百合漫画寸評013 - 今日はカノジョがいないから
はじめに
普段は「この作品はよかったな 面白かったな」ぐらいのテンションで書いているが、今回は久々に凄まじいのが来た。
以降つらつらと紹介を書いてはいるが、オーソドックス(notゆるふわでも多少はOK)な百合が好き!な方であればまず読んでみて欲しい。
概要
著:岩見樹代子
既刊:1巻
発売:2021/12/18
あらすじ
七瀬とゆには他人に知られないように付き合っているカップル。だがバレーボール部の活動が忙しい七瀬に放置され、寂しい時を過ごすことが多いゆには、SNSの裏垢に愚痴を投下するのが趣味になりつつあった。そんなある時、ゆにの前に同じクラスの瀧が現れたことで、二人の関係が揺らぎだす――。
作中環境
基本環境:高校生
百合要素:浮気百合
辛い要素:A-
背徳感を上塗る"毒と蜜"
百合といえば、出会った(ばかりの)二人が幾度となくぶつかり合いながら一歩先の関係を目指していくスポ根ものが多いが、本作は既にカップルが成立しているという背景がある。
そこに2号(小指を立てる)が現れるというあらすじからして、どうあがいてもBADな方向へ進んでいくしかないという恐怖に立ち向かわなければならない。
アイコン以上の価値を持つ絵作り
話の分かりやすさを補うために、表現にも工夫が多い。
・黒セリフと白セリフ
・コマ内の黒白の比率
・目の中のハート
などなど……明言がないため説明は省くが、気づいてもう一度話を読むと、キャラの心情や行動意図に解釈の余地が生まれてくる。
このように何度も読める設計になっていて、素晴らしい。
あとがき
久々に素晴らしい作品に出会えた気が。
それではまた。