるとすると
ウマ娘は
ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! EXTRA STAGE
が2022年11月に
バンドリも
BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022
が2022年11月に
ナナシスでは
Tokyo 7th シスターズ 6+7+8th Anniversary Live Along the way
が2022年11月と12月に
アイマスでは
THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023
が2023年12月に
業界最大規模のラブライブは何故かあまり目立った動きは無かったが、この流れの中で生まれたアイマスとの合同ライブ
異次元フェス アイドルマスター★♥ラブライブ!歌合戦
が2023年12月に
このライブは、この業界の再起を賭ける動きの象徴として、最大の熱量となったライブだっただろう
しかし、一旦ここまで大きくなってしまうと、その次をその熱量のままに継続するのは難しい
どこのコンテンツも、奥の手である最大戦力を使ってしまった後として、戦力を整える必要が生じてしまう
2024年は、正にそんな次の戦力を育てる「種蒔きの年」となっていた様に思えた
勿論、この一旦最大戦力を出し切るという流れが全て横並びだった訳ではなく、2024年にずれ込んでいるコンテンツも幾つはあった
しかし、それでもそれはやはりあくまで少しずれたという印象であり、2010年代初頭から始まっているアニオタ系イベントの一大ブームとしては、この2024年はコロナ禍を抜けた後の一つの区切りの年となっていた様に思う
2)各コンテンツの一区切り
各コンテンツについて、その印象を簡単にまとめておく
まずアイマス系、デレマスは構造の転換を図りまだまだ元気そう、ミリマスは大きな節目を超えて少し落ち着いてしまった感じ、シャニマスはアニメが微妙だったがライブはまだまだ安定してる、学マスは想定外の人気急上昇でライブのハコの小ささが悔やまれる
ラブライブ系、Aqoursはアニメも終わり今年のファイナルは致し方なし、虹ヶ咲もアニメが閉じる方向で落ち着きそうな感じ、liella!は二期アニメで躓いた印象があり今年の巻き返しが肝、蓮ノ空も想定外の人気急上昇でライブのハコの小ささが悔やまれた
ウマ娘ライブは、5thライブにextraステージが無かったのが気にかかり、その後はキャラとキャストの入れ替えが多く、微妙にコンパクト化してるイメージがある
バンドリ系は、ガールズバンドブームに乗って、全体的にライブが再活性化、次世代のMyGO!!!!!とAve Mujicaのアニメ化も好評でライブも熱い
ナナシス系、次世代をしっかり展開はしたものの、全体的に落ち着き始めてる印象
リステ系、これも次世代をしっかり展開はしたものの、全体的に落ち着き始めてる印象
何処のコンテンツも次の世代を出して来ているものの、従来の本体の方がおとなしくなりつつある
アフターコロナではチケ代のコロナ対策費の値上がり分が物価の高騰により元に戻らず、経済的な面でファンを制限する傾向も見え始めている様に思える
全体的な印象として、この業界全体が閉じる方向に向かいつつあるのを感じざるを得ない
これを単なる一区切りとして乗り越えられるのかが気になっている
3)観客の世代交代と質の低下
最近よく感じるのが、アニオタ系イベントの観客の世代交代
コロナ禍によりかなり急速に客層の世代交代が起きていて、そこに物価の高騰が追い打ちをかけている感じ
アニオタ系イベントの観客は2000年代のアイドル冬の時代にそのファンの作法が流れ込んでいる印象があり、その結果としてショウビズ界全体でも盛り上げ上手と言われる様になっていたと思う
しかし、アフターコロナではZ世代の大人しさが見え隠れしており、そこに世代交代の大きさを感じさせる
どの会場でも頑なにコールをしない若い人が存在する
それはかつてオタクが隠キャの集まりとしてイベント慣れしてなかった1990年代に戻ろうとしているかの様だ
更に、最近の傾向として、外国人ファンの流入率も無視できない数値になって来ている様な雰囲気がある
チケ代の高騰が何を引き起こすのかというと、ある程度金の自由がきく落ち着いてしまった年配オタク、家が太い大人しめの若輩オタク、異国なので周りの様子を見ている金持ち外国人オタクの率が増えていく
どの会場でもイベントを盛り上げる為に演者も必死になって客席に呼びかける
そうすると、何割かの大人しめの観客も真面目だからちゃんとは応えようとはする
しかし、それでもコロナを理由にか頑なに声を出さない客、周りを観察する為に来てる様な傍観者や嘲笑者である客は応えない
そんな輩の割合が多く、頑張って演者に応えようとする観客の居心地が悪くなる様な現場すら存在する
この手のアニオタ系イベントの客の質の低下は、加速度的に酷くなって、いつか業界全体が沈むことになるのでは無いかと危惧してしまう
4)グローバル戦略と海外公演
今、アニオタ業界で意識すべきはグローバル戦略だろう
日本の市場は縮小傾向にあり、それとは反比例する方向で海外ではアニオタ文化が評価されていて、海外での売り上げが主流になりつつある
これがイベントの現場にも少しづつ影響を与え始めて来ている
日本の観客は物価高騰の影響で高くなったチケ代も出し渋る様になりつつある
対して、海外ではこの様なアニオタ系イベントは未だに新鮮だしチケ代も円安の状況から考えると充分安いと感じるのでは無いだろうか
昨今ではどの会場でも海外の観客が多く集まっている
チケ代も席の良し悪しによって格差が付けられて異様なほど高い値段の席も生まれ、その席を獲得してる者は外国人勢なのでは無いかという懸念もある
最近では何処のチケ代行会社も海外販売に力を入れているのでそんな不信感を持ってしまう
そして、最近は海外公演が加速度的に増えつつある
その結果として、日本国内での公演が割りを食う様な状況が生まれつつあるのは間違いのない事実だ
この状況が観客にどの様に受け止められるか
これらのコンテンツは自分達日本人に対して作られて無くて、海外の金持ちのために作られているという印象につながるのでは無いだろうか
イベントの観客の熱は、そのコンテンツを自分達のものと思えるかどうかだろう
アニオタ業界のグローバル化は、イベントの現場の雰囲気も冷え込ませる事になり、日本人の客足を遠のかせる事になるかもしれないと危惧している
そして、そもそも興行者側が日本の市場をあてにしなくなり、日本のイベント現場そのものが後退していく様な流れが生じるかもしれない
5)アニオタ系イベントの正念場
まとめ
コンテンツの興行者側は新たな展開をしっかり作り出していて頑張ってはいる
しかし、大手コンテンツは何処も10年の歴史を持ち、全体的に一区切りの印象は拭えない
観客も今迄ついて来た客層も年齢層が上がり、コロナ禍の打撃によりかなりの世代交代が生じている
また、コロナ禍と物価高騰の中でチケ代の高騰は観客層に影響を与える程になっている
興行者側の方針としてのグローバル戦略は海外公演の拡大と外国人観客への配慮に繋がり、結果として日本人の観客が割りを食う状況が生まれつつある
これも客層の入れ替えと雰囲気の悪さにつながっている
全体的に観ると、このアニオタ系イベントの現場は何処か閉じていっている雰囲気を感じざるを得ない
特に深刻なのは、チケ代の高騰であり、これが続くと観客を根こそぎ現場から遠ざけてしまう事になり、業界のちょっとした工夫ではどうすることも出来ない
そんな事を強く感じる2024年だった
しかし、新しい爆発的なコンテンツによる業界の復権はこれ迄に何度も起きている
2025年はそんな新たな展開がある事を期待したい