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百合漫画寸評001 - ささやくように恋を唄う

はじめに

 前回記事に書いた「やが君」の完結によって、家系を食べることを禁じられた横浜市民のような顔(ド偏見)で日々を過ごしていたところにやってきた作品だった(当時、"寄宿学校のジュリエット"や"五等分の花嫁"の完結と近しい時期だったので、余計にメンタル・グロッキー状態だったというのもある)。
 正直なところ、あれを超える作品は生涯出てこないだろうなという気さえしていたので、新たな百合に求めるハードルは低かったかもしれない。
 そんな中で飛来したこの作品は、当時百合という分野への視野が狭かった僕の目を見開かせてくれたのである。

概略

著:竹嶋えく
既刊:4巻(2021年4月時点)
連載雑誌:コミック百合姫(一迅社)

あらすじ

 高校一年生の木野ひまりは、小中高の同級生・ミキに誘われて、新入生歓迎会のバンド演奏の見学に行く。そこでひまりの胸を打ったのは、楽しそうに唄うボーカル・朝凪依(あさなぎ・より)の姿だった。あのボーカルは誰なんだろうと考えていた矢先、昇降口でひまりは偶然依を見つけた。
「わたし――一目ボレしました」
 ひまりのその告白は憧憬からくるものだったが、依はそれを恋慕と勘違いしてしまい――。
 これは、そんなささいな勘違いから始まる物語。

作中環境

基本環境:高校生
百合要素:ギャップ百合
辛い要素:B

乙女をさらけ出す瞬間にハッとさせられる

朝凪依は普段こんな感じ。

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人によってどう感じ取るかは別として、僕はクールだなと思う。
しかしながらこのテの話のお決まりとして、こういう女性には必ずウラがある。ただ一つ安心して欲しいのは、彼女の場合は話す機会が無かっただけで、墓場まで隠し通すような秘密があるとかではない。(1巻時点)
そんな彼女も、ひまりの前では相好を崩してしまう。

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女を愛す喜びを知りやがって……
もっとやってくれ。

とことんまで向き合うのが百合

朝凪依はデキる女なので、初めての恋愛にも積極的。
デートに誘われたら当然の如く行くし、巻末では……。
こんな話を前に進めてくれるヒロインでいてくれてありがとうという言葉しかないのである。

さいごに

ひまりと依は住んでいる場所が違うので、二人が寄り添うためには、多少の痛みを伴うことになる。
多少の痛み、というのは、他の作品と区別した物言いになってしまうのは致し方ないところではあるが、読みやすい方ではあると思う。
これいるか?と思われる人も居るだろうけど、そういういざこざや衝突が本能的に苦手な人って結構居て、他で毎回壮絶になってる作品とかに触れていると、共感性羞恥を持ち合わせている僕とかは特に手が止まってしまいがちなので。(共感性羞恥という言葉の正しさや規模は個人的解釈です)

それではまた。

次回は、「わ」で始まる普通の漫画の寸評をお届けする予定です。

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