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百合漫画寸評011 - 踊り場にスカートが鳴る
はじめに
身の回りで色々あるせいで溜まっていたあれこれを整理したり。
pendしてたことをやってみたり。
遅れてきた春ですね。
概要
作:うたたね游
既刊:2巻
発売:2021/6/17
あらすじ
社交ダンス部で男役(リーダー)として躍っていた高校生・春間(はるま)ききはある日、女役(パートナー)の合歓木紫苑(ねむのき・しおん)からペア解消を告げられる。翌日ダンス部に来たききは既に紫苑が別の部員とペアを組んでいる事を知り、そこで紹介されたのが一年生の鳥羽見(とりばみ)みちるだった。リーダーとしてみちるを勧誘しようとしていたききだったが、みちるは踊り場で彼女の手を取る。
「私のパートナーになってください」
作中環境
基本環境:高校生
百合要素:格差百合
辛い要素:B-
百合の基礎、漫画の基礎
ステレオタイプな風潮とその概念をぶっ壊す新しい風、困難を乗り越えようという情熱、それぞれのメンバーの感情の入り乱れ――という感情に寄り添った漫画の基礎ともいえる要素がこれでもかと入っている本作は、実に『手堅い』作りとなっている。
ただ勿論、大手少年誌の同じような構造を持つ作品よりも題材(今回は社交ダンスだが、他作品ではここが野球や吹奏楽などに置き換わるわけである)の説明を抑えめにすることで、話の動きが少女達の感情に寄ったものになっている。正しさしかない判断である。
歪さは話の起点
以前チラッと話題に出したときにも書いたが、本作は「アンバランスさ」を丁寧に描いている。
ききは背が高く(172cm)、リーダー(男役)向き。
みちるは背が低く(ききより学年も下で)、パートナー(女役)向き。
だが二人はお互いに逆の役を切望している。
前節の「漫画の基礎」にも通ずるところがあるかもしれないが、こういう要素はキャラの衝突を自然に生みやすい=話が作りやすいというメリットがある。
キャラの感情の動きが重要な百合姫コミックスだからこそ、こういうスポ根寄りの百合が生まれるのかもしれない。
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さいごに
今月中にもう一本出せるかは余力もとい努力次第ですが、7月以降は不透明な感じです。
期待せずにお待ちください。
それではまた。