AniCAMを使ったアニロックスロールの管理
本記事ではアニロックスロールの測定や管理を可能にする、3D検査カメラ「AniCAM」と専用ソフトウェア「AniloxQC」をご紹介致します。
1.3D検査カメラ「AniCAM」とアニロックスロール専用ソフトウェア「AniloxQC」
AniCAMはTroika Systems社(英)が開発した3D検査カメラです。「AniloxQC」ソフトウェアを使用すると誰でも簡単にアニロックスロール表面の3Dスキャンを行うことができ、セル容積を自動的に測定することができます。
図1 AniCAMによる撮影画像・断面図
図2 AniloxQCによって作成した分析レポート:レポート機能により線数、容積、深度など必要な情報と撮影画像のついたレポートをすぐに作成できる
またアニロックス管理システム(AMS)ソフトウェアを活用すると、在庫している多数のアニロックスの計測データを簡単に管理することができます。このソフトでは在庫しているアニロックスを、現在のセル容積や状態、測定日時などでソート・一覧することができ、簡単かつ直感的に管理することができます(図3)。
図3 計測したアニロックスロールの一覧
一覧から個別のロールを選択すると、計測したデータの詳細や履歴を確認することができます(図4)。各ユーザーで任意に設定できる管理レベルを基準にアニロックの状態を色で表示する「信号機能」で状態をわかりやすく表示します(図4、緑・黄・赤色)。
図4 各アニロックスの詳細
摩耗していく様子はグラフによって確認することもできます。信号機能により現在のアニロックスの状態がわかりやすく表示されています。
図5 アニロックスの容積の変化グラフ
2.AniCAMを使用したアニロックスロールの管理のメリット
AniCAMは世界で1000台以上の導入実績があり、それらのフィードバックからTroika社は導入のメリットを下記のようにまとめました。
AniCAMの導入とアニロックスロールの管理により次のことが期待できる。
・濃度調整の回数が低減される:ロールを使用する前にロールの状態が確認されているため
・準備に必要な消耗品(インキ・被印刷体)の廃棄量が少なくとも 15% 削減される:濃度調整の回数が低減されるため
・典型的な生産効率の向上は 4% :印刷機の停止時間を低減し、生産時間を増加させるため
・インクの無駄を 50 %削減:濃度調整の回数が低減されるため
図10 AniCAMの導入で期待される効果
また、印刷トラブルが生じた際、これまで十分に確認することができなかったアニロックスロールについても調べることができ、トラブルの原因がアニロックスロールにあったのか、それとも他にあったのかを知る判断材料を手に入れることができます。
3.その他のソフトウェア
AniCAMにはアニロックスロール(主にセラミックロール)を検査するソフトウェア「Anilox QC」の他に以下の2種類のソフトウェアが利用できます。これらのソフトウェアは使用するハードウェア(カメラ本体)が共通なため、ボタンひとつで切り替えて使用することができます。
・「FlexoPlate QC」:樹脂版のドット%やドット形状を測定するソフトウェアです。計画した通りのドット%やドット形状に製版できているかを確認します。
図11 FlexoPlate QCで撮影した2D(左)/3D(右)画像。深さ別に色分け表示がされている。
図12 FlexoPlateQCのレポート。測定者・測定日時・測定した樹脂版の画像と測定値といった必要な情報が表示でき、プリントアウトやPDFファイル出力によって簡単に情報を共有できる。
・「Gravure QC」:グラビアシリンダー(主にクロムめっき)のセル形状や深度・セル容積などを計測するソフトウェアです。
図13 Gravure QCで撮影した2D(左)/3D(右)画像。深さ別に色分け表示がされている。
図14 Gravure QCのレポート。
これらのソフトウェアもAnilox QCと同様に、以前はあまり数値化して管理することが難しかった樹脂版やグラビアシリンダーを管理することで、従来発生していた材料や時間のロスを低減させる目的で開発されてきました。
4.AniCAMの開発コンセプト
こうしたロスを低減させることを通して、AniCAMは以下の3つをユーザー企業にもたらすことをその最終的な目的としています。
1、利益性(Profitability)
ロスを減らし、機械の停止時間を減らす一方、生産・稼働時間を増やして企業に利益をもたらすことに貢献します。
2、環境性(Enviromental friendly)
廃棄される材料を減らすことで、環境への負荷を軽減することに貢献します。
3、持続性(Sustainabililty)
管理することで品質の安定を実現し、また費用を抑制することで投資に回す予算を確保し、企業の持続性に貢献します。
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参考資料:Troika Systems社「The reasons for Anilox Volume Measurement v7 」2021