☆番外編「刺繍のアトリエと音楽のことについて」~『人生の最期に聴きたい曲』
しばらく投稿できずにいたのは、私の父が亡くなったからっていうのが1番大きな理由。昨年クリスマスの夜に緊急入院し、約1ヶ月後に息を引き取ったのだけれど、日が経つにつれ、ぼんやりしてしまう時間が多くなった感じで、なかなか本文も更新できずにいたのです。そこで番外編として『人生の最期に聴きたい曲』について書いてみることにしました。
あの日、病院から緊急招集された家族が集まる中、孫である私の息子が言った「じーじの好きな曲、聴かせてあげたら?」の一言。そう、いまの時代だからこそ、スマホに入れたSpotifyでなんでも聴ける!
だけど、意識はあるものの大量の酸素吸入中の父は話すことがほぼできない。
私が最初に思いついたのは子供の頃によく聞かされた『知床旅情』森繁久弥バージョンで、検索したらすぐにヒットした。父の耳元で流すと、目尻から涙が・・・「あー、良かった!」。次に思いついたのは、私の結婚式の二次会で父が歌った長渕剛の『乾杯』。これもすぐに聴かせることができた。けれど、何か他に決定的な曲があったはずだったのに思い出せない。モヤモヤしたまま、父はそれどころではない状態になってしまった。
亡くなって数日が過ぎたある日の夜、突然「そうだ!」と思い出してモヤモヤは解消した。その曲はフランク・シナトラの『マイ・ウェイ』。日本語バージョンで自分に酔って歌っていた父の姿が思い出された。あの時思い出せば聴かせられたのに…でも待てよ?本当に父が人生の最期に聴きたかった曲は全然違うかもしれないじゃん?
さて、それからというもの私自身が最期に聴きたい曲はなんだろうとずっと考えている。昔NHKの『ミュージック・ポートレート』という番組で、ゲストが「人生の最期に聴きたい曲」を選曲していたのを思い出したりして…でもやっぱり1曲だけ選ぶのって難しい。
松任谷正隆氏が「無人島に行くとして3曲だけ持っていけるとしたらどの曲にするか?」という問いを投げかけた時にその場にいた私は、確かすぐに3曲選べたと思うんだけど、でもその曲がなんだったのか? 20年近く前のことだし、今はもう思いだせない。ということは、普遍的ではないのよね。
そう考えるとちょっと気楽に、いまの私が人生の最期に聴きたい曲ってなんだろう?って考えることができた。 3曲くらいは聴きたいかな〜ってことで。
☆1曲目 藤井風『満ちてゆく』
♪開け放つ胸の光
闇を照らし道を示す
やがて生死を超えて繋がる
共に手を離す、軽くなる、満ちてゆく♪
☆2曲目 坂本龍一 “energy flow”
人はどこへ行くのだろう・・・・と思いながら聴きたい。
☆3曲目 j.S.Bach 『主よ、人の望みの喜びよ』
もちろんオルガンで聴くこの曲もいいのだけれど、ニューヨーク・グランドゼロ近くで奏でた「街角ピアノ」から。角野隼斗の演奏です。
以上、2024年3月の私はとりあえずこの3曲です。でも来月には変わるかも?
うーん・・・ってことは、本当に最期を迎える時には、どうなっているのか全然わからないんだなぁ・・・好きな曲は本当は3曲だけじゃないしエンドレスで聴いていたいでしょう?
あれ?もしかしたらわざわざ選ぶなんて無駄だったかもしれない。その時の自分のお気に入りプレイリストを誰かにかけて貰えばいいのだわ。でも、父と同じ90歳まで生きるとしたら、その頃にはスマホのサブスクも他のものに代わっているのかもしれないけどね。
番外編、いかがでしたでしょうか? 皆さんも「人生の最期に聴きたい曲」について考えてみましたか? 人間って、生まれる時は選べないけど、終わる時は色々事前に選ぶことができるわけですよね。それがいつ来るかはわからないけど、自分にも家族にも悔いのないように考えておくのもいいかもしれません。
近いうちにまた、本文『刺繍のアトリエと音楽のことについて』も追加していきますので、よかったら読んでみてください。
おわり