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児童劇『10万年ヒストリア(初稿)』

※今回は「東日本大震災」「広島・長崎の原爆」について触れた文章や、テーマとして触れた内容のものになっております。写真や映像はありませんが、言葉だけでも事件・事故・災害などの事柄を思い出すと辛いと感じる方は今回の記事の閲覧をお控えください。






こんにちは、青木です。

もともと挙げる予定もなければ、多分棺桶に持っていく作品の一つを色々と思うところがあり載せました。

思い返せばこれを書こうと思ったきっかけのひとつは13年前の今日の出来事だし、この作品が上演されずとも、今後に誰かの創作のなにかの糧になる可能性が少しでもありそう今なら棺桶でボクと心中するよりずっといいと思いました。これもなにかの御縁でしょう。


◯本編

(あらすじ)

 それぞれの理由や思いを胸に旅をするオルキル、ロビー、ヨハキ、キシン。4人は道中の洞窟で青い石と土で出来たカロンというゴーレムと出会う。好奇心旺盛なオルキルトと裏腹に最初はとまどうロビー、ヨハキ、キシンだったが仲良くなっていく。
 洞窟で過ごすに連れてカロンは夜中に一人入ってはいけないと伝えていた洞窟の奥に入っていくオルキルを引き留める。自分だけ歴史がないことに劣等感に似た寂しさを持っていたオルキル。口論の途中、オルキルの青い皮膚が体中に広がり、倒れてしまう。
 何かにプログラムされたように技術の国へ助けを求めていくが治療は出来ないと追い出され、途方に暮れる4人。そこへ技術の国の外で暮らしている老人・ハーシュホルムに出会い、小屋で治療をもらうことになる。
 ハーシュホルムの小屋で治療を受け、元気になると信じていたが、そこで衝撃的な事実と残酷な歴史を知ることになる。


(背景)

もともとは「原爆体験の語り手問題」「高校の時に聞いた東日本大震災の被災地ボランティアの人の話」がきっかけでした。

広島の原爆関連では、「資料館の模型をなくした方がいい」「『はだしのゲン』は表現が過激だから学校図書館から撤去すべきだ」などが記憶に新しいのではないでしょうか。

見てショックを受けるかもしれないことから守ることも大事だと思うのですが、なにも知らないまま生きているのはそれ以上に怖いことではなかろうかと個人的に思っています。(ボクが思っているだけなので【これが正しい回答や考えである】というわけではありませんのであしからず…)

児童劇の公募を見て選んだのも、ボク自身が初めて原爆資料館に行ったのが小学校高学年の頃だったというのが強く印象に残っていたのだと思います。資料館の模型は中学の時の平和研修で、その模型のところだけは冷や汗と震えが止まらず、引率の先生に事情を了承を得て目を背けながら手を引いてもらい通った記憶があります。一番手前にいた模型の人の顔の面影がボクの母親そっくりだったので、より強烈に「他人事じゃない」ということを幼いながら思いました。

どの番組だったか覚えてはいないのですが、その時代を生きた語り部の方が亡くなっていく中で、語り部の方から引き継いだ方がインタビューの中で「原爆体験していない自分たちが語り継いでいいものか」という不安を述べていました。

その番組を見たときに思い出したのは、幼い頃の資料館の記憶。そして、東日本大震災に学校の図書館であった講演会で講壇で実際にボランティアへ行った方が嗚咽を交えながら「あの光景は思い出すのも苦しい。だが、あの現状をしってほしい」と講壇で訴えていたことを思い出しました。

ボク自身も、「間接的にしかしらないことを書いていること」「テーマによっては表現すること自体で傷つく人がいること」はずっと頭にあって、だからこそ「生きているうちは書いて残したい気持ち」と「これを出す場所は選ばなければいけないと思う気持ち」がありました。ただ、最近は「見る選択」と同時に「見ない選択肢」も設けられているので、冒頭に設け、書いた次第です。


