代替肉の最前線:BEYONDMEATの挑戦と革新
BEYONDMEAT社は代替肉業界の先駆けで、植物由来の肉代替品を提供している代替肉業界No.1の企業です。
代替肉とは、大豆や小麦たんぱくなどの植物由来原料を原材料とし、食感・味付けなどを肉に近づけるよう開発された加工食品の総称で、ひき肉やハンバーグ風など様々な種類があります。普及が進めば家畜由来の温室効果ガス削減につながるため、持続可能な社会形成の上で近年注目を集める技術です。一方培養肉とは細胞培養技術により食肉の細胞を培養して開発した肉のことで、代替肉同様、家畜による地球資源の消費削減や動物愛護などの観点から注目を集め、近年急速に開発が進んでいます。代替肉は培養肉よりも手軽な代替タンパク質技術として欧米を中心に普及が進んでいます。
そこで今回の記事では、BEYONDMEAT社の製品の特徴や商品ラインナップについて詳しく解説します。これからますます注目を浴びるであろう代替肉市場において、BEYONDMEAT社の事業モデルや商品展開からインスピレーションを得ることができるでしょう。
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1. サービス概要
アメリカでは牛肉の消費量が非常に多く、健康や家畜による資源消費が問題視されています。Beyond Meatはアメリカのフードテック企業で、代替肉を開発し、様々な種類の商品を販売しています。代表商品はバーガー用パテのBEYOND BURGERで、見た目、味ともに本物に近いとアメリカ国内で定評があります(写真参照)。
Beyond Meatの特徴は、本物の肉加工食品に近い味と見た目の再現に成功しつつ、環境と体に優しい商品を提供していることです。
Beyond Meatでは水、エンドウ豆・緑豆・そら豆・玄米など豆と米由来のたんぱく質、キャノーラ油、ココナッツオイルを主原材料とし、商品はすべて遺伝子組み換え作物、大豆、グルテン不使用かつホルモン剤、抗生物質、コレステロールフリーです。また、ミシガン大学によるとBEYOND BURGERは4分の1ポンド(約113g)のビーフバーガーと比べ、
・水の使用量は99%少ない
・土地使用量が93%少ない
・温室効果ガスの排出が90%少ない
・エネルギー使用量が46%少ない
という分析結果が公表されており、Beyond Meat製品が環境に配慮した商品であることが裏付けられています。
2. 企業概要(2022年12月31日時点)
3. 創業の経緯、ファウンダーBIO
Beyond Meatの創業者かつCEOであるEthan BrownはワシントンD.C.近郊出身で、コネチカット・カレッジで学士号を、父のピーター・G・ブラウン博士が設立したメリーランド大学公共政策大学院で公共政策修士号を、2008年にコロンビア大学ビジネススクールで経営学修士号を取得したのち、National Governors’ Center for Best Practicesでエネルギーアナリストを務め、さらに水素燃料電池のバラード・パワー・システムズ社(NASDAQ: BLDP)に入社し、最高経営責任者直属の部下として勤務するなどクリーンエネルギー分野でキャリアを重ねました。
バラード・パワー・システムズ社を退社後にBeyond Meat を設立し、ビルゲイツやTyson Foodsなど名立たる出資者の支援を受け、2013年には全米のWhole Food marketsで鶏肉代替品を販売開始、初の小売り製品は急速な人気を得てその約一年後に植物由来の牛肉代替品を開発、発売しました。また、Brown氏は燃料改質センターを設立・開設したほか、全米水素協会の副会長や米国燃料電池協議会の事務局長など、業界の要職を歴任するなどクリーンエネルギー業界で大きな役割を果たしており、それらの業績を受け、アスペン研究所ヘンリー・クラウン・フェローInc.のBest Led Companies 2021、The Bloomberg 50 for 2019、NewsweekのTop Innovators of 2019に選出され、Beyond Meatとともに、国連の最高環境表彰であるChampion of the Earth(2018)を受賞しています。
Ethan Brown | Management | Beyond Meat, Inc.
Beyond Meat Logo and How They Started | LogoMyWay
4. 業界の動向、分析
上は代替タンパク質業界のプレイヤーを示した表で、2枚を比べると2019年3月から2020年7月の期間でプレイヤー数が急増していることが分かります。代替肉開発にはコストがかかることから、このようなプレイヤー数増加による市場拡大によって食肉との価格差を埋めることができるかどうかが、代替肉業界の今後の鍵となるでしょう。コストに関して、Beyond Meatではシンプルな加工にすることで価格を抑えたcookout classic シリーズを販売するなど独自の取り組みでコストダウンを試みています。($0.5/1オンス)(https://pulse2.com/beyond-meat-bynd-stock-price-why-it-increased-today/)
また日本では代替肉の普及はあまり進んでいません。
この原因として、米国ではたんぱく源として牛肉など食肉が最も人気であることに対し、日本では植物性タンパク質である大豆製品に親しみが深いことが挙げられます。
しかし、日本においても代替肉への注目は高まっていることから、味にこだわった商品など日本独自の代替肉が出てくることなどが期待されます。また、昨今のウクライナ情勢や気候変動により食料価格上昇、供給不足等が問題になっていますが、食料供給の大部分を輸入でまかなう日本においては、特にたんぱく質の確保が課題となっており、今後世界で人口が増加し続け食料の輸入が困難になる可能性等も踏まえ、代替肉によるたんぱく源供給に向けた動きが見られるかもしれません。
https://toyokeizai.net/articles/-/596646
5. 競合との差別化ポイント
代替肉業界における二強がBeyond MeatとImpossible foods(共に米国)です。両者は豆系のプロテインを主原料にし、ココナッツオイルやヒマワリオイルなどを使って「脂身」の風味を出し、プロテインを濃縮することで肉のような食感を実現している点が共通しています。
また、両者ともにバーガー用パテを看板商品とし、大手ファストフードチェーンとコラボ商品を展開しています。
Impossible Foods:バーガーキング
Beyond Meat:カールズJr、マクドナルド、ディズニーワールド内
・価格(バーガー用パテ)
Impossible Foods: $0.52/1オンス
Beyond Meat: $0.62/1オンス
価格に関してもImpossible Foodsの方が僅かに低価格ですが両者にほとんど差はなく、今後も互いに切磋琢磨しながら業界を牽引し続けると予測されます。
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