(制作メモ)※本編読んだあとにどうぞ

※公募の時はあまり細かく書くのもと書いていなかったこと。

登場人物の名前の補足
オルキル/カロン…オルキルト島とオンカロのから。舞台が洞窟から始まることやタイトルの【10万年】はというキーワードもここから。

・もともと、オルキルとカロンの二人芝居のつもりで作ろうとした。公募の規約上人数を増やすため、オルキルが語る話→それぞれの登場人物に変更。

〇作中の「あおなまり」について

・あおなまり自体は、こちらの世界でいうアズライトのような見た目で石炭のような性質をもつ。水にも溶け、可燃性も維持できる。原理は不明。鉱石の層によって「青色」にも「鉛色」にもなる絵具の名称として「あおなまり」と呼ばれていた。事故が起き、次第に絵具を指す言葉から不治の病を指す意味になった。

・ユキグニの中で絵の国だけ発症率が異常に高かったのは、より濃度の濃い鉱石に触れる機会が多くなる採掘に関わっていたのがほぼ絵の国の住人だったため。絵の国特有の風土病に近い。こちらの世界でいう放射線と性質が似てる。人間がエックス線等の微量の放射線なら健康に問題なく生きられるが、事故などの放射能汚染レベルでは生命維持が難しい場合があるのと同じ。

・「ユキグニ」の末裔の「名無しの国」が生きられたのは、採掘が亡くなり、色素変質だけが遺伝して残ったため。また、「生きた証を残さず捨てる」文化が生まれたことにより、病の原因となるあおなまりを使ったものが著しく減ったため。

・原因がわからず、治療法もない。その最中に亡くなる人間が多かったため「感染する」「かかったら死ぬ」という誤解が生まれ、病気による差別もうまれた。

・ほかの子どもたちもといほかの国に入国できたのは、先人が一切の交易をたったことにより、年月を経て記録そのものが受け継がれなくなった。そのため、「入国してはいけない」という規則なければ文化を学びたいという無垢な子どもがきたから受け入れられた。記録の国と口伝の国、年表の国の3か国で用いられている地図には「名無しの国」自体が記載されておらず、地図から消されている。

〇カロンもといゴーレムについて
・もともと「あおなまり」(病の方)が感染の恐れがあるという根拠のない性質が信じられていた時に安全にあおなまりを患った人間を埋葬するためやあおなまりの埋まっている可能性がある洞窟に配置し、間違ってに立ち入らないような番人の役割として技術の国が作った。ドローンを使って救助活動するみたいなイメージ。簡単な意思疎通ができるよう仕組みがついてる。

・旧式と現行のプロトタイプがいる。旧式は当時「あおなまりの感染を和らげる」と信じられていたハーブと泥と骨格にその国の技術を用いて動かしたもの。泥がメインなので骨格腐食や技術劣化に対しての耐性はプロトタイプより強い。だが、一体作るのにプロトタイプ10体分の費用と労力がかかる上に泥の状態で劣化耐性がかわり、不安定なので作られなくなった。

※ハーブ…こちらの世界でペストが流行した時代にペスト医師がマスクの先にハーブを用いていたイメージ。

・カロンが意思をもち、話せたのは劣化耐性によって生まれた奇跡的なバグに近い。本来ならばメンテナンスがされなければ部品がいかれて壊れるが、旧式だったため

〇そのほか、イメージとして参考にした楽曲

・GASSHOW/illion

元来「GASSHOW」は、というよりillionそのものが、東日本大震災がきっかけになって生まれたもの。「(東北の)震災という出来事で感じたあのもどかしさ、眠れなさ、あの心臓のバクバク、失われたたくさんのもの、やがて忘れてしまうだろうあの瞬間を、どうしたらいいかわからなくて、ひたすらスタジオに入って曲に閉じ込めたのが、illionです」と野田はライブのMCで語っています(参照:rockinon.com)。古文的な表現も用いている歌詞からは、あの瞬間を忘れてはならないという強い想いが伝わってきます。

https://realsound.jp/2019/10/post-437995.html#google_vignetteより引用


・千年幸福論/amazarashi
※作品全体。「よりよい」を求めた事故がきっかけであり、もとは誰かが誰かを陥れるつもりがなかった感じを。

・つじつま合わせに生まれた僕等/amazarashi
※主人公が亡くなった後の子どもたち。なにかを変えるかもしれないし、なにも変わらないかもしれない。


それではまた…。


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